発熱(6) 「不明熱(その1)」
内科医にとって最も頻繁に出会う症状は「発熱」ではないでしょうか。発熱に関するエピソードをいくつかご紹介します。
38℃以上の発熱が2,3週間以上続き、詳しく調べても原因が分からない場合に「不明熱」と診断します。不明熱の70%は感染症です。つまり、どこかに細菌が病巣をつくっていて熱を出しているのだけれど、それが何処なのかが解らないという状態です。
例えば、肺炎であれば、発熱以外にも息苦しさや咳や痰などの症状が出ます。レントゲンで肺に異常な影が写ります。痰の培養検査で細菌の種類を調べ、それに合う抗生物質を投与します。しかし、不明熱の場合はこのように単純明快に物事は進みません。
私が経験した不明熱をご紹介します。
【細菌性心内膜炎】
心臓の中に細菌が巣をつくり、時々、細菌が心臓から出ていく血液の流れに乗って全身に運ばれ、その時に高い熱が出ます。心臓の中に細菌の巣があることをエコー検査で見つけなければいけませんが、なかなか見つからないこともあります。
20台の女性で、心臓に雑音があり、当初から細菌性心内膜炎を疑っていました。しかし、エコー検査で心臓の中の細菌の巣を見つけることができません。「おかしいな?」と思いながら、この病気に関する論文をいろいろと調べていると、「通常のエコー検査より経食道エコー検査の方が、病気を見つける確率が高い。」という論文を見つけました。コレダ!って思いました。経食道エコーといって胃カメラの先にエコーが付いた器械で食道の中から心臓を観察する方がより心臓の近くから観察できるわけです。さっそく、その検査を行いますと、探していた細菌の巣を見つけることができました。
なお、有効な抗生物質を決めるために「血液培養」で菌を確認することも必要です。
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