入れ歯の誤飲からの ”まさか” の展開

入れ歯の誤飲からの ”まさか” の展開

60代女性の方が、昨夜、ふと、ブリッジの付いた入れ歯が無いことに気付き、おそらく気がつかないうちに飲み込んでしまったのではないかと来院されました。

喉の違和感や腹痛はありません。腹部レントゲン写真を撮ってみると、盲腸のところに、1cmぐらいの惰円形の白い影とそれにつながる5cm程度の弧状の白い線が写りました。本人にレントゲンに写ったモノを確認してもらい、入れ歯が盲腸で停留していると判断しました。ブリッジの部分の先が尖っているので、今後、大腸穿孔を来しうる可能性があるため、さっそく大学病院に行ってもらいました。しかし、CT検査や大腸カメラで入れ歯は見つかりませんでした。大学病院の先生が詳しく病歴を聞き直したところ、数日前に胃透視を受けていたことが判明しました。レントゲンに写ったものは、虫垂に留まったバリウムだったのです。
そもそも、入れ歯は飲み込んでいなかったのかも知れません。今頃、洗面台のどこかから入れ歯が見つかっているかも。脱力感が残ったほろ苦い経験でした。