医療に関する話 「がんの予防」
これまでは、「早期発見・早期治療」が最大のがん予防でした。しかし、現在ではさらに一歩踏み込んだがん予防が可能となっています。当クリニックでも対応できることに関連した事象を列挙しましょう。
① 子宮頚がんの予防
子宮頚がんが、ウイルス感染が原因ということがわかっています。このウイルス感染に対するワクチンがようやく日本でも接種可能となりました。10～14歳の女性に摂取することで、ほぼ100％の予防が可能です。
② 胃がんの予防
胃がんはヘリコバクターピロリ菌感染が大きく関与していることがわかっています。最近報告された論文を一つ紹介しましょう。早期胃がんを胃カメラで治療した500人に対して、ピロリ菌の除菌療法をした250人としなかった250人の2群に分けてその後の経過を観察しました。その結果、除菌群には除菌しなかった群に比べて有意にがんの再発がなかったのです。除菌療法はわずか1週間の抗生物質の服用で終わります。
③ 肝臓がんの予防
肝臓がんの90％はB型肝炎かC型肝炎を持った患者さんから発症します。C型肝炎患者さんの3人のうち2人に肝臓がんが発病します。インターフェロン治療によってC型肝炎を治すことが、肝臓がんの一番有効な予防であることは間違いありません。
④ 食道がんの予防
タバコと飲酒の両方をたしなむ人は両方ともやらない人の7倍も食道がんになりやすいと言われています。禁煙することは肺がんだけでなく、食道がんの予防にも有用なのです。当院では、積極的に「禁煙外来」をおこなっています。