Archive for 8 月, 2011

発熱(6) 「不明熱(その1)」

火曜日, 8 月 30th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

38℃以上の発熱が2,3週間以上続き、詳しく調べても原因が分からない場合に「不明熱」と診断します。不明熱の70%は感染症です。つまり、どこかに細菌が病巣をつくっていて熱を出しているのだけれど、それが何処なのかが解らないという状態です。
 例えば、肺炎であれば、発熱以外にも息苦しさや咳や痰などの症状が出ます。レントゲンで肺に異常な影が写ります。痰の培養検査で細菌の種類を調べ、それに合う抗生物質を投与します。しかし、不明熱の場合はこのように単純明快に物事は進みません。

私が経験した不明熱をご紹介します。

【細菌性心内膜炎】
 心臓の中に細菌が巣をつくり、時々、細菌が心臓から出ていく血液の流れに乗って全身に運ばれ、その時に高い熱が出ます。心臓の中に細菌の巣があることをエコー検査で見つけなければいけませんが、なかなか見つからないこともあります。
 20台の女性で、心臓に雑音があり、当初から細菌性心内膜炎を疑っていました。しかし、エコー検査で心臓の中の細菌の巣を見つけることができません。「おかしいな?」と思いながら、この病気に関する論文をいろいろと調べていると、「通常のエコー検査より経食道エコー検査の方が、病気を見つける確率が高い。」という論文を見つけました。コレダ!って思いました。経食道エコーといって胃カメラの先にエコーが付いた器械で食道の中から心臓を観察する方がより心臓の近くから観察できるわけです。さっそく、その検査を行いますと、探していた細菌の巣を見つけることができました。
 なお、有効な抗生物質を決めるために「血液培養」で菌を確認することも必要です。

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発熱(5) 「熱中症」

日曜日, 8 月 28th, 2011

高温、多湿の環境の下に体温の上昇と脱水症状を来たす状態を熱中症といいます。熱中症について興味あるデータをいくつかご紹介しましょう。

① 男性>女性
10代では圧倒的に男性が多いです。野球やサッカーなどの屋外でのスポーツは男性が多いためでしょうね。
働き盛りの年齢層でも男性が多いです。これも、屋外での肉体労働は男性がほとんどですから。

② 高齢者は日常の生活でも熱中症になりやすい。
高齢者は熱に対する感受性が低いこと、発汗機能が低下し、体温の調節能力が低下していることが大きな要因と考えられています。
高齢者はエアコンが切ってある状況での熱中症の発症頻度が高いのですが、「我慢強い」とか「もったいない」の精神が裏目に出ているのかも。

③ 50%は軽症
熱中症で救急搬入された方の半分は点滴で軽快し帰宅されています。入院した場合でも翌日に退院する場合がほとんどです。早目の対応が功を奏した結果だと思います。
 
④ 発症のピーク
熱中症で運ばれてくる患者さんは1年を通して7月下旬が最も多くなります。また、1日の中では午後2時前後にピークがあります。そういえば、夏の全国高校野球大会も、最近は、暑い午後を避けて、涼しい朝のうちに決勝戦をするようになりましたね。

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ぶどうが色づきました。

金曜日, 8 月 26th, 2011


6月29日からこんなにきれいに色づきました。だんだんおいしそうになります。
6月29日のブログはこちらから

 

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発熱(4) 「解熱剤」

金曜日, 8 月 26th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。
今回は解熱剤についてお話します。
熱冷ましと痛み止めって同じ成分ってご存知でしたか?

【熱を下げる機序】
発熱や痛みに関係する代謝経路(アラキドン酸)をブロックすることで熱を下げます。しかし、このことは同時に、血小板、胃粘膜、そして腎臓の通常の機能もブロックしてしまいます。ですから、解熱剤を汎用すると胃や腎臓に悪いわけです。また、このことを逆手にとって、少量のアスピリンを毎日飲むことで血小板の機能を少し低下させ(いわゆる血液サラサラ状態)、脳卒中の予防をおこなっています。
10年ほど前に、炎症に関わる酵素のみを選択的にブロックして、血小板、胃、腎臓への悪影響を無くした「体に優しい痛み止め(COX-2選択的阻害剤)」が開発されました。開発当初は、夢のような薬と期待されましたが、肝心の「鎮痛解熱効果」もやさしく、患者さんからは評価はイマイチといったところです。

【安全な解熱剤】
インフルエンザにある種の解熱剤(薬品名:ポンタール、ボルタレン、等)を使うとインフルエンザ脳症をきたすことがあり、大変危険です。お子さんの場合はアセトアミノフェン(薬品名:アンヒバ、カロナール、等)を使用するのが原則です。海外でも解熱鎮痛剤の第一選択として広く使われている薬です。

【解熱剤は病状を長引かせる?】
答えは「ノー」です。発熱していた方が早く病原菌(あるいはウイルス)が排出されるわけではありませんから。また、熱を下げた方が早く治るわけでもありません。解熱剤はあくまでも対症療法ですので、「高熱で苦しい時に頓用する」というスタンスが良いと思います。1回使ったら、2回目を使うまでに3時間以上は空けた方が良いでしょう。

【アスピリンはピリン系?】
アスピリンはピリンではありません。ピリンアレルギーという言葉を耳にされた方も多いと思います。今ではほとんど聞かなくなりましたが、以前はよく「風邪に効く注射」としてピリン系の解熱剤(商品名:スルピリン、メチロン、等)が注射されていました。これらの解熱剤の急速な投与はショックをきたす可能性があり危険です。

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クリニック通信(36) 「糖尿病セミナー」

火曜日, 8 月 23rd, 2011

先日の日曜日、習慣にしている“日曜日早朝の散歩”を早めに切り上げて、「糖尿病セミナー」を受けてきました。

今回のセミナーは、とても有意義でした。心に残ったお話を2点紹介します。

① 早期の糖尿病性腎症は血糖コントロールの他に、血圧、高脂血症もきちんと下げれば、50%の方が治ります。現状維持の人が25%だったので、合計75%の人が糖尿病性腎症の進行を予防出来ます。
これは、微量アルブミン尿が出ている2型糖尿病患者さん216人を対象に6年間、血糖と血圧と高脂血症の3項目をしっかりコントロールした成績です。この臨床研究に携わった先生方の熱意が伝わってきました。

② 早朝空腹時血糖とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)だけではわからない血糖の『乱高下』があるそうです。特に、食後の高血糖と深夜の低血糖は相殺されて、HbA1cには反映されないとのこと。特に重症の低血糖は死亡リスクを高くするため深刻な問題です。現在、最もよく使われている血糖降下剤(スルホニルウレア剤)では食後の高血糖を十分に抑えることが出来ないので、ついつい多めに処方しがちになります。その結果、深夜の低血糖は更にひどくなっている可能性があるそうです。糖尿病を治療しているつもりが、逆効果の場合もあるかもしれないのです。
結論は、インスリン分泌に直接作用しない薬での治療が望ましいということでした。

糖尿病リソースガイド よりこれまでは、空腹時血糖とHbA1cで糖尿病の治療は評価されてきました。そこに落とし穴があったのですね。久々の「目からうろこ」の講演でした。

なお、5分毎に血糖を測ることが出来る「持続血糖測定器」という優れものがあります。これで、1日の血糖の乱れ具合が把握できるわけです。

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発熱(3) 「白血球」

日曜日, 8 月 21st, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

ウィキペディアより 左から赤血球・血小板・白血球(リンパ球)発熱を来す原因の80%は感染症です。感染症とは肺炎や胆のう炎のような「細菌感染」とインフルエンザのような「ウイルス感染」の2つがあります。
細菌感染では血液検査で白血球が増えます。白血球は幾つかの種類で構成されていますが、細菌感染では好中球の割合が高くなり、白血球全体の90%程度を占めることも度々あります。一方、ウイルス感染では白血球は増えません。むしろ下がることもあります。好中球の割合も変化しませんが、リンパ球の割合が多くなります。
この規則を基に感染症の原因が細菌かウイルスなのか判断しています。

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よもやま話(62) 海外旅行(その10) 「セントラルパーク(ニューヨーク)」

土曜日, 8 月 20th, 2011

centlal-parkセントラルパークはニューヨーク(アメリカ)マンハッタンの中央に位置する東西に0.8km、南北に4kmもある長方形の公園です。

公園内はとても手入れが行き届いており、きれいに刈り込んだ芝生の広場の中を遊歩道やサイクリングロードなどが気持ちの良い弧を描いています。公園には小高い丘や、ボートに乗れるような大きな池もあります。なんと、この公園、人工の公園なのです。丘も池も全部造設されたものなのです。今から100年以上も前にこんな立派な公園を設計するなんて素晴らしいですね。公園内を横切る道路がありますが、半地下に道路を作り、車が視界に入らないように工夫されています。

公園と市街地の境目がとても素敵です。「ここから公園です。」みたいな柵や金網は一切ありません。なんとなく、樹木が多くなってきて、車道がサイクリングロードや歩道になり、気が付いたら、広大な公園の風景が目に飛び込んでくるといった感じです(伝わったでしょうか?)。

あたり一面が芝の中にポツンと1本の桜の木があったりして、結構シュールに作ってあります。公園内には喫茶店もあります。大抵、犬を連れた人々がコーヒーを飲んでゆったりと過ごしています。そうそう、「セントラルパークで犬と散歩する」というのが、ニューヨーカーのステータスシンボルだそうです。家賃の高いマンハッタンで、犬が飼えるような広いアパートに住んでいる人の特権ですからね。

imagine 公園の隣にはジョンレノンの住んでいた「ダコタアパート」があります。公園内に「イマジンの碑」があり、いつも沢山の花がたむけてあります。

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発熱(2) 「マラリア」

木曜日, 8 月 18th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

ハマダラカ ウィキペディアより私が「発熱をきたす病気」でまず思いつく病気は「マラリア」です。「三日熱マラリア」とか「四日熱マラリア」というように熱の出方が病名になっているからです。医学部学生時代の寄生虫学の教授がマラリアの専門家であったことも関係しているかもしれません。実習でマラリアを媒介する「はまだら蚊」を何時間もかけてスケッチした記憶があります。

マラリアは熱帯地方の病気で、現在も5億人ほどの患者さんがおり、年間100~200万人の死亡者がいます。地球温暖化が進む近未来においては、日本にとっても決して無縁な病気ではなくなるかも知れません。ゴキブリが津軽海峡を越えて北海道でも越冬するようになったのと同じく、マラリアも沖縄、南九州辺りまでは生息する日が来る可能性が危惧されています。

マラリアに感染すると、1~2週間の潜伏期間を経て、急に40℃以上の高熱が出ます。高熱が数時間続いた後に平熱に戻る。ということを繰り返します。想像しただけでも恐ろしい病気です。

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クリニック通信(35) 「充実感」

火曜日, 8 月 16th, 2011

ここ数日、何となく自分の心が充実感で満たされていました。「どうしてかなあ?」って考えてみると、先日、大腸カメラを使って切除したポリープの病理結果(顕微鏡検査)がその理由だと気付きました。ポリープは、がんだったのですが、がん細胞が粘膜内に留まっていたために(粘膜内がん)、ポリープを切除することで治療は完結しました。手術する必要はありません。

大腸info HP より

大腸カメラの最大のメリットは、「早期がん(粘膜内がん)を見つけて切除出来る。」ということだと思います。
勿論、大腸カメラで腸に病気がないことを確認することや、あるいは、潰瘍性大腸炎などの腸の病気を診断することも大切なことです。でも、やっぱり、究極の長所は「早期がんを見つけて治療出来る」ということだと思います。

進行した大腸がんはクリニックで見つかっても、外科医のいる総合病院にお願いしなければなりません。しかし、早期であれば、クリニックだけで治療は達成されます。診断するだけじゃなくてきちんと治療も出来ることが、クリニックの存在意義を高めてくれると思うのです。

これからも「早期大腸がんの診断・治療」を中心に据えて、そのためには、大腸内視鏡検査をよりスムーズにおこなえるように工夫し、さらには、「便潜血検査の有用性」を地域住民の方にもっと知って頂くように診療の幅を広げていきたいと思います。

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発熱(1) 「平熱と発熱」

日曜日, 8 月 14th, 2011

内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。
発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。

健康な日本人のわきの下で測った体温は平均36.8℃です。36.9℃以下は平熱です。37.0℃~37.9℃を微熱といいます。また、39.0℃以上は高熱といいます。
「私は平熱が低いので、36℃台でも熱感があってつらいのです。」といった話を診察の際に聞くことがあります。言葉の定義上は、37℃以上でなければ、発熱とは言わないのですが、実際の診療においては、このような場合は、36℃台でも発熱ありと判断し、場合によっては、解熱剤を処方することもあります。

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