ヘリコバクターピロリ菌シリーズ(3) 除菌に関するいくつかの誤解
①ピロリ菌の除菌により萎縮性胃炎も治る(間違いです)。
ある程度進んでしまった萎縮性胃炎は除菌しても治りません。ごく軽度の変化ならば、回復の可能性がありますので、除菌は早ければ早いほど良いと言えます。
除菌する時期が1年違うだけで、その後の胃がんの発生率に差が出たという報告もあります。
②除菌すれば、胃がんにならない(間違いです)。
除菌は完全に胃がんを予防するものではありません。除菌後に胃がんが発生することは時々あります。50歳までに除菌すれば、90%以上の確率で胃がんが予防でします。70才以上でも、40~70%の確率で胃がんが予防できます。
除菌しても、胃カメラによる定期的な観察が必要です。
③萎縮性胃炎はあるけど、ピロリ菌はいないので、心配ない(間違いです)。
ピロリ菌に長く感染した結果、萎縮性胃炎がすすみ、胃の粘膜は「腸上皮化生」という変化を来します。胃の粘膜が腸の粘膜のような形態に変わってくるのです。ピロリ菌は胃の粘膜にしか住めないので、腸上皮化生を起こした胃では生きていけません。自然消滅してしまうのです。この時期にピロリ感染の検査を受ければ、当然、「ピロリ菌に感染していない」と判断されます。しかし、過去何十年にもわたってピロリ菌に感染していたわけで、最も胃がんのリスクが高いと言えるでしょう。
胃がんのリスクは萎縮性胃炎とピロリ菌感染の両面から判断するべきです。
当院を広く知っていただきたいと思い、ブログランキングに参加することにしました。左のバナーをクリックすると票が入り、ランキングがあがる仕組みです。よろしかったら応援よろしくお願いします。