糖尿病 シリーズ(10) 1型糖尿病の経験

大学病院に勤めていた頃に、1型糖尿病の患者さんを担当しました。経過が示唆に富んでいたので論文にまとめ医学雑誌に掲載されました。

患者さんは60歳台の男性でした。風邪をひいたあとに、急性すい炎をおこしました。その数日後に血糖値が800mg/dlになりました。通常は80~160mg/dl程度ですから、ひどい高血糖です。突然、糖尿病が発病したわけです。インスリン注射で血糖は何とかコントロール出来ましたが、これを機にご本人のインスリンを出す力は消えてしまいました。一生、インスリン注射が必要になりました。血液検査の結果、サイトメガロというウイルス感染による1型糖尿病と診断しました。

(糖尿病はほとんどが過食によってゆっくり発症します(2型糖尿病)。若年者でウイルス感染などを契機に急に発症するタイプを1型糖尿病といいます。)

【注目点】
① 1型糖尿病は若い人の病気で、60歳以上での発病は珍しい。
② すい炎に引き続いて発病している。
③ すい炎も糖尿病もウイルス感染が原因と考えられた。

文章にすると重症感が伝わりにくいのですが、実際は半年間入院されていました。

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