ヘリコバクターピロリシリーズ⑲ 「ピロリ菌除菌にまつわるエピソード」

胃の小弯と大湾に注目!ピロリ菌に感染している場合、1次除菌(3種類の薬を7日間内服)をおこないます。成功率は95%程度です。1次除菌で消えなかった場合は2次除菌をおこないます。

【エピソード①】40代女性
1次除菌をおこなうも、4日目に強い胃痛と嘔気・嘔吐、下痢が出現しました。前日に刺身を食していたことと血液検査で白血球が増えていたことから「細菌性腸炎」の可能性が強かったのですが、念のために、除菌治療は中止しました。結果的には、薬は3日間しか飲めていません。6週間後、尿素呼気試験で、除菌出来ていることがわかりました。意外な朗報に、ご本人は大変喜ばれました。

除菌の治療期間を7日から5日に短くした報告(順天堂大)では、除菌成功率が73%まで低下しました。5日間に短縮する代わりにもう1種類(メトロニダゾール)薬を加えた場合には成功率が93%に戻っています。
この方のように3日でも除菌出来ることがあるのですね。

【エピソード②】40代男性
胃カメラをおこなった際の迅速ウレアーゼ試験(大弯側の胃粘膜を採取)で「ピロリ菌はいない」と判断されましたが、同時におこなった胃角部(小弯側)の胃潰瘍瘢痕部の生検組織からピロリ菌が確認されました。一般的に、ピロリ菌は小弯側にはあまり生息していません。この方の場合、大弯測の胃粘膜からはピロリ菌が見つからず、逆に小弯側の胃粘膜でピロリ菌が見つかっています。その後、1次除菌をおこないました。

【エピソード③】60代男性
胃カメラ・ピロリ菌確認→1次除菌→除菌成功と順調に経過しています。1年後の胃カメラで小さなびらんから早期胃がんが発見されました。印環細胞癌であったため、内視鏡治療では無く、外科的切除術(幽門切除術)が施行されました。
除菌治療の最大の目的は「胃がんの予防」です。この方は、除菌治療後1年で胃がんが発見されています
・既に1年前に胃がんが存在していた?
・除菌したことで、胃粘膜の変化を来し、びらんが目立つようになった?
・この1年間で急速に胃がんが成長した?
いろいろな可能性が指摘できると思います。また、一方では、
・印環細胞がんはピロリ菌感染との因果関係が無い。
・60代で除菌することによる胃癌予防効果は、さほど期待できない。
などの事実もあります。
いずれにしても、除菌で完全には胃がんを予防できないので、除菌後も定期的な胃カメラが大切ということです。

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