アカラシア
アカラシアとは下部食道噴門部(胃の入り口)が緩みにくくなることで、食物の通過障害を来たす病気です。先日、当院でアカラシアが見つかった方が、最新の手術を終えて、1年ぶりに来院されました。すっかり、元気になり表情も明るくなっておられました。
アカラシアは10万人に1人程度のまれな病気です。症状も嚥下困難、食欲不振、嘔吐、胸痛など、それほど特徴的なものはありません。そのために、診断に時間がかかることがしばしば見受けられます。摂食障害と診断され、心療内科に長く通院していた報告もあります。
その方は30代前半で、すでに、いくつかの病院を受診されていました。「逆流性食道炎」の診断のもと、抗潰瘍薬(プロトンポンプインヒビター)が処方されていましたが、あまり効果は無かったようです。当院で胃カメラを受けて頂きましたが、特に異常を認めませんでした。この方はとてもしっかりした受け応えで、病状を的確に説明されましたので、心因的な要因は無さそうでした。診断の決め手となったのは、「水が飲み込みにくい。」という言葉でした。アカラシアは、何故か、固形物よりも流動物の方が飲み込みにくいのです。アカラシアの可能性があることをご本人に説明し、大学病院を受診して頂きました。
その後、別の大学病院でアカラシアの根治手術「内視鏡的食道筋層切開術(POEM)」が施行されました。この治療法が導入されて以来、アカラシアは完治する病気になりました。なお、POEMは2008年、世界に先駆けて日本で実施されています。
患者さんが「先生に出会わなかったら、今の私は無かった。」と話してくださいました。医者冥利に尽きる最高の褒め言葉でした。
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