クリニック通信(50) 「内視鏡的切開剥離法(ESD)の講演」 

先日、ESDの講演を聞きました。ESDとは、胃や大腸の早期がん(粘膜がん)を内視鏡を使って切開・剥離していく治療です。お弁当を食べながら講演を聞く「ランチョンセミナー」でしたので軽い気持ちで拝聴しておりましたが、面白いのでドンドン引き込まれていきました。その中で印象深かったフレーズを2,3ご紹介します。

『内視鏡治療が何故難しいか? それは、片手でりんごを剥くようなものだからです。』

片方の手でりんごをしっかり固定して、もう片方の手でナイフを持てば、りんごは上手に剥くことが出来ます。内視鏡検査での操作は、ポリープや粘膜をしっかり把持した状態で、切るとかクリップをかけるとか針を刺すとかは出来ません。すべて、不安定な状態でこれらを遂行しなければいけないのです。その対策として、私自身は出来るだけ安定した場所にポリープや潰瘍が位置するようにカメラを微調整しています。

『日本は胃がんの多い国です。欧米やイスラム圏の国々ではそれ程、胃がん患者さんはいません。ですから、これらの国の医師は内視鏡治療を沢山経験することが出来ないのです。』

医師は自分の努力で内視鏡の技術が上達したと思っていますが、実は患者さんがいてくれるからこそ上達できるのです。幾らシュミレーションシステムや動物で練習を重ねても実践にはかないません。日本という恵まれた環境で、医師として働けることに感謝しなければいけませんね。

『ESDを始めた時、100例やって10例は緊急手術になっていました。切開・剥離の処置器具も開発されていませんでしたし、止血と言えばクリップしかありませんでした。』

ESDをした場所から動脈性に血が噴き出している写真や、数えきれない程のクリップがかけられた写真が提示されました。医学書や学会で見る写真はどれも、「まるで手品のように」完璧に治療されたものばかりです。こんなふうに発展途上時期の試行錯誤している時の話こそが聞きたいのです。そこに真実があると思うからです。

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