1 月 17 日, 2021

令和2年を振り返って(内視鏡関連)

大腸ポリープ大腸ポリープ(切除)大腸ポリープ(クリップ縫合)1. ポリペクトミー後出血のまとめ
令和2年の初めに開院以来11年間(平成21年~令和1年)の全ポリペクトミー症例を見直しました。1,295名の方にポリペクトミーをおこなったうち、22名の方にポリペクトミー後の出血を来していました(1.7%)。
これまで、患者さんにポリペクトミーの説明をする際に、「まれにポリペクトミー後に出血することがあります。」と説明してきましたが、当院の成績はどれぐらいなのだろうと、いつも気になっていました。不都合なデータこそきちんと提示することが大切であると考え、ポリペクトミー症例をすべて見直しました。
患者さんの背景や、ポリープの特徴、ポリペクトミー後の縫合クリップの数、出血までの時間(日にち)、出血部位の内視鏡観察の状況、等を検討しました。また、これらを、前半6年と後半5年に分けて比較してみました。
そして、興味深い結果が二つ見つかりました。
ひとつは、出血していた部位はクリップとクリップの間ばかりではなく、一番外のクリップの外側からのことも時々あったことです。この結果を踏まえ、現在は、念のために、更にもう1本、外側にクリップをかけるように心掛けています。
もうひとつは、出血の頻度を前半6年間と後半5年間で比べると、後半5年間の方が低くなっているのですが、これと相応するように、前半6年間のクリップの本数(1個のポリペクトミーに対して)よりも後半5年間の方が多くなっていました。やはり、クリップは十二分にかけておくべきだと再確認した次第です。(*詳細は令和2年2月のブログに掲載しています。)

2. 画像ファイリングシステムの向上
オリンパス社の内視鏡画像データをコニカミノルタ社の画像ファイリングシステムに移す際に、ワンクッション器械が介在していたため、どうしても、画像が劣化していました。しかし、令和2年より、ダイレクトに画像を送るソフトを導入し、観察時と同じレベルの画像を保存できるようになりました。その結果、患者さんへの説明に使用する写真も鮮明になり、自分自身もストレスなく画像を見直すことが出来るようになりました。

3. 細径内視鏡(経口)の採用
これまでは、直径9mmの内視鏡を使っていたのですが、令和2年より直径5mmの細径内視鏡を取り入れました。細くても視界は良く、明るくクリアに観察出来ます。患者さんにとっては、内視鏡検査に対する恐怖感がより一層軽減できると思います。

令和2年はソフト面でもハード面でも内視鏡検査が一層充実した年であったと思います。

1 月 3 日, 2021

令和2年の診療報告

令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響で受診控えが目立ちました。そんな中、多くの方が当クリニックを受診してくださいました。本当にありがとうございました。
当院を知って頂くために、昨年1年間の診療内容をご報告いたします。

1) 内視鏡検査を受けた方が1,916名います。
胃カメラを受けた方 1,056名
大腸カメラを受けた方 860名
『胃ドック』を受けた方 1名

食道がんが見つかった方が3名います。

北九州市の胃がん検診を受けた方が121名います。
胃がんが見つかった方が9名います(最年少33才)。
5mm以下の微小胃がんの方がいます。内視鏡治療で完治しています。

大腸がんが見つかった方が12名います(最年少43才)。
3名の方は粘膜内がんであったため、内視鏡治療で完治しています。
直腸カルチノイドの方がいます。内視鏡治療で完治しています。
大腸ポリープ切除術を受けた方が218名います。

2) ピロリ菌の除菌に成功した方が68名います。
ヘリコバクターピロリ菌に感染している場合、まず1次除菌をおこないます。
1次除菌で菌が消えなかった場合は、2次除菌をおこないます。
1次除菌で菌が消えた方が56名います。
2次除菌で菌が消えた方が12名います。

3) 炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎の方が59名います。
1名の方は生物学的製剤(ヒュミラ)の投与を受けています。
大腸がんを合併した方が1名います。大腸全摘出術が施行されています。
クローン病の方が8名います。
7名の方が生物学的製剤(レミケード6名、ヒュミラ1名)の投与を受けています。
腸型ベーチェット病の方が1名います。

4) 細菌性腸炎
便の培養詳細で細菌が検出された方が13名います。
一番多かったのは、黄色ブドウ球菌(7名)で、次に多かったのが病原性大腸菌(6名)でした。

5) 急性虫垂炎が7名います。
1名は手術になりました。
本来右下腹部にある虫垂が、正中左側にあった方が1名います。

6) 肝臓の病気
B型肝炎に対する抗ウイルス剤(エンテカビル)の投与を受けた方が5名います。
原発性胆汁性胆管炎の方が16名います。
自己免疫性肝炎の方が2名います。

7) 胆道疾患
胆石が見つかった方が24名います(最年少25才)。
5名が手術を受けられました。
総胆管結石の方が2名います。
1名が手術を受けられました。

8) すい臓の病気
すい臓がんに伴う随伴性急性膵炎の方が1名います。
慢性膵炎の方が4名います(アルコール性3名、特発性1名)。
すい臓がんの方が2名います。

9) 糖尿病
インスリン治療を受けた方が2名います。
インクレチン関連薬(DDP-4阻害薬)の投与を受けた方が61名います。
SGLT2阻害薬(余分な糖を尿に排泄する薬)の投与を受けた方が1名います。

10)甲状腺の病気の方が17名います。
甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病) 3名
甲状腺機能低下症(橋本病) 14名

11)禁煙外来を受けた方が11名います。

12)インフルエンザにかかった方が9名います(1月~2月)。
*3月以降はインフルエンザウイルス抗原定性検査を中断しています。

13)24時間心電図を受けた方が5名います。

14)睡眠時無呼吸症候群の検査を受けた方が1名います。
1名が持続陽圧呼吸療法(CPAP)を導入されました。

15)スパイログラフィー(肺年齢測定)を受けた方が1名います。

16)ノロウイルス検査を受けた方が2名います。

17)新型コロナウイルス感染症関連
『帰国者・接触者相談センター』にPCR検査を依頼した方が3名います。
*当院は院内でのPCR検査を実施していません。

18)その他
レンメル症候群、膀胱がん(手術)、起立性低血圧、S状結腸憩室穿孔(手術)、原発性骨腫瘍、ナットクラッカー症候群

1 月 1 日, 2021

新年あけましておめでとうございます。

初日の出!今年が皆様にとって良い年でありますようお祈りいたします。

当院は、1月4日(月)より診療を始めます。

どうか、本年もよろしくお願い致します。

令和3年元旦 中野胃腸クリニック

12 月 11 日, 2020

「極細の胃カメラ 採用しました」

カメラの先端がわずか5mmの細さです!今年オリンパス社から新発売された、極細の胃カメラを採用しました。直径5.4mmですので、経鼻内視鏡としても使えます。
これまでの経鼻内視鏡は、口から挿入しようとすると、ファイバーが柔らかすぎて上手くいきませんでした。カメラには、ある程度の硬さが必要なのです。ところが、このカメラは、極細にも拘らず、適度な硬さがあり、直進性に優れています。極細なのに画像もとてもきれいです。
胃カメラ検査は、カメラが細い方が楽です。胃カメラ検査を迷っている方には朗報だと思います。

9 月 19 日, 2020

よもやま話(111話) 職員募集

当院の名札です。これまでに幾度となく職員の採用をおこなってきました。スタッフからの的確なアドバイスで救われた経験をお話します。

ハローワークだけではない
開院して間もない頃は、スタッフ募集と言えば、ハローワークという思考回路しかありませんでした。スタッフから「民間の求人情報の会社にも出してみたらどうですか?」とアドバイスをもらいました。現在勤めているところを辞めようかなと思案中の人や、そこまでハッキリした意識は無いけど、何となくどんな募集があるのかな、って見る人もいますよ。と教えてくれたのです。以降、地元の求人情報会社に依頼しています。最近は、新聞の折り込みチラシやフリーペーパーよりも、WEB版が有効です。

知りたい情報とは
応募する方の知りたい情報は、勤務地、勤務内容、勤務時間、給料、休み、などでしょう。フリーのコメント欄に、当院は薪ストーブで冬は暖かくて癒されますよ。とか、院長はブログ書いてます。とか書いていました。しかし、スタッフから、どんな年齢層のスタッフが多いのかとか、子供の学校行事で休めるのか、とかが知りたいものなのですよ。と教えてもらいました。これまでは、応募する人の気持ちをまったく解っていなかったことを痛感させられました。さっそくコメント欄を修正しました。

名札
1日働いて「私には無理でした。」とお辞めになった方がいらっしゃいます。用意した名札は1日しか使われませんでした。以降、採用後しばらくの間、自作の名札をお渡ししています。

9 月 7 日, 2020

ヘリコバクターピロリシリーズ⑲ 「ピロリ菌除菌にまつわるエピソード」

胃の小弯と大湾に注目!ピロリ菌に感染している場合、1次除菌(3種類の薬を7日間内服)をおこないます。成功率は95%程度です。1次除菌で消えなかった場合は2次除菌をおこないます。

【エピソード①】40代女性
1次除菌をおこなうも、4日目に強い胃痛と嘔気・嘔吐、下痢が出現しました。前日に刺身を食していたことと血液検査で白血球が増えていたことから「細菌性腸炎」の可能性が強かったのですが、念のために、除菌治療は中止しました。結果的には、薬は3日間しか飲めていません。6週間後、尿素呼気試験で、除菌出来ていることがわかりました。意外な朗報に、ご本人は大変喜ばれました。

除菌の治療期間を7日から5日に短くした報告(順天堂大)では、除菌成功率が73%まで低下しました。5日間に短縮する代わりにもう1種類(メトロニダゾール)薬を加えた場合には成功率が93%に戻っています。
この方のように3日でも除菌出来ることがあるのですね。

【エピソード②】40代男性
胃カメラをおこなった際の迅速ウレアーゼ試験(大弯側の胃粘膜を採取)で「ピロリ菌はいない」と判断されましたが、同時におこなった胃角部(小弯側)の胃潰瘍瘢痕部の生検組織からピロリ菌が確認されました。一般的に、ピロリ菌は小弯側にはあまり生息していません。この方の場合、大弯測の胃粘膜からはピロリ菌が見つからず、逆に小弯側の胃粘膜でピロリ菌が見つかっています。その後、1次除菌をおこないました。

【エピソード③】60代男性
胃カメラ・ピロリ菌確認→1次除菌→除菌成功と順調に経過しています。1年後の胃カメラで小さなびらんから早期胃がんが発見されました。印環細胞癌であったため、内視鏡治療では無く、外科的切除術(幽門切除術)が施行されました。
除菌治療の最大の目的は「胃がんの予防」です。この方は、除菌治療後1年で胃がんが発見されています
・既に1年前に胃がんが存在していた?
・除菌したことで、胃粘膜の変化を来し、びらんが目立つようになった?
・この1年間で急速に胃がんが成長した?
いろいろな可能性が指摘できると思います。また、一方では、
・印環細胞がんはピロリ菌感染との因果関係が無い。
・60代で除菌することによる胃癌予防効果は、さほど期待できない。
などの事実もあります。
いずれにしても、除菌で完全には胃がんを予防できないので、除菌後も定期的な胃カメラが大切ということです。

8 月 20 日, 2020

新型コロナウイルス感染症⑧ 給付金

給付金やマスクなど、有り難うございました。新型コロナウイルス感染症のため、受診を控える方が増えました。そのため、当院も「持続化給付金」を頂くことにしました。その他にも「休業手当」、医療従事者対象の「慰労金」、「感染拡大防止事業に対する補助金」など、いろいろな金銭的な公的支援を受けています。さらに、医療用マスク、N95マスク、感染予防用ガウン、フェイスシールドの現物支給もありました。品薄で手に入らない時に、わざわざ届けて頂き、本当に助かっています。

これらのサポートを受け、新型コロナウイルス感染症の蔓延した中でも、しっかりクリニックを運営し、少しでも世の中のためになるように『恩返し』しようと決意した次第です。

7 月 18 日, 2020

新型コロナウイルス感染症⑦ 「駐車場での診察の難しさ」

熱のある方は、車で診察しています。新型コロナウイルス感染症が蔓延している現在、当院では感染拡大の防止の観点から、発熱のある方は発熱の無い方との接触を避けるために、車中か玄関先での診療をおこなっています。
20代女性】37℃台の発熱があるため、車中で聞き取りをおこないました。腹痛と下痢症状にて来院されました。血液検査で白血球の増多を認めたため、細菌感染と判断し、診察室に入って頂きました。右下腹部に圧痛(マックバーニー圧痛点陽性)を認めることから、虫垂炎を疑い、総合病院外科に紹介しました。CT検査で虫垂炎が確認されましたが、保存的治療(抗生物質の点滴)で軽快しています。
30代女性】37℃台の発熱があるため、車中で聞き取りをおこないました。腹痛で来院されましたが、ご本人が「ここを押すと痛いです。」と言われた場所が盲腸でした。血液検査で白血球の増多を認めたため虫垂炎を疑い、総合病院外科に紹介しました。CT検査で盲腸の憩室炎と診断され、保存的治療(抗生物質の点滴)で軽快しています。

今回、2人とも血液検査で白血球が著しく増えていたことが、診断の大きな助けになりました。もし、血液検査をすることなく、胃腸薬で様子を見ていたら、病状は更に悪化していたと思います。車中でも上手に採血してくれる看護師さんに感謝です。新型コロナウイルス感染症の影響で、通常であれば比較的簡単に診断できる病気まで難しい状況に追い込まれていると実感しました。
なお、多くの総合病院が、急患はまず胸部CT検査をおこない、肺炎像の有無をチェックするようです。肺炎が無ければ、本来の診療が進められるようになっています。

7 月 11 日, 2020

開院11周年を迎えました。

11年はあっという間でした。今日、中野胃腸クリニックは開院11周年を迎えることが出来ました。これも、ひとえに、当院をご利用くださっている皆様のおかげです。同時に、クリニックを支えてくれているスタッフ全員に感謝の気持ちを伝えたいと思います。「いつも、いつも、ありがとう。」
現在、新型コロナウイルス感染症で、クリニックは大きな影響を受けています。
飛まつ感染の予防のために受付にアクリル板を設置し、『密』を避けるために診療予約や電話再診を拡充しています。発熱している方は、車中での診療になります。不自由をおかけしますが、皆様が安全に当院を受診して頂けるように考えた結果です。ご理解の程お願い申し上げます。
コロナ禍であっても、これまで以上に熱意を持って診療にあたる所存です。今後とも「中野胃腸クリニック」をどうかよろしくお願いいたします。

6 月 18 日, 2020

新型コロナウイルス⑥ 受診抑制

新型コロナウイルスにマスクは必要です。新型コロナウイルス感染症の影響で、医療機関の受診を控える方が多くなりました。クリニックから総合病院まで、ほぼすべての医療機関で受診抑制がかかっているようです。当院も、もれなく受診抑制の波に飲見込まれています。

ネットの声をひろってみると、「これまでが、無駄な受診が多かった。今の状態が本当に必要な医療。」という意見が目立ちます。強いエネルギー(怒り?)を持った人々が書き込みをされているのでしょう。「医療機関を受診したいけど、新型コロナウイルスが怖いから、しばらく様子見ようかな。」程度の方は、わざわざ書き込まないかもしれません。

特に小児科で受診抑制が目立つようです。中学生以下(地域によって違います)は、医療費がかからないので、その分、これまでは気軽に受診していた傾向は否定できないと思います。子育て支援の一環として、子供の医療費を免除しているわけですから、新型コロナウイルスに関係なく不必要な受診は控えるべきだと思います。

ある本の一節に、『儲かるのは良いが、儲けるのは良くない。』というのがありました。つまり、結果的に利益が出ることは良いが、利益を出すことが目的になってはいけない、ということです。この言葉が結構心にしみています。

今後、新型コロナウイルス感染症と共に生活する世の中になれば、沢山の事が大きく変わっていくでしょう。医療機関も淘汰され、診療の形態も変わっていくでしょう。どんな世の中になっても、自分が正しいと思うことを続けていくしかないです。結果は、医師を終える時に出ます。


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