診療報酬シリーズ(16) 雑感
このシリーズは、開業5年目の私の知識が、母校の新規開業した先生、あるいは、開業を控えている先生のお役にたてればと思い始めました。その対象でない方は読んでも面白くありませんので、予めご了承ください。
思いつくままに、最近知った幾つかの知見をお話します。
① 時間外に来院したという理由だけでは「時間外加算」は算定出来ません。
診療の時間外に急遽診察しなければならない事情があり、それが分る病名が必要です。受付時刻もレセプトに記入しておく必要があります。診療時間を過ぎて来院され、通常の診療をおこなった場合は、「時間外加算」は取れません。なお、昼休み時間の診療も「時間外加算」は取れません。
② 往診や訪問診療は必ず「診療の要点」をカルテに残しておくこと。
往診先ではカルテの記載がおろそかになりがちです。電子カルテは持っていけないので、なおさらです。医院に帰宅後、診療内容を思い出しながら、要点を記録しておく習慣を身につけましょう。「診療の要点」の記載が無いと、全額返金という事態になりかねません。
③ プロトンポンプインヒビター(PPI)の投薬日数制限はきっちりと。
胃潰瘍なら8週間、十二指腸潰瘍ならば6週間という具合にPPIは投与日数に制限が設けられています。8週間ということは要するに2カ月です。ですから、30日分処方をして、次もう1回30日分処方すると、合計60日分処方したことになるので、査定されます。きちんと、56日分だけ処方してください。
④ ヘリコバクターピロリ感染症の診断方法の落とし穴
尿、血液、便、胃粘膜、呼気、など様々な検体からヘリコバクターピロリ感染の有無について調べることが出来ます。最初の検査で陰性と出た場合は、別の検査方法でもう一度検査することが認められています。しかし、尿と血液は注意が必要です。尿と血液では検体は違いますが、どちらも「抗体測定」という意味では同じ検査になりますので、「別の検査」になりません。ご注意ください。
⑤ 初診で血糖チェックなしでのHbA1cは査定されます。
「健診で血糖が高いと言われました。」とか「食事してきています。」などの状況では、つい、血糖測定なしでHbA1cだけを測定しがちです。血糖測定にそれ程意味がないからです。ところが、審査する方は、「血糖測定もしないで、いきなりHbA1cの測定は過剰診療である。」と判断し、査定の対象となります。
【余談】
当院では、毎月1回、レセプト提出の前に専門家のチェックを受けています。当院に来て頂いて、半日、事務室で提出前のレセプトを点検して頂きます。その時に、診療の合間に事務室に顔を出して(短い時間ですが)、いろいろためになる話を聞くことが出来ます。診療点数算定の国家資格はありません。それを専門にしていても、世間的には通常の事務職扱いです。それだけに、診療点数に詳しい方とそうでない方では、レセプトの完成度に大きな差が出ると思います。
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