「腹痛(その3) 便」
今回は腹痛と便の関係についてお話しましょう。
① 下痢を急に止めてはいけない。
細菌やウイルスが胃腸に入り、腹痛と一緒に嘔吐や下痢の症状がでます。これらの症状は体内に入った菌や毒素を排除しようとする生体の反応でもあるわけですから、極端に下痢を止めることはかえって良くありません。20年以上前に大阪府堺市で大発生した「O-157による集団食中毒」でも、下痢止めを飲んだ方は病状が重症化しています。
② タール便は胃からの出血の可能性が大きい。
真っ黒な糊のような便、あるいはチョコレートを溶かしたような便は「タール便」と表現します。これは、胃などから出血した大量の血液が胃酸で酸化されて黒く変色したものです。ですから、早急に医療機関を受診する必要があります。
「タール便」は必ず泥状です。コロコロのタール便はありません。なお、緑色の便は胆汁の色ですので心配はいりません。
③ 未消化便は下痢と似ているが別物。
すい臓の機能が悪くて、十分に消化できないまま便になることを「未消化便」といいます。未消化便は固まりにくく、パッと飛び散ってしまいますので、一見、下痢便と間違えます。
未消化便を良く観察すると、ニンジンやしいたけなど食べた物が観察されます。消化の良い炭水化物中心の食事にし、さらに消化剤を飲めば、脂肪便は改善されます。
【おまけ】 特殊な下痢 WDHA症候群
消化管ホルモンのひとつであるVIPが過剰に産生されるために起こる下痢。本邦での報告は100例前後です。私は経験したことがありません。
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