Archive for the ‘腹痛’ Category

「腹痛(その10) 周期性を持った腹痛」

水曜日, 5 月 11th, 2011

今回は周期性を持った腹痛についてお話しましょう。

① 毎週月曜日の朝に腹痛を来たす。

下痢を伴っていることも多いです。学校にしろ会社にしろ、「また1週間が始まる!」という精神的ストレスが大きな要因と思われます。「過敏性大腸症候群」と考えるのが妥当でしょう。現在では、過敏性大腸症候群の良い治療薬があります。

② 月に1回腹痛が起こる。

女性で、月経の周期と関係していれば、「腸子宮内膜症」が疑われます。これは、子宮内膜と似た組織が子宮ではない腸に発生する病気です。S状結腸や直腸に発生する頻度が高いとされています。生理と同じような粘膜の変化を起こしますので、生理中に大腸の子宮内膜様組織から出血し下血することがあります。
 過去に一度だけ、男性で毎月1回腹痛を起こす方がいらっしゃいました。腹痛の後は、きまって下痢をするそうです。いろいろ調べても原因がわからず、最後に小腸造影検査をおこなったところ、小腸ガンが見つかりました。ガンのために食べ物の流れが悪くなり、ドンドン腸に食物が溜まっていき、お腹が張って苦しかったのだと思います。そして、溜まった食物が腐ってサーっと流れていく周期がちょうど1ヶ月だったのでしょうね。

③ 1年に1回~数回だけ腹痛がおこる。

これまでに、こういった症状の方で病気が見つかったことがありません。心配ないということでしょう。

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「腹痛(その9) 炎症性腸疾患」 

水曜日, 5 月 11th, 2011

難病に指定されている慢性の腸の病気に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」があります。どちらの病気も腹痛、下痢、発熱が主な症状です。いまだに原因は不明であり、診断や治療には数年~数十年かかります。当院でも、現在、40名ほどの方が通院して頂いています。
特効薬がなく、なかなか治りにくい病気でしたが、数年前にレミケードという劇的に良く効く注射薬が開発されました。レミケードは2か月に1回点滴します。1回の点滴時間は3時間です。もちろん、通院での点滴が可能です。当院では3名の方が治療を受けておられますが、皆さん、経過は良好です。
特に、クローン病はレミケードが著効することが多く、以前はほとんど食事が出来なかった方もかなり自由に食事が出来るようになりました。私のクローン病に対する印象も、以前は『大変な病気だな。』というネガティブな気持ちが先行していたのですが、今では『レミケードで治せる』とポジティブな気持ちで取り組めるようになりました。
最近、潰瘍性大腸炎にもレミケードの保険適応になりました。レミケードがクローン病と同様に潰瘍性大腸炎にも良く効くのかどうかはまだ分かりませんが、期待は出来そうです。

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「腹痛(その8) 虚血性腸炎」

水曜日, 5 月 11th, 2011

今までに経験したことのないような激しい腹痛と、その後に下血をきたした場合、虚血性腸炎を疑います。たいてい、腹痛は左下腹部あたりです。
日頃から便秘がちの方に多い病気ですが、便秘ではない方にも起こります。特に誘因なく突然発症しまので、「何が起こったのだろう?」「私の体はどうなるの?」と不安で一杯になって来院される方もおられます。S状結腸という肛門から30㎝ぐらい奥に入ったところが好発部位ですので、大腸カメラで観察することで直ぐに診断がつきます。この病気は、腸の安静だけで自然に治ることがほとんどですので、診断がつけば、一安心です。当院では、その場で、大腸カメラをおこない、直ぐに診断するようにしています。
なお、同じ症状でも、病原性大腸菌O-157などによる細菌性腸炎や大腸がんの場合もありますので、自己判断は危険です。

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「腹痛(その7) 急性腸炎」

水曜日, 5 月 11th, 2011

腸に細菌かウイルスが侵入したためにおこる急な腹痛、下痢は誰もが何度となく経験していることと思います。細菌が原因の場合は、いわゆる「食あたり」です。ウイルス性の場合は「お腹の風邪」などと表現されることが多いと思います。
細菌感染の場合、血液検査で白血球が増えます。白血球は幾つかの種類で構成されていますが、細菌感染では好中球の割合が高くなり、白血球全体の90%程度を占めることもあります。
一方、ウイルス感染では白血球は増えません。むしろ下がることもあります。好中球の割合も変化しませんが、リンパ球の割合が多くなります。
この規則を基に腸炎の原因が細菌かウイルスなのか判断し、治療方針を決めます。

細菌性と判断した場合、症状が重かったり、下血を伴っていたり、集団で発生している場合など、原因となった細菌を特定しておくことが大事です。薬を飲み始める前に便の培養検査をおこないます。平成22年の1年間で、便から細菌が検出された方が57名いらっしゃいました。そのうち、病原性大腸菌が48名と最も多く、二番目がキャンピロバクターの8名でした。病原性大腸菌は牛肉に、キャンピロバクターは鶏肉や魚介類についていることが多い細菌です。いずれも、薬(抗菌剤)を飲んで、十分な水分と電解質補給をおこなえば、速やかに治ります。

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「腹痛(その6) アニサキス」

水曜日, 5 月 11th, 2011

秋刀魚やイカを刺身で食べる時はちょっと注意が必要です。アニサキスという寄生虫がいるかもしれないからです。
アニサキスが付いた刺身を食すると、その数時間後から激しい胃痛を来たします。胃カメラをすると、胃の壁に虫体が食い込んでおり、その辺りは真っ赤に腫れあがっています。アニサキスを見つけたら、生検鉗子で刺入部付近をそっとつかみ、虫体がちぎれないように引っ張り出します。これで、痛みはウソのようにスーッと引いていきます。
 やっぱり、秋刀魚は七輪で焼いて食べるのが一番ですね。

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「腹痛(その5) 胃潰瘍と十二指腸潰瘍とピロリ菌」

水曜日, 5 月 11th, 2011

ヘリコバクタ・ピロリ菌食後に胃の辺りがシクシク痛む「胃潰瘍」や空腹時に痛みが強くて、食事をすると楽になる「十二指腸潰瘍」は、以前は「ストレス」が原因とされていました。しかし、最近、ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクターピロリ菌)による感染が大きな原因であることがわかってきました。
 胃潰瘍の診断は胃カメラで潰瘍を確認することが必要です。その際に、ピロリ菌感染の有無も同時に調べることが出来ます。
治療は胃酸を抑える胃薬(プロトンポンプインヒビター)を、胃潰瘍ならば8週間、十二指腸潰瘍ならば6週間内服します。この薬が開発される前は、ひとたび潰瘍が出来れば、半年から1年は通院が必要でしたから、ずいぶん短縮されました。
 潰瘍の治療に引き続き、ピロリ菌を除菌する薬を1週間飲めば、全ての治療が終了します。
なお、除菌の成否は除菌終了6~8週間後に、自分の吐いた息で調べます(尿素呼気試験)。除菌の薬を飲んでもピロリ菌が消えなかった場合には、「2次除菌」という別の薬がありますのでご安心ください。

当院では、平成22年の1年間に約90名の方がピロリ菌の除菌に成功しています。皆さん、ピロリ菌が消えて良かったですね。

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「腹痛(その4) 心窩部痛(上腹部痛)」

水曜日, 5 月 11th, 2011

今回は意外に診断が難しい腹痛についてお話しましょう。

お腹の真ん中より上の辺りの痛みを「心窩部痛」といいます。この辺りは、いろいろな内臓が位置しているために、さまざまな原因で痛みが発生します。食道、胃、十二指腸の他に、胆のう、すい臓もこの辺りに位置します。さらには、横隔膜を隔てて心臓もあります。また、腹部大動脈やその枝である腹腔動脈、上腸間膜動脈も位置しています。
「胃が痛い」との訴えでお見えになる方が多いのですが、「それでは、胃カメラをしてみましょう。」と安易に考えると痛い目に遭うことがあります。
 
「痛みがほんの数秒間だった。」
「左肩も痛くなった。」
「奥歯も一緒に痛くなった。」
「背中に突き抜けるような痛みだった。」

これらはすべて、心筋梗塞だった腹痛の患者さんの訴えです。これらのキーワードを聞き逃すことなく、速やかに心電図をとり診断しなければなりません。

胆石やすい炎も「胃が痛む」という表現で来院されることが良くあります。経過(病歴)を詳しく聞けば、ある程度の予想はつきます。

私が医師になって2年目の頃の話です。腹部エコー検査を担当していました。ある時、強い心窩部痛を訴える患者さんのエコー検査を依頼されました。その検査中に突然、患者さんがショックになりました。私は何が起こったかまったく理解出来ませんでした。すぐに、上級医の先生方が応援に来てくださり、「解離性腹部大動脈」と診断がつき、緊急手術になりました。胃の高さの辺りの腹部大動脈に「ヒビ」が入って痛んでいたのが、エコー検査中に本格的に破れて出血したためにショックになったわけです。

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「腹痛(その3) 便」

水曜日, 5 月 11th, 2011

今回は腹痛と便の関係についてお話しましょう。

① 下痢を急に止めてはいけない。

o157(ウィキペディアより)細菌やウイルスが胃腸に入り、腹痛と一緒に嘔吐や下痢の症状がでます。これらの症状は体内に入った菌や毒素を排除しようとする生体の反応でもあるわけですから、極端に下痢を止めることはかえって良くありません。20年以上前に大阪府堺市で大発生した「O-157による集団食中毒」でも、下痢止めを飲んだ方は病状が重症化しています。

② タール便は胃からの出血の可能性が大きい。

真っ黒な糊のような便、あるいはチョコレートを溶かしたような便は「タール便」と表現します。これは、胃などから出血した大量の血液が胃酸で酸化されて黒く変色したものです。ですから、早急に医療機関を受診する必要があります。
 「タール便」は必ず泥状です。コロコロのタール便はありません。なお、緑色の便は胆汁の色ですので心配はいりません。

③ 未消化便は下痢と似ているが別物。

すい臓の機能が悪くて、十分に消化できないまま便になることを「未消化便」といいます。未消化便は固まりにくく、パッと飛び散ってしまいますので、一見、下痢便と間違えます。
未消化便を良く観察すると、ニンジンやしいたけなど食べた物が観察されます。消化の良い炭水化物中心の食事にし、さらに消化剤を飲めば、脂肪便は改善されます。

【おまけ】 特殊な下痢 WDHA症候群
消化管ホルモンのひとつであるVIPが過剰に産生されるために起こる下痢。本邦での報告は100例前後です。私は経験したことがありません。

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「腹痛(その2) 食事」

日曜日, 5 月 8th, 2011

今回は、腹痛と大きな関係を持つ食事との関係についてお話しましょう。

「食後に痛くなる」あるいは「お腹がすくと痛くなる」

一般に、胃潰瘍は食後に痛み、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みます。ですから、胃潰瘍では一度に沢山食べないように注意し、十二指腸潰瘍では、長時間の絶食時間を作らないように10時と3時におやつを食べるようにするといいでしょう。

「脂っこい物を食べた後に痛む」

これは、胆石でよく遭遇します。脂っこいものを消化しようと胆嚢が急に収縮しますと、その中にあった胆石が胆嚢の出口(胆嚢頚部)で詰まってしまい、胆石発作を誘発します。胆石を持っている方は、てんぷらやうなぎ、生クリームなどは控えたほうがいいでしょう。

「深酒した翌朝の上腹部痛」

アルコールが原因で起こる腹痛はほとんどが急性すい炎です。すい臓は胃の背中側に位置するので、すい炎では胃が痛いという訴えが多いです。しかし、背中も痛むことや、腎臓の辺りも痛いことなどが通常の腹痛と異なります。背中が痛むのは、すい臓が腹膜の中に入っていない「後腹膜臓器」であるためです。また、溶け出した刺激の強い膵液は腎臓の周囲にまで溜まり痛みの原因となります。
日頃から良くお酒を飲んでおられる方が多いです。お酒の種類は関係ないようです。

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「腹痛(その1) キーワード」

金曜日, 5 月 6th, 2011

お腹が痛い。

クリニックに来られる方の多くが「腹痛」を主訴に来院されます。一口に腹痛と言ってもいろいろな表現がありますが、私なりの『キーワード』をいくつかご紹介しましょう。

「△時◎◎分から急に痛くなった。」

病状を説明する時に、このようにはっきりと痛くなった時刻を覚えている方がいらっしゃいます。お腹の中で一瞬に起こりえる異変には大体3つしかありません。①石が詰まる、②腸が破れる(ねじれる)、③血管が破れる、この3つです。頻度の多いものから考えますと、胆石か尿管結石でしょう。痛みが激しくて、お腹が固く張っているような場合は、腸の穿孔(穴があいた)や腸閉塞を考えます。顔面蒼白で下血を伴っていれば腸間膜動脈からの出血などが想定されます。
一方、胃潰瘍などは、「最近2,3週間前から何となく胃が痛む」というような感じが多いです。

「痛みで夜中に目が覚めた。」

痛みの度合いは数字で表せないので、他人には伝わりにくいものです。我慢強い人や表現が控えめな人は、実際にお腹の中で起こっているトラブルの重大さよりも軽目に表現してしまう傾向にあります。しかし、「痛みで目が覚める」ということは、痛みの基準として「これは要注意!」と判断して診療にあたっています。

「歩くと痛みが響く」

これも痛みの度合いとしては要注意な言葉です。炎症が腸から腹膜に波及している状態、すなわち「腹膜炎」になっていることが多いからです。虫垂炎が疑われる時は、まず、患者さんに診察室で立ってもらいます。次に背伸びをした後に、かかとをトンと着きます。この時に右の下腹に響くようだと、炎症が強い可能性があると判断しています。

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