「腹痛(その13) まぼろしの腹痛」

今回は糖尿病におこる「まぼろしの腹痛」の話です。

 極度のインスリン欠乏により、高血糖、高ケトン血症、アシドーシス(体が酸性になります)になった状態を糖尿病性ケトアシドーシスといいます。インスリン注射が必要な方が急にインスリンを中断したとか、肺炎などの感染症が誘因になります。清涼飲料水の多飲でも起こります。
 前駆症状として、口渇、多飲、多尿、全身倦怠感がおこりますが、悪心、嘔吐、腹痛などの消化器症状もたびたび見受けられます。急な体液バランスの崩れが原因と考えられています。しかし、この腹痛が前面に出て、糖尿病の症状が目立たない時があります。意識がもうろうとしていて、血圧や脈拍などはショック状態に近い値で、頻呼吸ですので、「腹痛の原因はかなり重篤なものであろう。」と判断しがちです。
 糖尿病を患っているという情報がなければ、間違った方向に進んでしまう可能性もあります。
 
 結局、腹痛の原因になる異常は無いわけですから、何を調べても原因は見つかりません。血糖値が落ち着いた頃には腹痛も消えています。まさに「まぼろしの腹痛」です。

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