医療の話  心不全

血圧と脈拍を測ります。50才代の方で食欲不振のために胃カメラを希望されて来院されました。
BMI29とかなりの肥満です(正常18~24)。
血圧200/135 mmHg  脈拍90回/分(自動血圧計による測定)
酸素飽和度98%(パルスオキメーターによる測定)

食欲は無いのですが、体重は減っておらず(測定していない)、過去に高血圧は指摘されたことは無く、いつから高いのか不明でした。

幾つかの懸念が頭をよぎりましたが、それを打ち消して、ご本人の希望通り胃カメラを実施しました。何も異常は見つかりませんでした・・・。

<数週間後>
市内の総合病院の循環器内科医より、急性心不全で入院されたと連絡を受けました。胃カメラの時に心不全の兆候はなかったか尋ねられました。心不全の原因は頻脈性心房細動によるポンプ不全でした。利尿剤の投与で体重は7kg減少し、アブレーションで心房細動は消失しました。心不全や呼吸不全ではしばしば食欲低下を来します。ですから、こういった病状の方に、「食事が十分摂れていないなら、点滴でもしておくか。」といった処方は真逆の治療であり、心肺不全を悪化させてしまいます。

頭では理解しているつもりでしたが、この方の心不全の兆候を見抜くことが出来ませんでした。どこに問題があったのか。幾つかの言い訳が頭をよぎりました。「あの日は忙しくて、ゆっくり話を聞けなかった。」「胃カメラの直前には緊張のあまり血圧が急に上がってしまう人はいる。」などなど。しかし、冷静に考え、出した答えは、『直接、脈を触れていなかった』ということにたどり着きました。
たった10秒でも、この方の手首で脈をとれば、脈が乱れていることに気付いたはずです。脈拍数を器械に任せていたため、心房細動に気付かなかったのです。問診をしながらでも脈を触れることは可能です。私のこれまでの診察のスタイルに問題があったことを痛感させられました。

<現在>
初診の方、高血圧の方、脈の多い方などには、手首で脈を取るようにしていますが、すべての方に実行するまでには至っていません。長年の習慣を変えるというのは難しいですね。気が付くと、脈を触れていません。しかし、ここで、自分を律して、脈を取る診察のスタイルを確立しなければ、同じ失敗を繰り返すことになります。患者さんから教わることが多いです。

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