心に残った話(17) 「週末」

今回の主人公は50代の女性です。当時、私は2年間の研修医生活を終えたばかりの20代後半の世間知らずの若造でした。
その患者さんは、とある金曜日の午後に発熱で入院されました。血液検査やレントゲン検査の結果、どこかははっきりしないけど、細菌が感染したことによる発熱と判断し、抗生物質を1日2回点滴することにしました。次の月曜日までの指示を出し終えた私は、土曜日と日曜日の週末は行楽に出かけました。当時はまだ携帯電話がなく、病院から外出先の主治医に連絡を取ることは出来ませんでした。

free07-03旅行から帰って来て、月曜日の朝、病院に行くと、その患者さんは全身に湿疹が出来ていました。さらに高い熱が続き、血液検査では白血球が激しく減少していました。薬が合わなかったためです。患者さんは「この点滴をしたら余計具合が悪くなるから止めて欲しかったけど、先生がいないから、仕方なく点滴を受けた。」と言われました。肝心な時に頼りになるべき主治医が傍にいない。さぞ心細かったことと思います。申し訳ない気持ちと患者さんを放っておいた自分の過ちの大きさに気が付きました。直ちに抗生物質の点滴を中止し、薬のアレルギー反応を消すための治療を始めました。白血球減少に対しては、当時はまだ白血球を増やす注射がなかったので、無菌室に入ってもらい、抵抗力の落ちた体にバイ菌がつかないようにしました。
 
 数週間後、無事、無菌室から一般病室に戻ることが出来ました。本当にホッとしました。
 以降20年余り、平日はもちろんのこと日曜日でも必ず朝病棟に行って、入院患者さんに変わりがないか確認するようになりました。どうしても出来ない時は、同僚にお願いしました。
 この方から『入院患者さんを担当する』責任の重さを教えて頂きました。

 

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