医療に関する話 「不明熱」

医療に関する話 「不明熱」

原因が分からない38度以上の発熱が2,3週間続く場合を「不明熱」といいます。
不明熱はほとんどが感染症ですが、まれに膠原病やがんが原因のこともあります。不明熱は診断が難しく、内科医にとっては悩ましい病気です。

 ① 60歳代、男性。
発熱と体重減少が主な症状でした。肺、腎臓、胆のうなどに細菌感染が無いか調べましたが異常ありません。膠原病を疑うにしても皮膚や関節に何も異常がないのです。ほとほと困り果ててしまいました。当時の内科部長先生から「血管造影をやってみたら」とアドバイスされました。血管造影では、腎臓に小さな動脈のこぶが沢山認められました。「結節性多発動脈周囲炎」という難病でした。小さな血管が勝手に炎症を起こすことによって高熱が出ていたわけです。以降24年間、一度もこの病気に遭遇したことがありません。

illust3508thumb② 20歳代、女性。
40度近い高熱がビュンビュン出る発熱が続いていました。この方は咳が出ていたので胸のCT検査をしました。胸にはドーナッツ状の影がいくつかありました。これはどこか別なところに細菌感染の巣があって、肺に飛んできた時に出来る影です。最初に「細菌性心内膜炎」という細菌の巣が心臓に出来る病気を疑いました。しかし、心臓エコーは異常ありませんでした。ここからが大変です。考えられるほとんどの検査をおこないましたが、異常が見つかりません。いよいよ行き詰まってきた時に、「経食道的心臓エコー検査」を思いつきました。体の表面からのエコーで見るのではなく、胃カメラの先にエコーが付いた器械を使って食道の中から心臓を見るわけです。より近いところから心臓の観察が出来ます。ようやく、探していた「細菌の巣」が見つかりました。

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