「開院10周年記念シーズン4」❺ 微小胃がん

「開院10周年記念シーズン4」❺ 微小胃がん

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2018年作成)

5mm以下の胃がんは微小胃がんとして取り扱います。 当院では、過去に微小胃がんの方が名見つかっています。

微小胃がんには、特に特徴は無く、発赤、びらん、わずかな凹凸や色調の変化など、通常の胃炎のような粘膜変化を来しています。微小胃がんの半数は「内視鏡的には悪性と診断出来ない、むしろ良性にみえる」と報告されています。ですから、微小胃がんの診断は、『念のために』生検して初めてわかることが多いのです。

当院で診断した名の微小胃がんも、小さなびらんでした。ただ、名は単発だったのです。びらんが沢山あれば、「びらん性胃炎」ということになりますが、個しかないというのは不自然です。当院ではびらんが個だけの時は生検するように心掛けています。
びらんが複数個あっても微小胃がんが存在していた方も名おられました。この方になぜ生検したかというと、「なんか嫌な感じがするびらん」だったからです。実に、感覚的なものでした。
当院では、自然に出血しているびらんは、必ず生検しています。がんは出血しやすいからです。
びらんの形が星形のような不整形である場合も生検の対象です。

【問題点】
内視鏡治療をするために、再度胃カメラをおこなった際に、正確にその病変が確認できないことがあります。例えば、「胃体中部後壁のびらん」といっても胃体中部そのものが漠然とした領域です。また、管腔臓器ですので、その日の状況で随分胃の形が違うこともあります。生検の跡が消えてしまわないうちに治療しないと、分からなくなってしまうことがあります。現在は、内視鏡写真でしか伝える方法が無いのです。
生検で胃がんが全部取り切れてしまうこともあります。いわゆる「ひと掻きがん」です。この場合、せっかく内視鏡治療をしても切除標本にがんが存在しない。という事態がおこります。

小さな胃がんを見つけることで、胃がんの治療成績や予後はさらに良くなります。しかし、病変が小さいが故に、その取扱いには細心の注意が必要です。