クリニック通信(36) 「糖尿病セミナー」
先日の日曜日、習慣にしている“日曜日早朝の散歩”を早めに切り上げて、「糖尿病セミナー」を受けてきました。
今回のセミナーは、とても有意義でした。心に残ったお話を2点紹介します。
① 早期の糖尿病性腎症は血糖コントロールの他に、血圧、高脂血症もきちんと下げれば、50%の方が治ります。現状維持の人が25%だったので、合計75%の人が糖尿病性腎症の進行を予防出来ます。
これは、微量アルブミン尿が出ている2型糖尿病患者さん216人を対象に6年間、血糖と血圧と高脂血症の3項目をしっかりコントロールした成績です。この臨床研究に携わった先生方の熱意が伝わってきました。
② 早朝空腹時血糖とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)だけではわからない血糖の『乱高下』があるそうです。特に、食後の高血糖と深夜の低血糖は相殺されて、HbA1cには反映されないとのこと。特に重症の低血糖は死亡リスクを高くするため深刻な問題です。現在、最もよく使われている血糖降下剤(スルホニルウレア剤)では食後の高血糖を十分に抑えることが出来ないので、ついつい多めに処方しがちになります。その結果、深夜の低血糖は更にひどくなっている可能性があるそうです。糖尿病を治療しているつもりが、逆効果の場合もあるかもしれないのです。
結論は、インスリン分泌に直接作用しない薬での治療が望ましいということでした。
これまでは、空腹時血糖とHbA1cで糖尿病の治療は評価されてきました。そこに落とし穴があったのですね。久々の「目からうろこ」の講演でした。
なお、5分毎に血糖を測ることが出来る「持続血糖測定器」という優れものがあります。これで、1日の血糖の乱れ具合が把握できるわけです。
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