Archive for the ‘発熱’ Category

発熱(9) 「熱型」

金曜日, 10 月 7th, 2011

「発熱」シリーズも9回目になりました。

 時々、一日のうちに何度も体温を測って、詳しく説明してくださる方がいらっしゃいます。
「昨日は、37.8℃まで上がった。今朝は38.3℃だった。いや、夜中に38.9℃が一度あった。」という具合です。

 発熱に関して診断や治療に必要な情報は3つです。

① いつから発熱が始まったか。
② 微熱(37℃台)、発熱(38℃台)、高熱(39℃以上)のどれか。
③ 弛張熱(しちょうねつ)か稽留熱(けいりゅうねつ)か。

1日の中で1℃以上体温が変動する場合を弛張熱といいます。
例えば、39℃に上がっていたかと思えば、数時間後には37℃台に下がっている場合は、弛張熱です。
日差が1℃以内の高熱が続く場合を稽留熱といいます。

体温測定は1日2~3回で十分です。記録しておくと、なお良いと思います。

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発熱(8) 「不明熱(その3)」

金曜日, 9 月 9th, 2011

38℃以上の発熱が2,3週間以上続き、詳しく調べても原因が分からない場合を「不明熱」と診断します。不明熱の70%は細菌感染です。今回は、細菌感染ではなかった不明熱の経験をご紹介します。

患者さんは60歳代の男性です。39度前後の発熱が2,3週間続き、体重も10kgほど減少したため入院となりました。
 いろいろ調べても、どこにも感染症の形跡がありません。頼みのCT検査や血液培養もこれといった情報はありませんでした。それならば、膠原病(リウマチなどの病気の総称です。)ではと、いろいろ自己抗体(膠原病で陽性になる血液検査の項目)を調べてみましたが、何も出てきませんでした。不明熱にはどんな病気の可能性があるのか、いろいろな医学書を読み直して、検査や診断の手順に抜けが無いか調べました。かなり、もがき苦しみましたが、病名を絞り込めませんでした。しかし、こうやって何度も医学書を読んだことで、結果的には、不明熱のことに詳しくなったと思います。

 当時、私は市中病院で研修医をしていました。週1回の内科部長の回診で、何回か経過を説明していました。3回目か4回目の時だったでしょうか、「それでは、血管造影をやってみなさい。」と指示を受けました。
 血管造影の結果、腎臓に「微小動脈瘤」が多発していることが確認され、膠原病のひとつである「結節性動脈周囲炎」と診断がつきました。ステロイド(炎症を抑える薬)の内服を始めることによって、熱は下がり、体重も増えてきました。

 部長は、研修医の私がいろいろ調べて、『この不明熱は、結節性動脈周囲炎かも知れない。それならば、血管造影が診断の決め手になるハズだ。』との考えに至るのを待って下さったのだと思います。しかし、私の病状説明を聞いていて、これは、もう指導した方がいいと判断されたのでしょう。

 それから、月日が流れ、今度は自分が研修医を指導する立場になりました。「あれとこれをやっておくように。」必要な用件を研修医に伝えれば、仕事は早いです。一方、研修医が自発的に考えて仕事を進めていくのを見守るのは非常に忍耐と時間が必要です。ハラハラもします。研修医からは「教えてくれない指導医」という評判だったかもしれません。でも、この指導方針は勤務医を辞めるまで変えませんでした。苦労せず得た知識はすぐに忘れますが、努力して得た知識はしっかりと身につくことを私自身が経験していたからです。

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発熱(7) 「不明熱(その2)」

月曜日, 9 月 5th, 2011

38℃以上の発熱が2,3週間以上続き、詳しく調べても原因が分からない場合に「不明熱」と診断します。不明熱の70%は感染症です。私が経験した不明熱をご紹介します。

【腸チフス】
サルモネラ属の感染では、急性胃腸炎を起こすタイプ(サルモネラ菌による食中毒)と腸チフスのように、小腸粘膜に侵入し、2週間ほどの潜伏期間に、粘膜下リンパ組織や腸間膜リンパ節で増殖し血液中に入るタイプと2種類あります。菌が血液に入ると高熱がでます。
腸チフスでは、40℃の高熱が続くこと以外には症状がほとんど出ません。発病初期には「バラ疹」と呼ばれる皮疹が出ますが、かゆくはありません。血液検査では軽度の肝機能障害を認める程度です。最終的には「血液培養」で菌を確認することが必要です。
頻度は少ないのですが、不明熱の鑑別疾患として頭の隅に入れておく必要があります。

当時、私は大学病院の研修医でした。その内科では、毎週月曜日の朝、教授以下スタッフが全員出席して、先週入院された患者さんをプレゼンテーションする「新患紹介」がおこなわれます。その時、この患者さんが「不明熱」の診断で入院されました。
新患紹介をした時点では、まだ、血液培養の結果は出ていません。発熱と軽度の肝機能障害だけです。多くの先生方から質問を受け、また、診断に対する可能性がいろいろ討論されましたが、結論には至りませんでした。最後に、教授が「腸チフスも考えなければいけない。」と話されました。後日、その言葉どおりに血液培養からチフス菌が検出されました。「世の中にはスゴイ医師がいるものだ!」と感銘しました。

追記:この「新患紹介」には大学の教官以外にも研修医やポリクリの医学生も参加するため、総勢30名以上となります。大勢の医師の前でプレゼンテーションすることはとても緊張しました。前日は資料作りが深夜に及びました。当時は大変でしたが、良い思い出です。

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発熱(6) 「不明熱(その1)」

火曜日, 8 月 30th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

38℃以上の発熱が2,3週間以上続き、詳しく調べても原因が分からない場合に「不明熱」と診断します。不明熱の70%は感染症です。つまり、どこかに細菌が病巣をつくっていて熱を出しているのだけれど、それが何処なのかが解らないという状態です。
 例えば、肺炎であれば、発熱以外にも息苦しさや咳や痰などの症状が出ます。レントゲンで肺に異常な影が写ります。痰の培養検査で細菌の種類を調べ、それに合う抗生物質を投与します。しかし、不明熱の場合はこのように単純明快に物事は進みません。

私が経験した不明熱をご紹介します。

【細菌性心内膜炎】
 心臓の中に細菌が巣をつくり、時々、細菌が心臓から出ていく血液の流れに乗って全身に運ばれ、その時に高い熱が出ます。心臓の中に細菌の巣があることをエコー検査で見つけなければいけませんが、なかなか見つからないこともあります。
 20台の女性で、心臓に雑音があり、当初から細菌性心内膜炎を疑っていました。しかし、エコー検査で心臓の中の細菌の巣を見つけることができません。「おかしいな?」と思いながら、この病気に関する論文をいろいろと調べていると、「通常のエコー検査より経食道エコー検査の方が、病気を見つける確率が高い。」という論文を見つけました。コレダ!って思いました。経食道エコーといって胃カメラの先にエコーが付いた器械で食道の中から心臓を観察する方がより心臓の近くから観察できるわけです。さっそく、その検査を行いますと、探していた細菌の巣を見つけることができました。
 なお、有効な抗生物質を決めるために「血液培養」で菌を確認することも必要です。

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発熱(5) 「熱中症」

日曜日, 8 月 28th, 2011

高温、多湿の環境の下に体温の上昇と脱水症状を来たす状態を熱中症といいます。熱中症について興味あるデータをいくつかご紹介しましょう。

① 男性>女性
10代では圧倒的に男性が多いです。野球やサッカーなどの屋外でのスポーツは男性が多いためでしょうね。
働き盛りの年齢層でも男性が多いです。これも、屋外での肉体労働は男性がほとんどですから。

② 高齢者は日常の生活でも熱中症になりやすい。
高齢者は熱に対する感受性が低いこと、発汗機能が低下し、体温の調節能力が低下していることが大きな要因と考えられています。
高齢者はエアコンが切ってある状況での熱中症の発症頻度が高いのですが、「我慢強い」とか「もったいない」の精神が裏目に出ているのかも。

③ 50%は軽症
熱中症で救急搬入された方の半分は点滴で軽快し帰宅されています。入院した場合でも翌日に退院する場合がほとんどです。早目の対応が功を奏した結果だと思います。
 
④ 発症のピーク
熱中症で運ばれてくる患者さんは1年を通して7月下旬が最も多くなります。また、1日の中では午後2時前後にピークがあります。そういえば、夏の全国高校野球大会も、最近は、暑い午後を避けて、涼しい朝のうちに決勝戦をするようになりましたね。

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発熱(4) 「解熱剤」

金曜日, 8 月 26th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。
今回は解熱剤についてお話します。
熱冷ましと痛み止めって同じ成分ってご存知でしたか?

【熱を下げる機序】
発熱や痛みに関係する代謝経路(アラキドン酸)をブロックすることで熱を下げます。しかし、このことは同時に、血小板、胃粘膜、そして腎臓の通常の機能もブロックしてしまいます。ですから、解熱剤を汎用すると胃や腎臓に悪いわけです。また、このことを逆手にとって、少量のアスピリンを毎日飲むことで血小板の機能を少し低下させ(いわゆる血液サラサラ状態)、脳卒中の予防をおこなっています。
10年ほど前に、炎症に関わる酵素のみを選択的にブロックして、血小板、胃、腎臓への悪影響を無くした「体に優しい痛み止め(COX-2選択的阻害剤)」が開発されました。開発当初は、夢のような薬と期待されましたが、肝心の「鎮痛解熱効果」もやさしく、患者さんからは評価はイマイチといったところです。

【安全な解熱剤】
インフルエンザにある種の解熱剤(薬品名:ポンタール、ボルタレン、等)を使うとインフルエンザ脳症をきたすことがあり、大変危険です。お子さんの場合はアセトアミノフェン(薬品名:アンヒバ、カロナール、等)を使用するのが原則です。海外でも解熱鎮痛剤の第一選択として広く使われている薬です。

【解熱剤は病状を長引かせる?】
答えは「ノー」です。発熱していた方が早く病原菌(あるいはウイルス)が排出されるわけではありませんから。また、熱を下げた方が早く治るわけでもありません。解熱剤はあくまでも対症療法ですので、「高熱で苦しい時に頓用する」というスタンスが良いと思います。1回使ったら、2回目を使うまでに3時間以上は空けた方が良いでしょう。

【アスピリンはピリン系?】
アスピリンはピリンではありません。ピリンアレルギーという言葉を耳にされた方も多いと思います。今ではほとんど聞かなくなりましたが、以前はよく「風邪に効く注射」としてピリン系の解熱剤(商品名:スルピリン、メチロン、等)が注射されていました。これらの解熱剤の急速な投与はショックをきたす可能性があり危険です。

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発熱(3) 「白血球」

日曜日, 8 月 21st, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

ウィキペディアより 左から赤血球・血小板・白血球(リンパ球)発熱を来す原因の80%は感染症です。感染症とは肺炎や胆のう炎のような「細菌感染」とインフルエンザのような「ウイルス感染」の2つがあります。
細菌感染では血液検査で白血球が増えます。白血球は幾つかの種類で構成されていますが、細菌感染では好中球の割合が高くなり、白血球全体の90%程度を占めることも度々あります。一方、ウイルス感染では白血球は増えません。むしろ下がることもあります。好中球の割合も変化しませんが、リンパ球の割合が多くなります。
この規則を基に感染症の原因が細菌かウイルスなのか判断しています。

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発熱(2) 「マラリア」

木曜日, 8 月 18th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

ハマダラカ ウィキペディアより私が「発熱をきたす病気」でまず思いつく病気は「マラリア」です。「三日熱マラリア」とか「四日熱マラリア」というように熱の出方が病名になっているからです。医学部学生時代の寄生虫学の教授がマラリアの専門家であったことも関係しているかもしれません。実習でマラリアを媒介する「はまだら蚊」を何時間もかけてスケッチした記憶があります。

マラリアは熱帯地方の病気で、現在も5億人ほどの患者さんがおり、年間100~200万人の死亡者がいます。地球温暖化が進む近未来においては、日本にとっても決して無縁な病気ではなくなるかも知れません。ゴキブリが津軽海峡を越えて北海道でも越冬するようになったのと同じく、マラリアも沖縄、南九州辺りまでは生息する日が来る可能性が危惧されています。

マラリアに感染すると、1~2週間の潜伏期間を経て、急に40℃以上の高熱が出ます。高熱が数時間続いた後に平熱に戻る。ということを繰り返します。想像しただけでも恐ろしい病気です。

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発熱(1) 「平熱と発熱」

日曜日, 8 月 14th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

健康な日本人のわきの下で測った体温は平均36.8℃です。36.9℃以下は平熱です。37.0℃~37.9℃を微熱といいます。また、39.0℃以上は高熱といいます。
「私は平熱が低いので、36℃台でも熱感があってつらいのです。」といった話を診察の際に聞くことがあります。言葉の定義上は、37℃以上でなければ、発熱とは言わないのですが、実際の診療においては、このような場合は、36℃台でも発熱ありと判断し、場合によっては、解熱剤を処方することもあります。

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