医療に関する話 婦人科疾患による腹痛
先日、医師会主催の勉強会がありました。講師は大学病院の産婦人科の先生で、『婦人科で診る腹痛』という内容でした。講演の最初に「産婦人科で診る腹痛だからといって、特別なことはありません。」と言われました(ちょっとガッカリ)。
「フィッツ・ヒユー・カーチス症候群」という疾患が内科医では「気をつけなければならない腹痛」として有名です。これは、性交渉などによるクラミジア感染の炎症が、子宮にとどまらず骨盤周囲まで波及し、強烈な腹痛を来たす病気です。肝臓の辺りまで痛くなることもあり、胆嚢炎と間違われることもあります。一昔前は「急性腹膜炎」と診断され、試験開腹されることもありました。現在は、まず腹腔鏡で観察し、肝臓の裏側に納豆が糸を引くような炎症所見を認めることでこの診断にいたるようになりました。
内科クリニックで本疾患を疑った時、一番の問題は患者さんにその可能性を説明することです。
確定診断のためには、子宮の入り口から分泌物を採取してクラミジア抗原を調べることが必要ですが、当院では血液中のクラミジア抗体を測定して判断しています。IgG抗体とIgA抗体の2つの抗体の組み合わせから感染の状態を推測します。治療は「ジスロマック」(2g)を1回飲むだけです。案外、簡単です。
なお、クラミジアは細菌ではないため、血液検査で白血球が増えないことがあります。白血球数が正常だから感染症ではないとは限らないのです。
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