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中野胃腸クリニックBLOG » 院長「医療に関する話」

Archive for the ‘院長「医療に関する話」’ Category

入れ歯の誤飲からの ”まさか” の展開

土曜日, 6 月 30th, 2018

まさか、数日前に胃透視を受けていたとは。60代女性の方が、昨夜、ふと、ブリッジの付いた入れ歯が無いことに気付き、おそらく気がつかないうちに飲み込んでしまったのではないかと来院されました。

喉の違和感や腹痛はありません。腹部レントゲン写真を撮ってみると、盲腸のところに、1cmぐらいの惰円形の白い影とそれにつながる5cm程度の弧状の白い線が写りました。本人にレントゲンに写ったモノを確認してもらい、入れ歯が盲腸で停留していると判断しました。ブリッジの部分の先が尖っているので、今後、大腸穿孔を来しうる可能性があるため、さっそく大学病院に行ってもらいました。しかし、CT検査や大腸カメラで入れ歯は見つかりませんでした。大学病院の先生が詳しく病歴を聞き直したところ、数日前に胃透視を受けていたことが判明しました。レントゲンに写ったものは、虫垂に留まったバリウムだったのです。
そもそも、入れ歯は飲み込んでいなかったのかも知れません。今頃、洗面台のどこかから入れ歯が見つかっているかも。脱力感が残ったほろ苦い経験でした。

背部痛→心窩部痛→腹部大動脈瘤

水曜日, 6 月 20th, 2018

【60代男性】腹部大動脈瘤
1週間前に強い背中の痛みが発症し、ペインクリニックを受診されました。局所に注射を打ってもらい、痛み止めを処方されました。その薬を内服したために心窩部痛が出現したと当院を受診され、胃カメラを希望されました。病状を聞きながら「痛み止めによる胃潰瘍」を想定し、『痛み止めは胃に悪いから、極力飲まないように。』と説明し、胃カメラの予定を入れました。
❷『胃カメラで確実な診断がつくから、今日は話を聞くだけで良いかな。』と思って診察を終わろうとした時、患者さんから腹部の診察を求められました。そこで初めてお腹の触診をしたのですが、ヘソの辺りに可動性の無い鶏卵大の硬いしこり触れました。エコーで確かめると、8x5cmの腹部大動脈瘤でした。
❸気に留めていなかった血圧は180/120mmHgと異常高値です。動脈瘤の切迫破裂によって、「背部痛」→「心窩部痛」と痛みの性状が変化したのであれば、とても危険な状況です。頭の中を切り替えて、直ぐに循環器内科医に診てもらうように手配しました。
❹CT検査の結果、腹部大動脈瘤が確認されました。直ちに「人工血管置換術」が施行され、無事に退院されました。
和やかな雰囲気が大事ですね。
【あとがき】
今回の診療ではいろいろ反省することがありました。
・患者さんの話にそのまま乗っかてはいけない。
・胃カメラを予定していても、お腹の触診をする。
・バイタルチェックをきちんと確認してから診察を始める。等々。
特に、患者さんがお腹の触診を希望されたことがポイントでした。患者さんが何でも言い易い雰囲気をつくることが大切ですね。

胃がんの手術 「観音開き法」

日曜日, 6 月 10th, 2018

【30代女性】
会社の健診で「血中ヘリコバクターピロリ抗体陽性」を指摘され、当院を受診されました。保険診療ではピロリ菌の除菌の前に胃カメラを受けておくことが必要です。胃カメラで、胃の入り口に小さな胃がんが見つかり、手術になりました。このたび、数年ぶりに当院を受診されたのですが、ハツラツとされていました。食事も手術する前と全く変わず、美味しく何でも食べられるとのこと。体重も手術前とまったく変わらないそうです。
胃の口側(上側)を切除して、食道と肛門側(下側)の胃とつなぎます。
通常、胃がんの手術はがんの部位を含めて肛門側(下側)を切除します。そして、残った口側の胃(上側)と十二指腸を吻合します。ですから、胃の入り口にがんが出来た場合、もったいない気もするけれど、胃を全部取ってしまわなければいけません。この方も、多分そうなるだろうと想像していました。
胃を全部取ると、ご飯が少しずつしか食べられないため、10~15kg痩せるのが常です。

ところが、この方は、噴門側切除術(挿絵参照)を受け、同時に、食道と残胃の間で逆流が起こらないように胃粘膜を使った人工弁を付けてもらったのです。その弁が「観音開き」のように開け閉めするので、「観音開き法」と名付けられています。「観音開き法」の一番のメリットは無理なく栄養が維持出来ることです。この手術法は1998年に日本で開発されました。(*噴門:胃の入り口)

胃の機能が温存されたうえに、胃から食道への逆流が防止されているため、患者さんの術後はとてもハッピーです。今回初めて「観音開き術」を受けた方とお話することが出来、その効果に大変感銘を受けました。

バセドウ氏病に看護師さんが気付いてくれました。

水曜日, 5 月 30th, 2018

20代女性
心窩部痛にて来院。経過やお腹の所見から「急性胃腸炎」と診断し、処方しました。診察の後、看護師さんから「先生、今の方、甲状腺腫れてなかったですか?」と指摘されました。顔を見て、病歴を聞いて、診察台に横になってもらい、お腹を診察したのですが、首元(甲状腺)はまった注意していませんでした。改めてバイタルを見直してみると、発熱も無いのに脈拍が100回/分以上あります。甲状腺機能亢進症では脈が早くなります。益々、甲状腺の病気が怪しくなってきました。お腹の事ばかりに気をとられ、全身を見ていませんでした。「木を見て森を見ず。」ということです。
再度、診察室に入ってもらい、甲状腺が腫れていることを確認し、血液検査を受けてもらいました。その結果、甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)と診断がつきました。

看護師さんは頼りになります。バセドウ氏病では、食欲が亢進し、軟便、下痢などの消化器症状がみられることがあります。ですから、胃腸症状であっても、甲状腺が腫れていないか患者さんの首元を観察しておいた方が良いのです。

患者さん全体をしっかり観察するところからやり直さなければいけません。そのためには、患者さんが診察室に入って来られる時に、正面視しなければいけません。ついつい、その前の患者さんのカルテを書きながら、次の方を呼び入れていました。まず、ここを改める必要があることを痛感しました。

看護師さんも、診察に関することを院長に進言するのは勇気が要ったと思います。指摘してくれてありがとう。スタッフがなんでも話し易い環境づくりが大切ですね。それが、中野胃腸クリニックのレベルアップにつながるわけですから。

ネフローゼ症候群

日曜日, 5 月 20th, 2018

足がむくんだ!70代男性
ハッキリとした自覚症状は無く、何となく元気が無いとのこと。診察では特に異常はありません。むくみも認めませんでした。精査のために血液検査を受けてもらったところ、低蛋白血症、低アルブミン血症を認めました。尿検査はしていません。悪性疾患の存在を疑い、大学病院に精密検査を依頼しました。その結果、ネフローゼ症候群と診断されました。ネフローゼ症候群とは尿に大量の蛋白が排泄される原因不明の病気です。

紹介する際に、ネフローゼ症候群のことはまったく考えていませんでした。なぜ、診断出来なかったのか、成書を読みながら振り返ってみました。
❶ネフローゼ症候群の1/4は浮腫を来さない。
❷ネフローゼ症候群は20才未満が65%と圧倒的に多いが、70歳以上にも%程度と少ないながらも報告はある。
ネフローゼ症候群イコール「むくむ」「若い人の病気」という固定概念にとらわれていたのですね。むくみの無い高齢者でもネフローゼ症候群はあり得るのです。ただ、その確率が低いということです。

低蛋白血症(低アルブミン血症)をみたら、
① 摂取不足(低栄養)か吸収不良が無いか。
② 蛋白が尿から漏れていないか(ネフローゼ症候群)、便から漏れていないか(蛋白漏出性胃腸症)。
③ 慢性の炎症(自己免疫疾患、他)や悪性腫瘍が無いか。
④ 肝機能障害が無いか。
というふうに、順序立てて考えていけば、丁寧な問診(きちんと食事はとれているのか、便の性状はどうか、など)と、簡単な血液と尿検査だけで診断が絞られてきます。今回の経験を明日からの診療に役立たせたいと思います。

早期の食道がん

木曜日, 5 月 10th, 2018

食道がんの内視鏡治療の絶対的適応はがんが粘膜上皮か粘膜固有層までに留まっている場合に限られます。粘膜筋板や粘膜下層の浅い所までがんが浸潤していると、リンパ節転移が15%程度(諸説あります)あるため、相対的な適応となります。これは、胃がんや大腸がんが、粘膜下層の浅い所までであれば、内視鏡治療で完治するのと比べると、とても厳しい条件です。
先日、胃カメラで早期の食道がんが見つかった患者さんがいらっしゃいました。自覚症状は胸のつっかかった感じです。カメラでは、「粘膜がザラザラしている領域があるな」という程度の異常でしたが、ルゴール不染帯として描出され、生検で確定診断がつきました。総合病院にさらなる精査・治療をお願いしました。

食道がんのハイリスクグループは、
① 55才以上の男性
② ヘビースモーカー
③ ヘビードリンカー
④ 飲酒により顔が赤くなる人(過去にそうだった人も該当します)
⑤ 野菜・果物をほとんど食べない人

です。心当たりのある方は注意してください。

放射線のマークです。ここからは、まったくの私見ですので読み流してください。
【もし、私が食道がんになったら】
私は放射線治療だけを選びます。理由は、「楽だから」です。食道がんは放射線によく反応します。放射線治療を受けて間もない患者さんを内視鏡で観察したことがありますが、食道粘膜は「ずるむけ」の状態でした。がん細胞は焼き尽くされていたのです。頼もしい限りです。放射線治療はどこも切除しないので、臓器はそのままです。術後の辛い思いもありません。放射線治療は進行癌に対する姑息的な治療のようなイメージがありますが、早期の食道がんこそ放射線治療の良い適応だと思います。治療の侵襲性の少なさ、根治性、治療後の生活の質の高さ、どれも素晴らしいと思います。

【附則】粘膜下層に留まるがんを「食道表在がん」、粘膜がんは「早期食道がん」と言います。ブログを書いた時点では、がんの深達度がまだ確定されていなかったため、『早期の食道がん』と表現しました。


追記その後の経過

内視鏡治療でがんは完全に取り除かれました。深達度は粘膜固有層まで(早期食道癌)で、リンパ節転移の可能性はありません。本当に良かったですね。

微小胃がん

月曜日, 4 月 30th, 2018

5mm以下の胃がんは微小胃がんとして取胃はこんな感じです。り扱います。 当院では、過去に微小胃がんの方が名見つかっています。

微小胃がんには、特に特徴は無く、発赤、びらん、わずかな凹凸や色調の変化など、通常の胃炎のような粘膜変化を来しています。微小胃がんの半数は「内視鏡的には悪性と診断出来ない、むしろ良性にみえる」と報告されています。ですから、微小胃がんの診断は、『念のために』生検して初めてわかることが多いのです。

当院で診断した名の微小胃がんも、小さなびらんでした。ただ、名は単発だったのです。びらんが沢山あれば、「びらん性胃炎」ということになりますが、個しかないというのは不自然です。当院ではびらんが個だけの時は生検するように心掛けています。
びらんが複数個あっても微小胃がんが存在していた方も名おられました。この方になぜ生検したかというと、「なんか嫌な感じがするびらん」だったからです。実に、感覚的なものでした。
当院では、自然に出血しているびらんは、必ず生検しています。がんは出血しやすいからです。
びらんの形が星形のような不整形である場合も生検の対象です。

【問題点】
内視鏡治療をするために、再度胃カメラをおこなった際に、正確にその病変が確認できないことがあります。例えば、「胃体中部後壁のびらん」といっても胃体中部そのものが漠然とした領域です。また、管腔臓器ですので、その日の状況で随分胃の形が違うこともあります。生検の跡が消えてしまわないうちに治療しないと、分からなくなってしまうことがあります。現在は、内視鏡写真でしか伝える方法が無いのです。
生検で胃がんが全部取り切れてしまうこともあります。いわゆる「ひと掻きがん」です。この場合、せっかく内視鏡治療をしても切除標本にがんが存在しない。という事態がおこります。

小さな胃がんを見つけることで、胃がんの治療成績や予後はさらに良くなります。しかし、病変が小さいが故に、その取扱いには細心の注意が必要です。

大腸カメラとAI(人工知能)

金曜日, 4 月 20th, 2018

人工知能のイメージですけど・・・。先日、大腸カメラとAI(人工知能)の講演を拝聴してきました。

① 大腸ポリープ
いま日本では大腸カメラにおけるAIの導入が研究されています。大腸カメラをおこなうと、AIが自動的にポリープを認識して検査医に知らせてくれます。そして、カメラをポリープに接近させると、切除すべきポリープかそうでないかを瞬時に判断してくれます。切除すべきポリープとは腺腫です。腺腫は成長していく過程でがんに変わっていきます。切除しなくても良いポリープはがん化しない「過形成性ポリープ」です。今はここまで進んでいるようです。この2つの作業(ポリープを見つける、ポリープの性質を診断する)は今までは医師がおこなってきており、「知識・経験」が必要でした。AIが更に進歩すれば、医師は何も考えなくても、カメラを進めていけば、確実な診断が出来るようになります。

② 大腸smがん
粘膜下層(sm)深くに(粘膜筋板から1mm以深)浸潤した大腸がんは早期癌ですが、10%程度の割合でリンパ節転移があるため、例えポリペクトミーしていても外科手術を追加するのが一般的です。しかし、そもそも10%程度しかリンパ節転移は無いわけですから、手術を受けた方の90%の方はリンパ節転移が無く、結果的には「手術はしなくても良かった」ということになります。患者さんには「転移が無くて良かったですね。」と説明していますが、何か腑(ふ)に落ちないものを感じていました。
現在、この問題を解決すべくAIがsmがんを手術する必要があるのか(リンパ節転移がある)無い(リンパ節転移が無い)のかを判断してくれるように研究中です。近い将来、臨床の場面で使えるようになるようです。

AIに知恵をつけさせるためには、膨大な量の情報を入力しなければなりません。それは、とても地味で時間を要する作業です。また、AIに自己学習の能力を身につけさせてはいけません。当初の判断基準が間違った方向に変わってしまう可能性があるからです。

平成29年診療報告より(6) 胃がん検診

金曜日, 3 月 30th, 2018

鼻からも胃がん検診出来ますよ。平成29年に50名の方が胃がん検診を受けられました。

北九州市の胃がん検診はこれまでは胃透視のみでしたが、平成28年10月より「胃内視鏡検査」が導入されました。
50歳以上の方が対象で、検査料は1,000円(70歳以上は無料)です。検診は2年に一度受けることが出来ます。
当院は胃がん内視鏡検診の実施医療機関です。検査の予約は電話でお受けしています。
なお、胃がん検診では、ピロリ菌の検査は出来ません。ピロリ菌診断は、別途に保険診療でお受けします。

平成29年診療報告より(5) 大腸ポリープ

火曜日, 3 月 20th, 2018

大腸カメラってこんな感じです。平成29年に1,042名の方が大腸カメラを受けられました。そのうち、大腸ポリープ切除術を受けた方が186名いらっしゃいます。

【大腸ポリープの癌化率】
大腸ポリープ* の何%が癌化するのでしょうか。ポリープの大きさと癌化率の関係です。
1~5mm大:0.5%
6~10mm大:13.2%
11~20mm大:50.8%
21mm~:66.6%
大きくなればなるほど、癌になるリスクは大きくなるわけです**。ですから、あまり大きく育たないうちに、出来れば見つけ次第、ポリープ切除をしておくことが必要です。これらのデータを元に当院では積極的にポリープ切除をおこなっています。

【コールドポリペクトミーの導入(写真参照ください)】
通常のポリープ切除は、粘膜下に生理食塩水を局注し、ポリープを浮かせた後にスネアをかけ、通電することで焼灼切除しています。焼灼後に出来た粘膜の傷はクリップで縫合します。
一方、平成29年から導入したコールドポリペクトミーは、生理食塩水を局注せず、そのままスネア切除します。この際、通電もしません。一見、乱暴な治療に見えますが、粘膜の浅い所には、細い血管しかないため、重篤な出血は来しません。通電しないため、遅発性の出血のリスクは回避されます。当院では、通常のポリープ切除とコールドポリペクトミーをポリープの大きさや形によって適切に使い分けています。                                                                                                                                                                                                                                                                *大腸ポリープの85%は腺腫です。腺腫の癌化率について説明しています。
**今回提示したポリープの癌化率は広基性(Ⅰs)ポリープについてのデータです。

大腸ポリープ

コールドポリペクトミー


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