医療の話  「伝染性単核症」

伝染性単核症はEBウイルスに感染することによって発症する病気です。高熱、リンパ節腫脹、喉の痛み、肝機能障害、などが主な症状です。唾液を介して感染することが多いことから俗に「kissing disease(キッシング病)」とも言われています。

39℃でた!先日、数日間の高熱の後に、瞼(まぶた)がむくんだために来院された方(19歳)がいらっしゃいました。

まず尿を調べると、蛋白が出ています。血液検査では白血球が増えています溶連菌感染後ネフローゼ症候群をおこし、瞼が腫れているのではないかと推理しながら診察を進めました。血液検査では肝機能障害を認めました。エコー検査では脾臓が腫れ、胆のう壁も肥厚していました。血液検査結果から、当初、想定していたネフローゼ症候群は否定されました。しかも、瞼の腫れと胆のう壁の肥厚がどう関係しているのか説明できません。正直、混乱してしまいました。白血球増多と脾臓の腫れから最悪の場合、「白血病」の可能性があるかも知れないと考えました。念のために、大学病院の血液内科で診て頂くことにしました。

その結果、リンパ球の半分以上が『異型リンパ球』であり、(後に判明したことですが)EBウイルスに初感染のパターンのウイルス抗体価を示したことで、伝染性単核症と診断されました。紹介状に「伝染性単核症の疑い」と書けなかったことが、口惜しかったのですが、患者さんが1週間の入院で元気に退院されたので、兎に角、良かったです。

文献を調べてみると、伝染性単核症でまぶたが腫れることが、確率は低いものの、在るのですね。初めて知りました。なぜ、まぶたが腫れるのかは、分かっていないようです。また、本疾患で胆のう壁が肥厚することも稀ながら報告されていました。

(〇)発熱 90%以上
(〇)首のリンパ節の腫れ ほぼ100%
(〇)喉の発赤 80~90%
(☓)肝臓腫大 50~90%
(〇)脾臓の腫大 30~75%
(☓)発疹 30%程度
〇)眼瞼浮腫 10~30%
〇)胆のう壁の肥厚 非常にまれ

〇印:本例に当てはまる。☓印:本例に当てはまらない。

「瞼が腫れている」という事象に惑わされて、確定診断に至るまでに遠回りをしてしまいました。伝染性単核症は教科書どおりではない、非典型的な症状や経過を辿ることが多いのですが、改めて、診断の難しい病気であることを思い知らされました。

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