医療に関する話 大腸smがん(1)  内視鏡治療か外科手術か

医療に関する話 大腸smがん(1)  内視鏡治療か外科手術か

初期の大腸癌は内視鏡治療(ポリープ切除)で完治します。一方、進行した大腸がんは外科的手術が必要です。内視鏡治療か手術か、その境目になるのが「smがん」です。smとは「粘膜下層」という意味です。

大腸の壁は、内側から、①粘膜 ②粘膜下層 ③筋層 ④漿膜下層 ⑤漿膜 の5層構造になっています。①と②の境には「粘膜筋板」といわれる薄い筋肉の層があります。

がんの深さが①②までにとどまっている時を「早期がん」といいます。①であれば内視鏡治療を選択します。粘膜内にがんが留まっていれば、内視鏡治療で完治します。絶対にリンパ節転移はありません。欧米では「粘膜内がん」はがんとして扱いません。そういえば、外資系のがん保険では「粘膜内がんを除く」という条件を時々目にします。

がんが③④⑤(進行がん)であれば、外科手術が必要です。

問題は②です。粘膜下層を3等分して、上から順にsm1, sm2, sm3と呼びます。がんが1/3までの深さ(sm1)ならば転移がまずないため、内視鏡治療で良いのですが、がんが深ければ(sm2またはsm3)、10%程度のリンパ節転移があるために手術をした方が安全です。

 以上が、内視鏡治療か外科治療かのアウトラインです。次回は、もう少し、深く掘り下げてみましょう。

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