よもやま話(4) 「スキー」
娘の高校入試が終わったので家族でカナダにスキー旅行に出かけ時の話です。あいにく天候が悪く、視界が非常に悪かったため、なだらかな斜面をゆっくり滑っていました。娘が転んでスノーボードを履き直すために、みんなが立ち止った時です。娘が、ボードを手放した際に、ボードがコースを外れ、横の斜面を真直ぐ下に流れて行きました。それを取り戻そうと、みんなが止めるのも聞かず、娘は追いかけていきました。一瞬のことでした。
吹雪で数メートル先は何も見えません。僕も娘を追いかけました。10m程下の吹き溜まりに娘はいました。ボードは見当たりませんでした。さあ、ここからが大変でした。コースを外れ圧雪していない所は、まるで雲の中にいるようなものです。雪に埋もれた娘を引っ張り出すために、スキー板を外した途端、自分自身がフカフカの雪の中に埋もれてしまいました。両手で板に摑まっていたので首から上だけが雪上に出ている状態です。なんとか、板の上にあがりましたが、メタボな自分をののしりました。何とか娘と二人でスキーの板に乗り、ゲレンデがあると思われる方向に向かって歩き出しました。晴れていればほんの100メートル先のことなのでしょうが、まったく何も見えません。人の気配もありません。「遭難した。」と思いました。1時間か2時間ぐらいもがいたと思います。何となく人の気配がするようになりました。またコースに戻れたようです。この頃になってようやく天気が回復し、見晴らしが良くなってきました。パトロール隊がやって来て、娘をスノーモービルに乗せて連れて行ってくれました。
翌日は快晴でした。同じところにいってみると、コースが大きな弧を描いている所を、僕と娘は真直ぐに突っ切っていたことがわかりました。海外のスキーはスケールが大きすぎて怖い一面がありますね。