ヘリコバクターピロリシリーズ(14)  血中ヘリコバクターピロリ抗体

ヘリコバクターピロリシリーズ(14)  血中ヘリコバクターピロリ抗体

血中ヘリコバクターピロリ抗体価(10 U/mL以上が陽性)の経過を数年にわたって観察している患者さんがいらっしゃいます。これまでは、抗体価がグレーゾーン(3.0~9.9)の範囲だったのですが、今年は、陰性(3.0未満)になりました。胃の中のピロリ菌が消滅した後、いったい、どれぐらい経過すれば、血中のピロリ抗体は消えるのだろう。といつも疑問に思っていました。

ヘリコバクターピロリ抗体陽性(10 U/mL以上)は、
現在、ピロリ菌に感染していることを意味します。
一方、抗体陰性(10 U/mL未満)は、
①未感染 あるいは ②既往感染 を意味します。

未感染の抗体価はもれなく3.0未満です。
除菌が成功すると、抗体価は除菌後2~3年で10 U/mL未満(グレーゾーン)になり、
さらに、除菌後9年前後で3 U/mL未満(陰性)になります。

ですから、抗体価が3.0未満でも「未感染」と断定は出来ないのです。

健診で血中ヘリコバクターピロリ抗体を測定するようになってきました。陽性ならば、ピロリ菌感染ですから、胃カメラを受けて、除菌治療へ進めていくことは、胃がんの予防のためにも非常に重要です。
では、抗体が陰性だった人はどうなるのでしょうか? ピロリ菌未感染ではなく、既往感染の可能性もあります。既往感染の方も胃がんのハイリスクグループですから、胃の検査を受けないと危険です。このあたりの判断が難しいですね。

【追伸】このブログの参考資料にした論文は私と同じ開業医の先生の執筆です。開業してもなお、医学論文を仕上げるなんてスゴイですね。

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