心に残った話(18) 「ギランバレー症候群」

今回お話しする方は60歳代の男性です。
数日前から頭痛、手足のしびれた感じ、嘔気、腹満感、等のいろいろな症状があったのですが、それらの症状が徐々に増悪するため、土曜日の午後に救急車で来院されました。
普通は、救急外来入り口に救急車がバックで入ってきて、ハッチが開くと、救急隊の方がストレッチャーに寝ている患者さんを下ろします。ところが、今回は、ハッチが開くと、患者さんが自分の足で歩いて降りてこられました。「???」
私と研修医の2人で診察をしましたが、これといった異常が見つかりません。意識もしっかりしておられますし、手足の筋力も正常で、反射(打腱器で膝をポーンと叩くあれです)の亢進もありませんでした。脳のMRIをチェックしましたが異常は認めませんでした。病状が把握出来ないため入院して頂きました。

翌日(日曜日)になると、少しおしっこが出にくくなり、足腰に力が入りにくくなりました。いつもは、自分の専門である胃腸の病気を診察していますが、この週末は私と研修医しかいません。神経内科診断学の本を必死で読み直し、当てはまりそうな病気を探しました。進行する末梢神経障害と排尿障害から、「ギランバレー症候群」の可能性を考えました。「ギランバレー症候群」は免疫異常が誘因で、末梢神経が障害を受ける難病です。最終的には呼吸筋も麻痺するために人工呼吸器につながなければいけない場合もあります。
診断をつけるために、背骨と背骨のすき間に針を刺して、髄液を採取しました。予想どおり、「蛋白細胞解離」という髄液中の蛋白は増えているのに細胞数は増えていないという「ギランバレー症候群」に特徴的な結果を得ました。診断はつきました。次は治療です。大量の「免疫グロブリン」(血液製剤)の投与が必要です。日曜日だったので、薬品会社は休みです。関連病院から免疫グロブリンをかき集め、治療を始めました。

長い日曜日がようやく終わり、やっと月曜日の朝を迎えました。入院されて3日目です。朝一番に大学病院(神経内科)に転院をお願いしました。救急車に同乗し、大学病院の先生の姿を見た時は、本当にホッとしました。

数ヵ月後、大学病院から報告が届きました。入院後、呼吸筋が弱くなり人工呼吸器につながれた時期もありましたが、無事退院されたとのこと。良かったです。

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