クリニック通信(74)  白血病

クリニック通信(74)  白血病

採血風景です。一昨年と昨年に、1名ずつ(合計2名)の方が、当院の受診をきっかけに白血病と診断されました。当院を受診される方が大体、1年間に1万人ですので、確率的には0.01%といったところでしょうか。

1人は20代の初診の方で、良くある「風邪症状」で来院されました。喉も腫れていないし、首のリンパ節も腫れていません。呼吸音も問題ありません。ただ、「以前、健診で白血球が多いと言われたことがある。」という患者さんの訴えが気になりました。そこで、念のために、末梢血液(白血球、赤血球、血小板数)を調べてみたのです。その結果、異常に白血球が増えていました。バイ菌が体に入った時の増え方とは、ひと桁違っています。直ぐに、総合病院の血液内科に連絡し、入院をお願いしました。(現在、お元気です。)

もう一人は70代の方で、毎月1回、糖尿病で通院しておられました。定期の通院日に来院されましたが、数日前から体調がすぐれないとのことでした。明らかに顔色が悪く、生気がありません。いつもは、血糖などの糖尿病の項目だけチェックしているのですが、末梢血液も調べてみました。その結果、白血球、赤血球、血小板数とも著しく少なくなっていました。特に、血小板数は、正常下限の10分の1になっていました。直ぐに、総合病院の血液内科に連絡し、入院をお願いしました。(現在も療養中です。)

1人目の方からは、初診の患者さんには、何が隠れているかわからない怖さを痛感しました。患者さんの訴えを良く聞くことの大事さも再認識させられました。診察室に何でも話せるムードを漂わせておかなくてはいけません。患者さんの話をさえぎるのは勿論NGですが、「あなたのために、充分な時間をとっています。」と感じて頂けることが必要だなと思いました。

2人目の方からは、いつもの平時の診察こそが大事であることを思い知らされました。些細な異常をいち早く察知するためには、平時の時の入念な全身チェックが必要です。日頃の診療レベルを上げなければいけないと思いました。

限られた時間の中では、つい、定型的な診察に流されがちです。患者さんの訴えも「不定愁訴」として片付けてしまうことがあります。その結果、重大な病気を見落とさないように、日々、精進してまいります。

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