Archive for the ‘食べ物’ Category

ウェルニッケ脳症

木曜日, 9 月 15th, 2022

ビタミンB1を多く含む食材です。ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)が不足することから引き起こされる神経系の急性疾患です。①栄養不足、②眼球運動障害、③小脳症状、④意識変容または軽度の記憶障害、のうち2項目以上を満たせば、ウェルニッケ脳症と診断して良いことになっています(Caine criteria)。

70代女性】                            当院に高血圧で通院中でした。新型コロナウイルス感染症が蔓延してからは、「電話再診」のみで直接診察をすることはありませんでした。近所に住む娘さんがいつもと様子が違うと感じ、2年ぶりにご本人を連れて来院されました。娘さんの話では、歩くのが下手になったとのことです。かといってまったく歩けないわけではありません。性格が変わった様な感じがするとのことですが、意識障害というわけでもありません。
深部反射の異常なく(大脳の異常なし)、指鼻試験正常(小脳の異常なし)、握力の低下なし(運動神経異常なし)といったところです。対光反射は正常でしたが、残念ながら、眼球運動は確認していませんでした。(水平方向の眼振運動が確認出来ていれば、診断に近付けていたかもしれません。)

神経内科の専門医に診察を依頼しました。頭部MRI(T2強調画像、FLAIR画像)で、中脳水道周囲、第三脳室周囲、等に対称性の高信号域を認め、ウェルニッケ脳症が疑われました。血中ビタミンB1濃度が異常低値であったことから診断が確定しました。

ビタミンB1は身体のエネルギー源である糖質の代謝を適切に行うために必要不可欠です。特に脳は糖質に依存する割合が大きいので、ビタミンB1不足から脳へのダメージが生じるわけです。この患者さんにビタミンB1不足が生じた原因としては、一人暮らしだったため、食事が極端に偏っていた可能性が考えられます。ついついインスタント食品ばかり食べることで(糖質過多)、ビタミンB1の需要量が増え、相対的にもビタミンB1が不足したと予想されます。
今回の経験を教訓として、ウェルニッケ脳症が意外に身近にある病気だということを肝に銘じて診察に臨もうと思いました。

乳糖不耐症

月曜日, 8 月 1st, 2022

こんな風に牛乳が飲める人がうらやましいです。私は牛乳を飲むと必ず下痢します。乳糖不耐症か牛乳アレルギーだと思います。

乳糖(ラクトース)はガラクトースとグルコースからなる二糖類です。乳糖は小腸においてラクターゼによって、ガラクトースとグルコースに分解され、体内に吸収されます。乳糖不耐症の場合は、ラクターゼが欠損しているか活性が低下しているため、乳糖が分解されず、大腸まで到達してしまいます。その結果、大腸内での浸透圧がたかまります。同時に大腸に到達した乳糖は腸内細菌により発酵し、有機酸や二酸化炭素に変化します。これらの結果、下痢がおこるわけです。

乳糖不耐症は白人には少なく、黒人や黄色人種に多い傾向にあります。これは、黒人や黄色人種が乳製品に接する機会が少なかったためと考えらています。日本人の乳糖不耐症は平均的な飲入量であれば、20%程度と予想されます。

乳糖不耐症の人は、牛乳を飲むことを止めれば問題は解決します。ヨーグルトは、乳酸菌の働きで乳糖の量が減少していますので、乳糖不耐症でも食べられる人が多いです。チーズには乳糖がほとんど含まれていませんので、全く心配ないです。乳糖不耐症は大人になってから顕著になる場合もあります。年齢とともにラクターゼの産生が低下することがあるためです。

当院では、慢性的な腹痛や下痢で来院された場合、意外に乳糖不耐症が多いことを説明し、しばらくの間牛乳を控えてみることを提案しています。

食べ物の耳寄りな話(12) 鶏のタタキ 

月曜日, 7 月 30th, 2018

美味しそうですが・・・。居酒屋メニューに「鶏のタタキ」があります。よかったら、「鶏のタタキ」の知識を収集していきませんか。

① かつおのタタキは意味があります。
タタキと言えば、まず「かつおのタタキ」が思い浮かびます。かつおは皮の下に寄生虫がいることが多いので、周りだけ炙(あぶ)って処理しておけば、安全に美味しく食べることが出来ます。

② 生の牛肝臓(レバ刺し)は販売することが禁止されています。
牛内臓の10%は腸管出血性大腸菌(O-157、他)を保有しています。O-157は少量の菌だけでも、死に至ることがあります。ですから、レバ刺しは販売が禁止されています。一方、牛肉は生でも安全です

③ 鶏肉の保菌率
鶏肉のカンピロバクターの保菌率は10%から100%です。新鮮な肉ほど保菌率が高いです。カンピロバクターは肉の内部に潜り込んでいきますので、肉の周囲だけに火を通しても菌は死にません。また、鶏肉のサルモネラ菌の保菌率は50%以上です。鮮度が落ちるとさらに保菌率は上がります

それでも、あなたは、鶏のタタキを注文しますか?

【追記】
鶏肉を洗ってはいけません。菌の付いた水しぶきが周囲の食材や食器に飛び跳ねるからです。鶏肉をさばいた包丁とまな板は十分に洗ってから次の作業に移ってください。

中性脂肪(脂肪酸)で知っておきたいこと。「α-リノレン酸」

日曜日, 4 月 30th, 2017

しそってスゴイ!何となく悪者のイメージのある中性脂肪。確かに、ラード(豚油)やバターは沢山食べれば、血中の中性脂肪やコレステロールが上がります。ラードやバターが飽和脂肪酸であるのに対し、不飽和脂肪酸は体に良い脂肪酸です。今回は、不飽和脂肪酸についてお話します。

体内で合成できない脂肪酸(必須脂肪酸)、すなわち食物からしか摂れない脂肪酸は、リノール酸(ω6)とアラキドン酸(ω6)とα-リノレン酸(ω3)の3つです。(ω:オメガ)

ω9(オリーブ油、キャノーラ油)、ω6(ごま油、くるみ)、ω3(えごま油、亜麻仁(あまに)油、DHA、EPA)と、数字が少ない程、体に良いものと考えて良いでしょう。

そうすると、必須脂肪酸でω3でもあるα-リノレン酸は是非とも意識的に摂取しておきたいですよね。α-リノレン酸はえごま油、亜麻仁(あまに)油の他にしそもあります

昔の人は偉いですね。梅干しを作る時にしそを入れますものね。ちなみに、α-リノレン酸は、熱に弱いので、調理方法に気を付けてください。また、取り過ぎるとかえって体に悪いので、1日小さじ1杯程度で十分です。

【まとめ】
① 体内で合成できない脂肪酸がある(必須脂肪酸)。
② ω3系は、とっても体に良い脂肪酸である。

医療の話  高コレステロール血症と食事②

月曜日, 6 月 15th, 2015

エビフライ、大好き!高コレステロール血症に対して、これまで、コレステロールの摂取量が制限されてきましたが、平成27年4月に厚生労働省が、制限を撤廃しました。「食事では体内のコレステロール値は変わらない。」ことが解ったからです。それを受けて、「日本動脈硬化学会」も5月には食事制限が無意味である旨を発表しました。

それでは、これまで食事についてはどのような内容が示されていたのでしょうか。興味深いですね。

平成24年の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」には、コレステロールの1日摂取量を200mg未満と明記されています。
・塩分を1日6g以下に制限すること。
・多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)の摂取を増やすこと。
・中性脂肪を減らすためには炭水化物を制限すること。
・アルコールを減らすこと。
・運動で体重を減らすこと。
など、結局、総合的にメタボリック体質にならないようにすることが大事で、コレステロールだけを制限しても意味がないことは示されていたわけです。

このブログの資料となった医学書が、対話形式になっていました。進行役の方が、繰り返し食事療法の事を聞き出そうとします。「日本食が良いのですか?」「地中海食はどうですか?」「具体的な食事内容は?」という具合に。
ところが、回答する動脈硬化学会の重鎮(教授)は、のらりくらりと一般論でかわしているのです。やっぱり、食事ではコレステロールは下がらないことが解っていたのでしょうね。
そもそも、医学部の講義に「栄養学」はありませんから、医師に食事の事を聞くこと自体が的外れなのかもしれません。

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医療の話  「ごめんなさい」(高コレステロール血症と食事①)

月曜日, 6 月 8th, 2015

美味しそう!高コレステロール血症に対して、これまで、コレステロールの摂取量が制限されてきましたが、平成27年4月に厚生労働省が、制限を撤廃しました。「食事では体内のコレステロール値は変わらない。」ことが解ったからです。それを受けて、「日本動脈硬化学会」も5月に食事制限が無意味である旨を発表しました。

そもそも、コレステロールは体内で80%が作られるために、食事の影響が少なかったのです。しかも、コレステロールを沢山摂取すれば、体内での生産が抑制され、食べる量を減らすと、体内で沢山作り、体内のコレステロールを一定に維持することが解ったのです。

これまで、さんざん、コレステロールの高い方には「卵は1日1個までですよ。」とか「えび、いか、たこ、イクラ、などはコレステロールが高いから注意して下さい。」などと説教してきましたが、まったく無意味だったのです。ゴメンナサイ!
これからは、好きなものを好きなだけ食べてください。食用油やマヨネーズの「コレステロール1/2」などを謳っている比較的高価な食品を買う必要もない訳です。

ただし、悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)が高い方は、不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)をしっかり摂取した方が良いです。

n-3系脂肪酸:α-リノレン酸、DHA、EPA(青魚に多い)

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食べ物の耳寄りな話(11) 肝臓病と刺し身

月曜日, 2 月 11th, 2013

刺身盛合せ案外知られていないのですが、肝臓病を患っている方は、夏季の間は魚介類の生食を避けるべきです。それは、魚介がビブリオ・バルニフィカスというコレラ菌と同じビブリオ科に属する細菌を持っている可能性が高くなるからです。

特に、海水温が20℃以上になると、この細菌の繁殖が盛んになります。日本では、これまでに100例あまりの報告がありますが、九州や西日本での発生が多い傾向にあります。

この感染症の怖い所は「食あたり」の症状が出るのではなく、いきなり「敗血症」や「壊死性筋膜炎」を来すところです。

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食べ物の耳寄りな話(10) 「柿とコカコーラ」

金曜日, 10 月 12th, 2012

450px-kaki『柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺』と申しますように秋の代表的味覚「柿」についてのお話です。

① しゃっくりと柿のへた
横隔膜がけいれんし、息の出入りの際に特有の音がする「しゃっくり」ですが、なかなか止まらなくて困ることがあります。そんな時、柿のへた(生薬名は柿蔕:シテイ)を煎じて飲むと効果があります。以前、勤めていた郊外の病院には「柿のへた」が薬局に常備してありました。一袋に30個程入っていたと思います。住民の方のご厚意で集められたものでしたから、薬代は貰ってなかったと思います。

② 柿胃石とコーラ
柿を好んで食べていると、『柿胃石』が出来ることがあります(軽石を想像して下さい)。柿に含まれている「タンニン」(渋みの元)が胃酸と混ざると石になるからです。この柿胃石はかなり固いために、破砕するのに苦労します。ところが、胃カメラの時にコーラを注入し、胃内にコーラを貯めて、その中に胃石を沈めておくと、胃石はもろくなります。そうすると、スネア(金属の輪を広げたり締めたりする)を使って簡単に小さく砕くことが出来ます。
不思議とコカコーラじゃなきゃダメみたいです。ペプシコーラで溶かした報告が見つかりません。

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食べ物の耳寄りな話(9) 「マーガリンとクローン病」

金曜日, 9 月 28th, 2012

マーガリンはトランス型脂肪酸を含む食品です。ドイツではマーガリンが発売された時期と地域がクローン病の発症と一致したため、マーガリンの製造は禁止されたそうです。その他の欧米諸国でも、トランス型脂肪酸の含有量を表記する義務や量の制限が設けてあります。一方、日本は規制がありません。

そもそもマーガリンは高価なバターの代用品として作られました。マーガリンから水分を除いたものがショートニングです。パンやクッキーなどには、どちらも良く使用されています。

トランス型脂肪酸は常温でも固体を保ち、酸化されにくいので保存が効きます。パンやクッキーを製造する過程でショートニングを入れると「サックリ」と焼き上がります。長持ちして、食感が良くなることから重宝されるわけです。

しかし、トランス脂肪酸は自然界には存在しないため、体内に入ると代謝しきれず、蓄積されていきます。トランス型脂肪酸との関係が指摘されている病気はクローン病以外にも、がんや高血圧、認知症などがあります。

私は、クローン病の方にはマーガリンを避けるように指導しています。同じ炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎の方にも、出来れば避けたい食品として説明しています。

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食べ物の耳寄りな話(8) 「ミネラルウォーター」

金曜日, 3 月 2nd, 2012

ヨーロッパのミネラルウォーター(ボルビックなど)はカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)が多く含有されている硬水です。
Caを含む硬水をたくさん飲むと、シュウ酸の吸収が抑制されますので、シュウ酸結晶である尿管結石の予防になります。
一方、Caの多い水を飲んでいると、「唾石症(唾液腺にできた石灰化物)」になりやすいことが指摘されています。
自分の体に合わせてミネラルウォーターを選んでください。

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