クリニック通信(75)  グループ1 だけど カルチノイド

クリニック通信(75)  グループ1 だけど カルチノイド

カルチノイドを観察中。胃の粘膜を採取すると、顕微鏡診断の結果、5段階のグループ分類がおこなわれます。グループ1は良性、グループ5は悪性です。

胃カメラで5mm程度の小さなビランを見つけました。少し盛り上がっていて、真ん中が窪んでいました。全体的にいびつで、経験的に「悪性かも知れない。」と感じました。粘膜の一部を採取して(生検といいます)、顕微鏡検査に出した結果は「グループ1」でした。

1年後、もう一度、胃カメラ検査をしたところ、同じようにビランがありました。
1年間、同じ所にビランがあることに違和感を覚えました。ビランなら消えていても良いはずです。再度生検をしましたが、「グループ1」でした。

そこで、大学病院で詳しく調べて頂くことにしました。生検が実施され、三度(みたび)「グループ1」でしたが、診断と治療を兼ねて、胃カメラを使って病変が切除されました。結果は、「カルチノイド」と診断されました。カルチノイドはゆっくり発育しますが、組織的にはがんに似ており、悪性であることは確かです。

この報告書を頂いた時、ホッとしました。「グループ1」で大学病院に紹介するのは勇気が要ります。「きちんと診断を付けてもらおう。」と判断したことが良かったと思います。大学病院の先生が、三度「グループ1」であった病変を、リスクを犯して切除してくださったことに感謝します。そして、3回も胃カメラを受けた上に、内視鏡治療を受けてくださった患者さんの精神力に頭が下がります。

カルチノイドは「粘膜下腫瘍」の形態をとることが多いので、粘膜を生検しても、カルチノイドの細胞が採れなかったのかも知れません。

患者さんと医師、そして医師と医師の信頼関係がなければ、こんなに粘り強く検査や治療を続けられなかったと思います。

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