糖尿病 シリーズ(17) 消化器内科医の立場から

ちょっと生意気ですが、日頃の診療から気付いたことを2,3提案してみたいと思います。

① 肝硬変ではHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は見かけ上、低い値を示す。
肝硬変患者さんは脾臓が腫れています。血球は腫れた脾臓で壊されるため、赤血球の寿命が通常よりも短くなります。その影響でHbA1c値は本来の値よりも1.5程度低くなります。例えば、HbA1cの値が6.0であれば、本当は7.5ということです。

② すい臓がんをもっと意識するべきだと思う。
糖尿病専門医であるがゆえに、血糖コントロールに集中している傾向があるように思います。すい臓がん患者さんの病歴を聞くと、それまでは糖尿病専門医に診てもらっていたということが時々あります。糖尿病はすい臓がんのハイリスクグループであることをもっと認識するべきです。

③ 慢性すい炎では消化・吸収が悪い。
すい液がほとんど出なくなってしまった状態が慢性すい炎です。この場合、単純に糖尿病の方と同じように厳しいカロリー制限をすると、最低限の栄養すら吸収出来なくなり、最悪に場合栄養失調が進行してしまいます。慢性すい炎患者さんに、通常のカロリー計算を当てはめるのは危険です。

*糖尿病シリーズは今回で一旦終了いたします。皆様のご参考になっていれば幸いです。(中野)

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