心に残った話(9) 「心は自由」

私のこれまでの24年間の医師としての経験の中で印象深いエピソードを時々紹介したいと思います。すべて実話ですが、個人の特定が出来ないように、場所や時代は多少事実とは違います。よかったら、読んでみてください。

心は自由。。。今回の主人公は20年前、当時40代の女性です。関節リウマチで両手の関節はすべて、腫れて、変形してしまっていました。お茶碗と箸を持つことすら出来ない状態でした。リウマチの悪化で胸に水が溜まったために入院となりました。ご主人やお子さん達が、毎日、身の回りのお世話に来られていました。お話を伺うと、自宅でも、主婦業らしいことは何も出来ないので、夫と子供が分担してやってくれているとのことでした。ご主人も、面倒がらずに、小まめに、よく介護されていました。ご本人も自分の病気を恨むでもなく、嘆き悲しむでもなく、淡々とした印象でした。時には、笑顔さえ見せてくれました。
「この病気にさえならなかったら。」「この痛みさえなかったら」治らない病気にかかった時、ほとんどの人は当然そう思います。病気をする前に戻って、人生をやり直したい。出来れば、そうしたいものです。しかし、それは叶わぬ夢です。今の自分の置かれた状況を嘆くよりも、「何が出来るか」を見つけることが大事なのでしょうね。体が不自由でも、心は自由です。笑うことも出来ます。そんな強さを教えて頂きました。

【追記】20年前のリウマチの治療といえば、痛み止め、ステロイド、金製剤の3種類しかありませんでした。これらの薬には根本的に病気を治す効果はなく、関節がどんどん変形していくのを止めることは不可能でした。最近では、免疫抑制剤や抗サイトカイン製剤の出現で、リウマチは治る病気になりました。早期に発見できれば、関節の変形を予防することも可能です。

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