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中野胃腸クリニックBLOG » 院長「医療に関する話」

Archive for the ‘院長「医療に関する話」’ Category

大腸内視鏡検査について

水曜日, 4 月 20th, 2022

当院の特徴のひとつである大腸内視鏡検査について心がけていることにお話しします。まずは、安全と正確ということです。次に心がけていることは「いつでも、誰でも同じ」ということです。そのためには、内視鏡操作をパターン化するように心がけています。

大腸カメラはこんな感じです。スコープの硬度は「0」から「3」の中の「1」にセットします。直腸からS状結腸は、介助の用手圧迫を利用しながら、なるべくスコープが伸びないように挿入する。
S状結腸と下行結腸の境目(SD junction)に届いたら、スコープをストレート化し、介助にS状結腸を挟むように圧迫してもらいながら、SD junctionを乗り越える。
③横行結腸はスコープの引き上げる動作を使って、出来るだけ短縮させておく。
④肝彎曲部(横行結腸と上行結腸の境目)にスコープが到達したら、スコープの硬度を「0」にし、右側腹部を圧迫してもらいながら、スコープを上行結腸へ挿入する。この際に「引きながら押す」という感覚が大事です。「引く」とは吸引やスコープを引き上げる操作を使って大腸の管腔を手前に手繰り寄せるのです。その流れの中で、スコープを上行結腸に落とし込む(押す)のです。
⑤上行結腸が「Z」の字のように折れ曲がっている場合は、左側臥位などの体位変換を活用して盲腸まで挿入する。
⑥必ず虫垂開口部を観察する。
このパターン化された内視鏡操作を、日々、誰にでも同じように繰り返すことで、皆様に安定した検査を提供できるものと考えています。

心と体を整え、いつでも最善の検査が提供できるように心がけています。

2021年を振り返って⑥(当院ではめったに遭遇しない病気編)

月曜日, 3 月 28th, 2022

昨年も大勢の方に当院をご利用頂き有難うございました。2021年を自分なりに振り返ってみようと思います。

悪性リンパ腫
高血圧、糖尿病で通院中。体調不良にて、採血をおこなうと、糖尿病の急なコントロール悪化のみならず、貧血、低栄養、炎症反応陽性を来しており(LDHは正常範囲)、大学病院で悪性リンパ腫と診断されました。

慢性骨髄性白血病
高脂血症で通院中。血液検査で汎血球減少症を呈していたため大学病院を受診し、診断がついています。白血病は、白血球が減る場合もあるのですね。

下垂体腫瘍
めまいが2か月近く続き、耳鼻科受診するも改善しないため、頭部MRIを総合病院にお願いしました。その結果、下垂体腫瘍と診断され、大学病院で手術(Hardyの手術)を受けられました。めまいと下垂体腫瘍の因果関係はわかりませんでした。

劇症型溶血性レンサ球菌による感染症を人食いバクテリアと呼びます。結節性紅斑(発熱を伴う皮下に圧痛を伴う発赤調の結節が生じる脂肪織炎)
糖尿病で通院中。発熱と、手の甲やくるぶしに発赤を伴った皮膚のなだらかな膨隆を認めたため来院されました。病変部の圧痛はさほど認めませんでしたが、すぐに大学病院救急部に診察をお願いしました。その結果、結節性紅斑と診断されています。細菌の侵入経路は不明でした。すぐに救急部を受診してもらったのは、ビブリオ・バルニフィカスによる壊死性筋膜炎や『人食いバクテリア』と言われる劇症型溶血性レンサ球菌感染症が頭をよぎったからです。

2021年を振り返って⑤(腹痛編)

金曜日, 3 月 18th, 2022

昨年も大勢の方に当院をご利用頂き有難うございました。2021年を自分なりに振り返ってみようと思います。

腹痛の診断は難しいです。腸重積
腹痛、嘔気、嘔吐で来院されました。エコー検査で通常はガスで見えない小腸がケルクリング襞も含めてしっかり観察できました。「見えないものが見える」ことも異常です。腸閉塞と診断し、大学病院に紹介しました。CT検査で腸閉塞の原因は、腸重積と診断がつきました。緊急手術がおこなわれています。

虫垂炎
① 症状が嘔気・嘔吐のみの方がいらっしゃいました。右下腹部(マックバーニー圧痛点)を押さえると痛みがあることから診断がつきました。
② 発熱を認めたため、車の中での診察となっています。ドア越しに右下腹部(マックバーニー圧痛点)を押さえると痛みがあることから診断がつきました。新型コロナウイルス感染症が終息し、通常の診療が出来る世の中に早くなって欲しいものです。

上行結腸癌
主訴は心窩部痛と腹満感です。しかし、症状が出たり消えたりしたため、初診から5か月後と7か月後に来院され、初診から診断までに7か月かかりました。初回受診時に上部内視鏡検査で胃に異常が無いことを確認しました。しかし、便秘、下痢、下血、等の下部消化管の症状が無かったことと、同時期にたまたま受けた大腸がん検診(便潜血検査2回)で異常を指摘されなかったことで大腸の病気をイメージすることが出来ませんでした。小球性の貧血があることとCRPが陽性であったことからCT検査を受け、上行結腸に腫瘤があることが判明しました。大学病院で上行結腸癌と診断が付きましたが、すぐに手術できる状況ではなかったため、抗がん剤の投与を受けておられます。

2021年を振り返って④(肝・胆道系編)

火曜日, 3 月 8th, 2022

昨年も大勢の方に当院をご利用頂き有難うございました。2021年を自分なりに振り返ってみようと思います。

転移性多発肝腫瘍

嘔気と右季肋部痛を主訴に来院され、エコー検査で肝臓に多発する腫瘤を認めました。大学病院での精査の結果、神経内分泌腫瘍を含んだ前立腺がんが肝臓へ多発転移したものでした。季肋部痛を訴えていたのは、腫瘍で肝臓の被膜が過伸展したためと思われます。

肝臓と胆管と膵管の関係総胆管結石

腹痛を主訴に来院されました。3年前に胆石の手術を受けておられます。血液検査で肝胆道系酵素の異常高値を認めました。大学病院でCT検査を受け、総胆管結石と診断がついています。内視鏡治療が施行されています。

レンメル症候群

心窩部痛と発熱を主訴に来院されました。血液検査で肝胆道系酵素と膵酵素の異常高値を認めました。大学病院でCT検査を受け、レンメル症候群と診断がついています。レンメル症候群は総胆管と主膵管が合流し十二指腸に通じるファーター乳頭のすぐそばに憩室がある場合、傍乳頭憩室に食物残渣が充填されることで、胆汁や膵液の流れが悪くなることで症状が引き起こされます。
*レンメルはLemmelと書きます。上から書いても、下から書いても同じです。

尿中トリプシノーゲン2(APチェック)

急性すい炎を診断するために迅速キット(尿中トリプシノーゲン2)を使っています。下痢を伴わない腹痛で、血液検査で白血球が増えていて、尿中トリプシノーゲン2が陽性であれば、急性すい炎を疑います。昨年2名の方に陽性反応が出たため、救急病院を紹介しましたが、いずれもCT検査で急性すい炎は否定されました。尿中トリプシノーゲン2は精度に多少問題がありそうです。

2021年を振り返って③(ピロリ菌編)

土曜日, 2 月 26th, 2022

昨年も大勢の方に当院をご利用頂きました。有難うございました。自分なりに2021年を振り返ってみようと思います。

鏡検でピロリ菌は見つかります。1次除菌成功するも2年後に感染確認
2年前に1次除菌をおこない、尿素呼気試験で除菌成功を確認した方です。今回、便中ピロリ抗原が陽性と判明し、実は、1次除菌が不成功だったことが判明しました。除菌成功と診断された方の1~2%にこのような間違った判定が起こりえます。2次除菌をおこない、尿素呼気試験で除菌出来ていることを確認しました。1年後に便中ピロリ抗原でも確認する予定です。より正確な除菌判定を行うため、最近は、除菌判定を尿素呼気試験と便中ピロリ抗原の2種類でおこなうようにしています。

血中ピロリ抗体 9.0(ボーダーライン)
ピロリ抗体は10以上が陽性(感染/既往感染)です。10未満が陰性ということになりますが、当院では3~10の間は『ボーダーライン』として扱っています。確実に陰性と言えるのは3未満です。この方は、鏡検法でピロリ菌を認めなかったので、最終的にはピロリ菌陰性と判断しました。ボーダーラインの方は、過去のピロリ菌感染で、現在は抗体価が徐々に低下してきている時期と考えられます。

3次除菌成功
早期胃癌の内視鏡治療後に、胃がん再発予防目的でピロリ菌の除菌治療を受けられました。1次除菌、2次除菌ともに不成功に終わったため、3次除菌を受けられました。3次除菌はパリエット(40mg)とアモリン(2g)(分4)およびグレースビット(200mg)(分2)を1週間服用してもらいました。後日、尿素呼気試験で除菌出来たことを確認しています。

2021年を振り返って②(大腸カメラ編)

水曜日, 2 月 16th, 2022

昨年も大勢の方に胃・大腸内視鏡検査を受けて頂きました。有難うございました。自分なりに2021年を振り返ってみようと思います。

3機種体制
これまでは、標準タイプ(CF-H260AI)と細径タイプ(PCF-PQ260I)の2種類のカメラで検査をおこなってきましたが、2021年にこれら2機種の中間に位置するPCF-H290Iを新たに採用しました。この機種は、背が高くて痩せ型の方に特に威力を発揮します。一般的に腸の長さは身長に比例しますので、背が高い人は腸が長いです。しかも、痩せ型の方は、狭いお腹の中に長い腸がおさまっているわけですから、スコープには、柔らかいことと直進性に優れていることが求められます。これらの相反する機能を兼ね備えているのがPCF-H290Iです。2機種から3機種に増やしたことで、検査をより苦痛なく安全に行えるようになりました。

大腸粘膜の5層構造です。直腸粘膜内がんでリンパ管浸潤陽性
直腸ポリープをポリペクトミーした結果、粘膜内がんでリンパ管浸潤を認めるという病理結果が届きました。リンパ管浸潤があれば、原則、リンパ節郭清を含めた追加の手術が必要です。しかし、粘膜内がんがリンパ節転移することは無いというのも、大原則です。この矛盾する2つの結果をどのように扱えば良いのか難しい問題です。
結論から申しますと、大学病院でリンパ節郭清を伴う低位前方切除術が施行されました。リンパ節転移は1つも認めなかったため、『ステージ0』と診断されています。
後日、病理の先生に一連の経過について意見を伺ったところ、病理医は『陰性』という結果は信用しない。信用するのは『陽性』だけと答えて頂きました。標本を薄切して作ったプレパラートにがん細胞が無かった(陰性)としても、切り出していない部位にがん細胞があるかもしれません。ですから、リンパ節転移は無かったと判断するのではなくて、標本を作ったところにはがん細胞が無かったと考えるわけです。この患者さんの場合、確かな事実は切除したポリープ(がん)に『リンパ管浸潤があった』ということだけです。ですから、「リンパ節転移が無かったのなら、結果的には追加の手術はしなくても良かった。」なんて後悔する必要はないのです。今回、病理の先生の考え方が聞けてとても勉強になりました。

大腸smがん
直腸に2cm大の亜有茎性のポリープを認めました。生検でグループ5(がん)が確認されました。内視鏡治療の適応ではないと判断し総合病院を紹介しました。その後、外科的切除術を受けておられます。がんの深達度は粘膜下層の深いところ(1,000μm以上)まで浸潤していました。それでも、リンパ節転移は無かったので、「ステージ0」でした。抗がん剤治療も不要です。良かったですね。

直腸カルチノイド
直腸に「粘膜下腫瘍」の形態を呈した5mm大の隆起を認めました。生検の結果、カルチノイドと診断されました。総合病院で内視鏡治療が施行されています。

直腸粘膜脱症候群
排便時間が長かったり、排便時にいきんでしまう習慣が契機となり、直腸粘膜の形態変化を起こしてしまう疾患です。組織学的には腺維筋症を認めます。内視鏡所見では、潰瘍型、平坦型、隆起型など、外観は多彩です。
①肛門部に分葉上のポリープとして認められた方がいました。生検で本疾患と診断がつきました。排便指導をおこないました。
②隆起型の直腸粘膜脱症候群を来していた方が、3年間の排便習慣の改善の成果を見ようと大腸内視鏡検査を受けに来られました。今回、3年前にあった肛門部の隆起は消失していました。

2021年を振り返って①(胃カメラ編)

日曜日, 2 月 6th, 2022

昨年も大勢の方に胃・大腸内視鏡検査を受けて頂きました。有難うございました。自分なりに2021年を振り返ってみようと思います。

観察の工夫
胃カメラの際に、患者さんに協力してもらうことで、より詳細に観察出来ることがあります。内視鏡学会が主催する教育講演会などで知り、さっそく当院でも取り入れました。
①食道胃接合部は、患者さんに大きく息を吸ってもらって止めると、見たい所が良く広がって観察が容易になります。
②胃体上部大湾のひだが送気しても充分に伸展しない場合、患者さんに顔は横を向いたまま、お腹を上に向いてもらうと、胃が体の一番上に来るためにひだが良く伸びます。
今更という内容ですが、良いことはドンドン取り入れていこうと思います。

微小胃がん(5mm以下のがん)
体上部後壁の小さなビランでした。チョッと血が付いていたので気になって生検したところ、グループ2でした。数ヵ月後、再度、同じところを生検すると、今度はグループ5(がん)と診断がつきました。大学病院で内視鏡治療を受け、完治しています(粘膜内がん)。

毛細血管拡張症による胃出血
軽度の貧血の精査のために胃カメラをおこなった際に、直径5mm程度の赤い斑点を認めました。近づいて観察すると、毛細血管の固まりが観察されました。その周囲はやや白い粘膜になることが多く「日の丸紅斑」と言われています。送気による過伸展でも容易ににじみ出るような出血を来しました。これが、貧血の原因だったわけです。大学病院で、アルゴンプラズマによる粘膜焼灼術を受け完治しています。

胃マルトリンパ腫
胃がん検診で発見されました。数か月前から胃の重い感じがあったため、検診を受けられました。胃マルトリンパ腫の主な病因はピロリ菌感染です。ですから、ピロリ菌の除菌でマルトリンパ腫の大きな治療効果が得られます。この方の治療は総合病院にお願いしましたが、ピロリ菌の除菌で寛解しました。

たたみ目食道粘膜がん(深達度:粘膜筋板m3)
食道をNBIに切り替えて観察していて見つかりました。通常観察では気が付いていませんでした。青緑の視野に中にぽつんと茶色のスポットが浮かび上がっていたのです。さらにルゴールを散布してみると、病変部に一致するルゴール不染帯が浮かび上がりました。この時、偶然に食道の蠕動運動で生じる「畳目ひだ」がほんの数秒間生じました。畳目ひだがいつ生じるかなんて分りません。検査中一度も出ないことの方が多いです。正常粘膜には入っている畳目ひだが病変部には入っていない決定的瞬間を写真に収めることが出来ました(写真参照)。この現象は、がんが粘膜筋板に達していることを意味します。実際、大学病院で内視鏡治療を受けた結果も、がんの深さは粘膜筋板(m3)と診断されました。説得力のある内視鏡写真を紹介状に添えることが出来て良かったです。画面3時方向の白い所が病気です。そこだけたたみ目ひだがありません。

高コレステロール血症は生活習慣病ですか?

日曜日, 1 月 23rd, 2022

今回のブログは「高コレステロール血症」について考察しています。中性脂肪を含めた高脂血症についてではありません。
コレステロールを多く含む食材です。食事や運動を見直すことで予防や治療の一環になるのが生活習慣病です。高血圧や糖尿病が代表的なものです。高コレステロール血症はどうでしょうか。コレステロールの80%は体内で産生され、残りの20%が食事によって体内に取り込まれます。食事によるコレステロールを控えると、減った分を補おうと体内で余計に作りますので、血中のコレステロール値は変わりません。高コレステロール血症は、食事制限で改善しないのです。厚生労働省のホームページからコレステロールの一日の最大摂取量の記載が削除されています。
一方、運動ではコレステロールが下がらないことが既に証明されています。食事も運動もコレステロール値を下げることは出来ないのです。

高コレステロール血症は何のために治療するのか?その答は動脈硬化を予防し、将来の脳梗塞や心筋梗塞にならないようにするためです。メタボリック症候群は高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満から成り立つ症候群です。この4項目が揃うと「死の四重奏」と言われています。この4項目のうち、2項目以上が満たされると、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクががぜん高くなります。しかし、1項目だけであれば、4項目とも持たない健常人とほとんど差は無いのです。ですから、高コレステロール血症だけの方は、その値にもよりますが(さすがに総コレステロール値が300以上であれば内服治療を受けた方が良いでしょう。)、あえて内服治療はしなくても良いと考えています。

メッドライン(医学系の検索サイト)で高コレステロール血症を検索すると、2012年以降の論文がヒットしません。10年以上前の古い論文を読んでも、コレステロールは食事制限や運動で下がると言われていた時代のものですから、役に立ちません。
このような状況から察するに、現在、高コレステロール血症に対する明確な対症方法が確立していないと思われます。ただし、トランス脂肪酸(マーガリン)と過酸化脂質(古くなった油)が体に良くないことは明らかです。

次の内視鏡検査はいつ受けるべきか?

日曜日, 10 月 31st, 2021

定期点検!胃カメラや大腸カメラを受けた方の最も多い質問のひとつに「次はいつ検査を受けたらいいですか?」というのがあります。
内視鏡関連のガイドラインにも検査の間隔を明記したものはありません。答えに困るのですが、せっかくの質問ですから、自分の考えを話しています。

① 過去に一度もピロリ菌感染していない胃
萎縮性胃炎もなくピロリ菌感染もしていなければ、胃潰瘍や胃がんになるリスクは非常に低いので、3年後で良いのではないでしょうか。一般に、胃がんが内視鏡検査でわかる大きさに育つのに平均3年かかると考えられていることから、3年間は大丈夫でしょう。ピロリ菌のいない方に胃底腺ポリープをたびたび見かけますが、胃底腺ポリープはがん化しないと考えてよいので、経過観察は不要です(ただし、胃底腺ポリープががん化した症例報告もあります。例外的なことを気にしていたらキリがないですから)。

② ピロリ菌除菌後
除菌によって胃がんのリスクはかなり低く抑え込まれます。除菌の時期が若ければ若い程、胃がんの予防効果は大きいとされています。内視鏡学会は、除菌によって胃がんが100%予防できるわけではないので、除菌後も定期的に内視鏡検査を受けることを必ず患者さんに伝えるように勧告しています。そうはいっても、せっかく除菌に成功したのだから、少しは内視鏡検査から解放させてあげたい気持から私は「2年後」の検査を勧めています。ただし、萎縮性胃炎が非常に強い中高年の方には、「1年後」の検査を指示しています。

③ 早期の食道がんが疑われる場合
早期食道がんはわずかな粘膜の変化を来すのみで、見つけること自体が非常に難しいがんです。しかし、がんが粘膜内に留まっていれば、内視鏡治療の絶対的適応となりますので、是非この状態で見つけ出したいものです。食道がんが粘膜内に留まっている期間は1年程度と考えられていますので、「1年以内」の再検査を指示しています。

④大腸ポリープ切除(ポリペクトミー)をおこなった場合
当院では、1年後に再検査をし、1年後に何も異常が無ければ、その後は2年あるいは3年後の検査を提案しています。通電しないで切除するコールドポリペクトミーの場合には、1年後の検査をとばして、2~3年後の検査を提案しています。コールドポリペクトミーの対象が比較的小さな良性のポリープだからです。
最近、Japan Polyp Study という日本の研究グループ(*)から大腸ポリープ切除後の検査間隔に関する研究が報告されました(**)。これは、1年以内に2回の大腸内視鏡検査をおこない、すべてのポリープを切除した後に、年後と3年後の2回検査をする群と3年後に1回検査をする群に分けて3年後の再発を検討したところ、両群の間に差が無かったという報告です。
大腸は長く屈曲が強い上に、ひだが立っていますから、見落としがある程度出てきます。そこで、2回検査をして異常なければ、「クリーンコロン」といって異常ないと判断して良いことになっています。ですから、最初に1年以内に2回検査(治療)をするわけです。そして、その後の検査は「3年後」で大丈夫だったという結論です。
奇しくも、当院でおこなっている検査計画とほとんど同じプロトコールであり、その上、その方法が正しいことが証明されました。偶然とはいえ、とても自信になりました。

(*)国立がん研究センターを中心とする全国11の医療施設
(**)内視鏡的大腸ポリープ切除後のサーベイランス間隔に関するランダム化比較試験:Japan Polyp Study <Gut 2020>

胃カメラ 当院のラインアップ

木曜日, 9 月 23rd, 2021

フードに中に異物を取り込み、このままカメラを抜きます。当院では、より正確に、より苦痛を軽減するために、以下の内視鏡を揃えています。

1. GIF-1200N
スコープの直径が5.4mmの「極」細径です。経鼻と経口のどちらにも使用できます。検診の方(北九州市胃がん検診、協会けんぽ生活習慣病健診、等)には、このスコープを使っています。健康管理のための検査ですから、内視鏡検査が苦手にならないように苦痛を小さくするためです。

2. GIF-PQ260
スコープの直径が7.7mmとかなり細い方です。しかし、高画質であり、非常に重宝しています。現在は生産終了となっているようです。私は「より少ない苦痛でより小さながんを見つけること」を目的とするのであれば、このスコープが最適だと思います。

3. GIF-XQ260
スコープの直径は9.0mmと当院のラインアップの中では最も太いタイプです。もっぱら、異物回収時に使います。異物誤飲した場合に、先端に専用のアタッチメントを装着し、鉗子で異物をその中に回収します(写真参照)。

光源は EVIS LUCERA ELITE(イーヴィス ルセラ エリーテ)を使用しており、高画質(ハイビジョン)で大画面のモニターを見ながら内視鏡検査をおこなっています。内視鏡観察時には、染色法(ルゴール散布)、コントラスト法(インジゴカルミン散布)、光デジタル法(NBI観察)を組み合わせて、がんの早期発見に心がけています。


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