あいまいな知識を患者さんが正してくれました。
いつも快活な90歳を超えた女性の患者さんが、珍しく、体調が悪いため来院されました。左肩の痛みも訴えられました。38℃台の発熱以外には目立った異常はありません。ところが、血液検査では白血球が21,500/μl、CRPが21mg/mlと著しく増加していました。一般に、高齢の方は、重病でも症状がはっきりせず、血液検査でも変化に乏しいものです。にも拘わらず、これだけ激しい異常値が出るということは、敗血症や膿瘍、あるいは血管炎、等の重篤な病気が隠れている可能性が高いと判断し、直ぐに、総合病院で診てもらうように手配しました。
痛みの訴えは無かったものの、膝が腫れており、整形外科の先生が関節液を穿刺して、ピロリン酸カルシウム結晶が確認され「偽痛風」の診断に至りました。左肩の痛みも同じ理由でした。
これまで、私は、「痛風は関節内の尿酸の結晶が痛みの原因で、偽痛風は尿酸ではない物質による関節の痛み」という程度の認識しか持ち合わせていませんでした。
しかし、痛風と偽痛風との違いは『尿酸』と『ピロリン酸カルシウム』の違いだけではなかったのです。偽痛風は高熱やCRP高値などの全身症状をともなうために、敗血症や膿瘍などと間違われやすい疾患なのです。
「偽」が付いているために、痛風よりも軽症というイメージ(思い込み)があったのですが、痛風よりも重篤な疾患だったわけです。あいまいな知識で、診察をする危険性を、この患者さんに教えて頂きました。
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