医療に関する話  お腹のレントゲン

医療に関する話  お腹のレントゲン

中野胃腸クリニックのX線室 腹痛で来院された時に、お腹のレントゲンを撮る時があります。
必要性が一番強いのは腸閉塞を疑った時です。
お腹に聴診器を当てると、「パリパリ、パリーン」というガスが充満した腸がお腹の中でグルグルもがいている音(金属音)が聞こえます。レントゲンではお茶碗をひっくり返した様な腸のガス像を見ることが出来ます(二ボー像と言います)。

便秘を訴えて来院された時に、便のたまり具合がわかります。直腸まで便が降りて来ていれば、浣腸が有効です。

肝臓と腎臓はよく見ると形が確認出来ます。石灰化していれば、胆石、すい石、腎臓結石が見つかります。
腸腰筋の辺縁が確認出来ます。

立って撮った写真と寝て撮った写真で胃の中の空気の形が同じであれば、進行胃がんを疑います。姿勢を変えても胃が動いていないからです。小腸のガスが認められれば、急性腸炎を疑います。大腸では、食物残さが発酵してメタンガスが発生するのですが、小腸ではガスが発生しないからです。
腸がないところにガスがあった場合は、腸に穴があいたと考えます(穿孔)。直ちに緊急手術の手配をしなければ行けません。

2、3経験談をお話ししましょう。
① 便秘で来院。浣腸するも排便なし。腹部レントゲンでは直腸に便はないのですが、S状結腸には二ボー像を認めます。S状結腸がんと判断し、外科医のいる総合病院に紹介しました。直ちに、緊急手術となりました。
② 長引く嘔吐で来院。腹部レントゲンでは、腸のガス像が左右両脇に偏っています。お腹の真ん中には何もないのです。CT検査をすると、案の定、異常に拡張した胃を認めました。精査の結果、十二指腸壁内血腫と診断がつきました。十二指腸に閉塞があったため、胃がパンパンに張っていたのでした。ちなみに、外傷歴のない十二指腸壁内血腫は60人程の報告しかないまれな病気です。
③ 腹痛にて来院。腹部レントゲンではへそに一致する場所にドーナッツ状の石灰化を認めました。MRIで腹壁に腫瘤を確認。精査の結果、尿膜管がんと判明しました。(尿膜管とは、胎生期のへその緒の名残りです。)

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