Archive for the ‘院長「医療に関する話」’ Category

微小胃がん

月曜日, 4 月 30th, 2018

5mm以下の胃がんは微小胃がんとして取胃はこんな感じです。り扱います。 当院では、過去に微小胃がんの方が名見つかっています。

微小胃がんには、特に特徴は無く、発赤、びらん、わずかな凹凸や色調の変化など、通常の胃炎のような粘膜変化を来しています。微小胃がんの半数は「内視鏡的には悪性と診断出来ない、むしろ良性にみえる」と報告されています。ですから、微小胃がんの診断は、『念のために』生検して初めてわかることが多いのです。

当院で診断した名の微小胃がんも、小さなびらんでした。ただ、名は単発だったのです。びらんが沢山あれば、「びらん性胃炎」ということになりますが、個しかないというのは不自然です。当院ではびらんが個だけの時は生検するように心掛けています。
びらんが複数個あっても微小胃がんが存在していた方も名おられました。この方になぜ生検したかというと、「なんか嫌な感じがするびらん」だったからです。実に、感覚的なものでした。
当院では、自然に出血しているびらんは、必ず生検しています。がんは出血しやすいからです。
びらんの形が星形のような不整形である場合も生検の対象です。

【問題点】
内視鏡治療をするために、再度胃カメラをおこなった際に、正確にその病変が確認できないことがあります。例えば、「胃体中部後壁のびらん」といっても胃体中部そのものが漠然とした領域です。また、管腔臓器ですので、その日の状況で随分胃の形が違うこともあります。生検の跡が消えてしまわないうちに治療しないと、分からなくなってしまうことがあります。現在は、内視鏡写真でしか伝える方法が無いのです。
生検で胃がんが全部取り切れてしまうこともあります。いわゆる「ひと掻きがん」です。この場合、せっかく内視鏡治療をしても切除標本にがんが存在しない。という事態がおこります。

小さな胃がんを見つけることで、胃がんの治療成績や予後はさらに良くなります。しかし、病変が小さいが故に、その取扱いには細心の注意が必要です。

大腸カメラとAI(人工知能)

金曜日, 4 月 20th, 2018

人工知能のイメージですけど・・・。先日、大腸カメラとAI(人工知能)の講演を拝聴してきました。

① 大腸ポリープ
いま日本では大腸カメラにおけるAIの導入が研究されています。大腸カメラをおこなうと、AIが自動的にポリープを認識して検査医に知らせてくれます。そして、カメラをポリープに接近させると、切除すべきポリープかそうでないかを瞬時に判断してくれます。切除すべきポリープとは腺腫です。腺腫は成長していく過程でがんに変わっていきます。切除しなくても良いポリープはがん化しない「過形成性ポリープ」です。今はここまで進んでいるようです。この2つの作業(ポリープを見つける、ポリープの性質を診断する)は今までは医師がおこなってきており、「知識・経験」が必要でした。AIが更に進歩すれば、医師は何も考えなくても、カメラを進めていけば、確実な診断が出来るようになります。

② 大腸smがん
粘膜下層(sm)深くに(粘膜筋板から1mm以深)浸潤した大腸がんは早期癌ですが、10%程度の割合でリンパ節転移があるため、例えポリペクトミーしていても外科手術を追加するのが一般的です。しかし、そもそも10%程度しかリンパ節転移は無いわけですから、手術を受けた方の90%の方はリンパ節転移が無く、結果的には「手術はしなくても良かった」ということになります。患者さんには「転移が無くて良かったですね。」と説明していますが、何か腑(ふ)に落ちないものを感じていました。
現在、この問題を解決すべくAIがsmがんを手術する必要があるのか(リンパ節転移がある)無い(リンパ節転移が無い)のかを判断してくれるように研究中です。近い将来、臨床の場面で使えるようになるようです。

AIに知恵をつけさせるためには、膨大な量の情報を入力しなければなりません。それは、とても地味で時間を要する作業です。また、AIに自己学習の能力を身につけさせてはいけません。当初の判断基準が間違った方向に変わってしまう可能性があるからです。

平成29年診療報告より(6) 胃がん検診

金曜日, 3 月 30th, 2018

鼻からも胃がん検診出来ますよ。平成29年に50名の方が胃がん検診を受けられました。

北九州市の胃がん検診はこれまでは胃透視のみでしたが、平成28年10月より「胃内視鏡検査」が導入されました。
50歳以上の方が対象で、検査料は1,000円(70歳以上は無料)です。検診は2年に一度受けることが出来ます。
当院は胃がん内視鏡検診の実施医療機関です。検査の予約は電話でお受けしています。
なお、胃がん検診では、ピロリ菌の検査は出来ません。ピロリ菌診断は、別途に保険診療でお受けします。

平成29年診療報告より(5) 大腸ポリープ

火曜日, 3 月 20th, 2018

大腸カメラってこんな感じです。平成29年に1,042名の方が大腸カメラを受けられました。そのうち、大腸ポリープ切除術を受けた方が186名いらっしゃいます。

【大腸ポリープの癌化率】
大腸ポリープ* の何%が癌化するのでしょうか。ポリープの大きさと癌化率の関係です。
1~5mm大:0.5%
6~10mm大:13.2%
11~20mm大:50.8%
21mm~:66.6%
大きくなればなるほど、癌になるリスクは大きくなるわけです**。ですから、あまり大きく育たないうちに、出来れば見つけ次第、ポリープ切除をしておくことが必要です。これらのデータを元に当院では積極的にポリープ切除をおこなっています。

【コールドポリペクトミーの導入(写真参照ください)】
通常のポリープ切除は、粘膜下に生理食塩水を局注し、ポリープを浮かせた後にスネアをかけ、通電することで焼灼切除しています。焼灼後に出来た粘膜の傷はクリップで縫合します。
一方、平成29年から導入したコールドポリペクトミーは、生理食塩水を局注せず、そのままスネア切除します。この際、通電もしません。一見、乱暴な治療に見えますが、粘膜の浅い所には、細い血管しかないため、重篤な出血は来しません。通電しないため、遅発性の出血のリスクは回避されます。当院では、通常のポリープ切除とコールドポリペクトミーをポリープの大きさや形によって適切に使い分けています。                                                                                                                                                                                                                                                                *大腸ポリープの85%は腺腫です。腺腫の癌化率について説明しています。
**今回提示したポリープの癌化率は広基性(Ⅰs)ポリープについてのデータです。

大腸ポリープ

コールドポリペクトミー

平成29年診療報告より(4) PTP包装シートの誤飲

土曜日, 3 月 10th, 2018

カメラの先端の透明フードに注目!平成29年に1名の方が錠剤をPTP包装シートも一緒に誤って飲んだ方がいらっしゃいました。
内視鏡で観察すると、PTP包装シートのとんがった角が食道粘膜の対角線上にしっかり突き刺さっていました。一旦、カメラを抜去し、カメラの先端に透明フードを装着し、再度、カメラを飲んでもらいました。PTP包装シートを把持鉗子でしっかり掴み、フード内に持ち込み、そのままの状態でカメラを抜去し無事にPTP包装シートを回収することが出来ました。

もし、フードを付けずに回収しようとすると、食道に縦に深い傷が入ります。そればかりか、食道入口部は生理的に狭いので、そこで引っかかると、にっちもさっちもいかなくなります。非常に危険なのです。

一見、何の変哲もないフードですが、適度に柔らかく、先端が斜めにカットしてあるため、カメラの挿入が楽におこなえます。大きなものも回収できるように径がカメラの直径よりも大きく作られています。完成度の高いフードだとしみじみと思います。

【参考までに】PTP包装シートは、誤飲を防ぐために、ミシン目が縦か横にしか入っていません。決して1錠ずつには出来ない様になっているのです。ですから、わざわざハサミでシートを切らないでください。

平成29年診療報告より(3) すい臓がん

水曜日, 2 月 28th, 2018

すい臓は120g程度の小さな臓器です。平成29年はすい臓がんの方が3名いらっしゃいました。
①60代女性 腹痛と背部痛にて来院。体重減少2kg。エコー検査で4cmの腫瘤が見つかりました。

②60代女性 腹痛と嘔気が続くため来院。CT検査で診断しています。

③70代男性 3日間食事がとれないため来院。エコー検査で胃拡張を認め、その原因を調べるためCTを施行し診断しています。

注意点
食事との関連の無い腹痛(鈍痛)のことが多いです。
積極的に造影CTをおこなうことが大事です。単純CTではすい臓がんは見つかりません。
手術できるのは1~2cm以下です。
すい臓がんによる死亡者数は、全部のがんの中で第4位と意外に多いです。

私見
特定健診や後期高齢者健診にすい臓の項目はありません。「健診で異常が無いからすい臓も大丈夫」とは言えないのです。
すい臓の病気はアミラーゼを測定することが一般的ですが、アミラーゼの半減期は2~4時間と短いため、急性期を過ぎると直ぐに正常値になってしまいます。急性すい炎をおこして翌日病院を受診した時に、まだすい臓に炎症があるにもかかわらず、血中のアミラーゼ値は正常ということがしばしば見受けられます。つまり、血液検査ではすい臓の病気は見つかりにくいのです。(むしろ、中途半端にアミラーゼの測定をしない方が良いと思います。)
すい臓の前面は漿膜に覆われていますが、後面は漿膜がありません。これが、すい臓がんの進行が速い一因と思います。すい臓は漿膜に完全には覆われていない”裸の臓器”なのです。漿膜はサランラップみたいなイメージです。

平成29年診療報告より(2) 原発性アルドステロン症

日曜日, 2 月 18th, 2018

高血圧症の5%程度に存在すると言われている「原発性アルドステロン症」。この病気の可能性のある患者さんが5名いらっしゃいました。

症例     アルドステロン        レニン       アルドステロン・レニン比
❶ 30代女性       291.9       0.9         324
❷ 50代男性    142.4       0.5        285
❸ 40代男性    121.8       0.6        203
④ 40代男性    155.2       0.7        221
❺ 30代男性    158.4       0.7        226
*原発性アルドステロン症のスクリーニング判定基準は、アルドステロンが120(pg/mL)以上かつアルドステロン・レニン比が200以上です。
レニン・アルドステロン系

この5人の方は皆さん大学病院で詳しく診て頂きました。その結果、原発性アルドステロン症と診断された方は、④番の方のみでした。ただし、④番の方も、副腎静脈採血が完全には遂行できなかったため腫瘍が見つけられず、降圧剤の内服治療となっています。

原発性アルドステロン症を早期に診断すれば、腫瘍を摘出することによって血圧は正常化し、降圧剤を飲み続ける必要が無くなります。早く発見すれば、高血圧症による障害も回避出来ます。ただし、アルドステロンを産生する副腎腫瘍は小さいため(1mm大のこともあります)、見つけにくいのです。

これからも、比較的若い方や急に血圧が上がった方などには積極的にレニン・アルドステロンを測定していこうと思います。

平成29年診療報告より(1) グループ2からグループ5へ

木曜日, 2 月 8th, 2018

「イチ、ニ、サン、シ、ゴー」胃カメラで採取してきた胃粘膜病変の診断に「グループ分類」がおこなわれます。
グループ1 正常
グループ2 腫瘍性か非腫瘍性か判断が難しい
グループ3 腺腫
グループ4 がんが疑わしい腫瘍
グループ5 がん
昨年(平成29年)生検でグループ2と診断された方で最終的にグループ5(がん)に診断が変わった方が1名いらっしゃいました。

この方は、胃の真ん中あたりに、小さなびらん(ただれ)がありました。特に悪性の印象は無かったのですが、「単発」という点が気になりました。一般的にはびらんはいくつか散在しているものです。生検ではグループ2と診断されました。3か月後の再検査でも、グループ2でしたが、さらに6カ月後に行った度目の検査で「グループ5」と診断されました。
その後、総合病院で早期胃がんの内視鏡治療を受けられました。
粘り強く、繰り返し検査を受けて良かったですね。

胃の生検組織から、透析患者さんであることを言い当てる病理の先生ってスゴい。

月曜日, 11 月 20th, 2017

毎日、顕微鏡とにらめっこです。50代女性】近医で、週3回の透析を受けています。萎縮性胃炎のために、当院で胃カメラをおこないました。白いブツブツが目立つために、粘膜の一部を採取し(生検)、病理検査をおこないました。
病理医のレポートは、『褐色の沈着物が認められ、これは、高リン血症治療薬である炭酸ランタンの可能性がある。この方は、透析を受けていませんか?』といった内容でした。

わずか1mm大の胃の生検組織から、内服中の薬を言い当て、その背景にある透析を受けていることまで想像出来るなんて、すごいと思いました。まるで、「名探偵コナン」みたいです。

文献を調べてみますと、炭酸ランタンは比較的新しい薬(2009年発売)で、高リン血症を治療するために、最近良く使われているようです。その主成分であるランタンが胃粘膜に沈着した報告は英文を含めても14人しかありませんでした。

実は、この病理の先生に大腸smがんを診て頂いた時、「大腸がん取り扱い規約」に則った理路整然としたレポートがとても気に入り、以来、当院の病理診断はすべてこの先生にお願いしています。先生は、こんな珍しい症例のこともちゃんと知っておられたわけで、日々、勉強なさっていることに改めて敬服した次第です。後日、先生に透析患者さんであることを伝えておきました。

虫垂開口部の異常からの新展開

月曜日, 10 月 30th, 2017

大腸カメラの終点は盲腸です。盲腸には、虫垂の開口部が観察されます。通常では、それは、おへそのようなイメージです。
盲腸と虫垂の位置関係を確認してください。
【50代の女性】

腹痛の精査目的で大腸カメラを受けてもらいました。盲腸の虫垂開口部が「つくし」のような突起物として観察されました。色素散布をして詳しく観察すると、ポリープではなく、大腸粘膜の突起でした。腸の中から観察すれば、通常は窪んでいるハズの虫垂が腸の中に反転しているのです。大腸憩室でも同じことは起こります。ただ、虫垂の反転を観たことが無かったので、CT検査で確認することにしました。CTで虫垂の反転が確認されましたが、同時にすい臓がんも見つかり、急きょ、総合病院に入院していただきました。なお、虫垂の反転の原因はわかりませんでした。

【30代女性】
下腹部痛の精査のために大腸カメラを受けてもらいました。盲腸にある虫垂開口部が少し赤く腫れていました。虫垂に炎症があるわけで、CT検査も受けて頂きました。CTで慢性的に腫れた虫垂を認めましたが(慢性虫垂炎)、虫垂がんの可能性もあるため、大学病院に手術をお願いしました。手術前のルーチン検査として受けた胃カメラで胃がんが見つかり、急きょ胃がんの手術が追加されました。

最近、虫垂開口部の異常から内臓のがんが見つかった患者さんが2名続きました。たまたまだと思いますが、その異常を「良くあることだし、様子を見よう。」と判断していたら、がんの発見は遅れたと思います。わずかな異常でも「見逃さない」「そのままにしない」ということの大切さを強く感じました。


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