よもやま話(10) 「勤務医vs開業医」

昨今、勤務医の過重労働が問題視されています。勤務医は忙しすぎて休む間もないため、13人に1人が「うつ状態」にある。などと報告されています。私も開業する前は24年間勤務医だったので、そういう一面も理解できます。

テレビのCMで流れる、過酷な勤務医の画像。。。"

しかし、勤務医にしか出来ないやりがいもあります。難しい手術を成功させるとか、新しい治療法を発表するとか。そんな立派なことでなくても、あるいは、たった一人でも、自分の出来る範囲で、自分の能力に合った「臨床研究」を行うことは可能です。私自身も疑問に思った事象や結論が出ていない事柄について、2,3臨床研究を行った経験があります。例えば、アルコール多飲が原因で急性すい炎になる方のケトン体(注1.)が異常に高いことが何回か続きました。ひょっとしたら、すい炎の病気の程度(重症度)と血液中のケトン体とは因果関係があるのではないだろうかと考えました。それからは、すい炎の患者さんが入院すると、ケトン体も必ず測定することにしました。そして、この2者の間には「正の相関関係」にあることを結論付けました。
臨床研究を始めますと、例えば、研究対象の患者さんが入院してくると、検査結果がすごく気になりますし、いろんな事をきちんとしておかなくてはいけなくなります。自分自身に厳しくなりますし、やる気も沸いてきます。惰性で日々の診療にあたるということがなくなります。たまたま、自分の時間が取れた時も、データ整理や結果の解析、関連した論文を読むなど、充実した時間が過ごせます。学会で発表すれば、さらに、達成感も味わえます。
開業医になった今、勤務医の良さを再認識しています。

(注1.)ケトン体とは脂肪酸の代謝物質であり、エネルギー源として糖質が適切に使われていない時に増加する。例えば、飢餓状態、糖尿病悪化時、など。

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