
心に残った話 (24) 虫垂炎
右の下腹部に位置する盲腸の先に付いている細いひものような虫垂。これが炎症を起こすのが虫垂炎であることは皆さんも良く知っておられると思います。今回は当院に通院中の70歳代の女性の方の話です。
【水曜日午後】急な強い胃の痛み(心窩部痛)を感じました。あいにく、当院が午後休診だったので、救急病院を受診されました。胃薬の処方を受け、一旦帰宅されました。
【木曜日】胃痛からお腹全体(強いて言えば下腹部)の鈍い痛みに変わり、下痢が出現したとのことで当院を受診されました。白血球数は11,000/μlと普段の倍になっていました。腹部のレントゲンには問題ありません。下腹部痛は尿管結石の場合もあるので、尿も調べましたが異常ありませんでした。下痢をされていることから、細菌性腸炎(食あたり)と判断し、抗菌剤を処方しました。
【金曜日】「少しは楽になったがまだお腹が痛い。」と来院されました。もう一度、お腹を診察すると、右の下腹部あたりを押さえた時だけ強く痛みを訴えられます。明らかに昨日とは違います。白血球数は今日も11,000/μlで、抗菌剤を飲んでいるのに良くなっていません。エコー検査で虫垂が芋虫様に腫れていることを確認しました。早速、最初に診て頂いた救急病院に連絡し、手術をお願いしました。
夕方『やはり虫垂炎でした。今、手術が無事終わりました。』と連絡を頂き、ホッとしました。
よく知られている虫垂炎ですが、実は、診断は難しいのです。この3日間を振り返れば典型的な経過を示しています。最初は胃痛を感じ、徐々にお腹全体に痛みが移動し、最終的には盲腸の所に痛みが限局しています。
私自身も胃痛や吐き気で来院された方には「虫垂炎も最初は胃の症状だけのことが多いのですよ。」と説明しながら、必ず盲腸のところを押さえて確認しています。しかし、木曜日の時点では虫垂炎を疑わせる所見はまったく認めませんでした。
患者さんが、金曜日にもう一度受診してくださったことを大変感謝しています。「良くならなかったけど、もう一回診てもらう。」と思ってくださったわけで、当院を信頼してくださったことを嬉しく思います。
最初に診察して頂いた救急病院で手術を受けてもらったことも良かったと思います。「あの胃の痛みは虫垂炎の初期症状だったのだ。」と救急病院の先生にとっても良い経験になったと思うからです。
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