早期の食道がん

食道がんの内視鏡治療の絶対的適応はがんが粘膜上皮か粘膜固有層までに留まっている場合に限られます。粘膜筋板や粘膜下層の浅い所までがんが浸潤していると、リンパ節転移が15%程度(諸説あります)あるため、相対的な適応となります。これは、胃がんや大腸がんが、粘膜下層の浅い所までであれば、内視鏡治療で完治するのと比べると、とても厳しい条件です。
先日、胃カメラで早期の食道がんが見つかった患者さんがいらっしゃいました。自覚症状は胸のつっかかった感じです。カメラでは、「粘膜がザラザラしている領域があるな」という程度の異常でしたが、ルゴール不染帯として描出され、生検で確定診断がつきました。総合病院にさらなる精査・治療をお願いしました。

食道がんのハイリスクグループは、
① 55才以上の男性
② ヘビースモーカー
③ ヘビードリンカー
④ 飲酒により顔が赤くなる人(過去にそうだった人も該当します)
⑤ 野菜・果物をほとんど食べない人

です。心当たりのある方は注意してください。

放射線のマークです。ここからは、まったくの私見ですので読み流してください。
【もし、私が食道がんになったら】
私は放射線治療だけを選びます。理由は、「楽だから」です。食道がんは放射線によく反応します。放射線治療を受けて間もない患者さんを内視鏡で観察したことがありますが、食道粘膜は「ずるむけ」の状態でした。がん細胞は焼き尽くされていたのです。頼もしい限りです。放射線治療はどこも切除しないので、臓器はそのままです。術後の辛い思いもありません。放射線治療は進行癌に対する姑息的な治療のようなイメージがありますが、早期の食道がんこそ放射線治療の良い適応だと思います。治療の侵襲性の少なさ、根治性、治療後の生活の質の高さ、どれも素晴らしいと思います。

【附則】粘膜下層に留まるがんを「食道表在がん」、粘膜がんは「早期食道がん」と言います。ブログを書いた時点では、がんの深達度がまだ確定されていなかったため、『早期の食道がん』と表現しました。


追記その後の経過

内視鏡治療でがんは完全に取り除かれました。深達度は粘膜固有層まで(早期食道癌)で、リンパ節転移の可能性はありません。本当に良かったですね。

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