
医療の話 躊躇(ちゅうちょ)と決断
先日、胃カメラを受けて頂いた時の話です。
直径1cm程度の小さなビラン(赤いただれ)を認めました。気になる病変ならば、生検(粘膜を採取すること)すればいいのですが、抗凝固剤を飲まれているため、生検は出来ません。出血が止まらなくなるからです。心筋梗塞後なので、安易に薬を休止するというわけにもいきません。休薬中に冠動脈がつまるかもかもしれないからです。
総合病院で、抗凝固剤の内服を注射に切り替えた後に生検して頂きました。ごく初期の胃がんだったため、内視鏡治療で完治しました。
結果的には、総合病院に紹介して良かったわけですが、確固たる信念があったわけではありません。その小さなびらんは、日頃良く見かけるようなもので、がんを強くイメージさせるものではなかったからです。
どこの病院も大変混み合っています。「ずい分、待たされるだろうなあ。」「胃カメラを2回受けて頂くことになるなあ。」と紹介状を書くことを一瞬躊躇しました。でも、「これはちゃんと生検してもらおう。」と決断させたものは私の『経験』と『責任感』によるものです。
臨床の場における医師の判断は、実に人間的なものなのです。
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