『開院10周年記念⑤』 除菌治療の進化
『開院10周年』を迎えるにあたって、私が10年間続けてこられたもののひとつにブログがあります。自分にとって印象深かったブログを紹介したいと思います。
平成27年も沢山の方にヘリコバクターピロリ菌の除菌治療を受けて頂きました。平成27年の除菌治療に関する最も大きなニュースは「タケキャブの導入」でしょう。これまでの1次除菌の成功率は全国平均が75%程度でした。しかし、除菌治療の3剤の内のひとつであるプロトンポンプインヒビター(PPI)にタケキャブを使えるようになって、除菌成功率は90%以上に上昇したのです。従来のPPIに比べて、タケキャブの方が、胃酸分泌抑制能力が圧倒的に強いからです。
平成27年7月以降、当院ではPPIをタケキャブに変更しました。除菌成功率をタケキャブ採用前後で比較してみました。
従来の1次除菌の成功率が63%(99人/156人中)であったのに対し、タケキャブ導入後は95%(53人/56人中)と飛躍的に向上しました。
なお、2次除菌について、同様の比較検討をおこなったところ、92%(34人/37人中)から100%(12人/12人中)となっています。タケキャブって凄いですね。
まだ、除菌を受けていない方、この高い成功率をみてください。是非、除菌しましょう!
【あとがき】
当時、当院の1次除菌の成功率は60%台まで落ち込んでいました。抗生物質のクラリスに対する薬剤耐性が問題視されており、クラリスが悪者扱いされる風潮でした。誰もPPIを問題にしていませんでした。
ところが、PPIをタケキャブに変えることで、成功率は95%まで引き上げられたのです。世の中の風潮に安易になびいてはいけないと思いました。そもそも、つい30年前までは胃の中にピロリ菌がいることを誰も信じなかったのですから。