平成24年診療報告から(2) すい臓がん
平成24年の1年間に当院で2名のすい臓がんが見つかりました。2人とも、造影CT検査で見つかっています。
急性すい炎の既往のある方、慢性すい炎の方、糖尿病の方などは、すい臓がんのハイリスクグループですので注意が必要です。しかし、すい臓がんの初期には特徴的な症状はありません。
では、「どうすれば、早期発見が出来るのか?」なかなか良い答がありません。
以前、講演で「ハイリスクグループの方に定期的に超音波内視鏡検査(EUS)をしている。」というお話を聞きました。確かに、一理ありますが、胃カメラですら大変な検査なのに、胃カメラの先に超音波装置が内蔵されたEUSを定期的に受けることは、かなりの勇気が必要です。
血液検査ですい臓がんのマーカー(CA19-9など)をチェックしても、初期の段階では正常です。保険診療上も、マーカーの測定は厳しく制限されています。
すい酵素の代表であるアミラーゼはどうでしょうか? すい臓がんが引き起こす「随伴性すい炎」があれば、診断の糸口になります。しかし、アミラーゼの半減期は短く、直ぐに正常値に戻ってしまいます。すい臓がんが存在していても、アミラーゼ値は正常なのです。
むしろ、アミラーゼ値が低い場合は要注意です。血液中にアミラーゼが出てこないということは、すい臓で十分量のアミラーゼをつくれないためなので、慢性すい炎の可能性があります。慢性すい炎は進行しますと痛みが消えてしまいます。アミラーゼが低値でも、症状が無ければ、問題にされないで素通りされてしまうことがありますが、危険です。
エコー検査は診断に役立つでしょうか? すい臓は胃の裏側に位置するため、エコー検査では見えにくいのです。特に、すい尾部(お腹の左側のすい臓)はまず見えません。
糖尿病の患者さんもすい臓がんのハイリスクグループです。理由のはっきりしない血糖コントロールの悪化や、体重減少は要注意です。
結局、ハイリスクグループの方に、定期的に(1年に1回)造影CT検査を受けて頂くことが、一番確実にすい臓がんを見つけられると思います。なお、すい臓がんは血流が悪いので造影して初めて「黒い腫瘤」として浮かび上がります。単純CTでは見つかりません。
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