新型コロナウイルス感染症⑦ 「駐車場での診察の難しさ」
新型コロナウイルス感染症が蔓延している現在、当院では感染拡大の防止の観点から、発熱のある方は発熱の無い方との接触を避けるために、車中か玄関先での診療をおこなっています。
【20代女性】37℃台の発熱があるため、車中で聞き取りをおこないました。腹痛と下痢症状にて来院されました。血液検査で白血球の増多を認めたため、細菌感染と判断し、診察室に入って頂きました。右下腹部に圧痛(マックバーニー圧痛点陽性)を認めることから、虫垂炎を疑い、総合病院外科に紹介しました。CT検査で虫垂炎が確認されましたが、保存的治療(抗生物質の点滴)で軽快しています。
【30代女性】37℃台の発熱があるため、車中で聞き取りをおこないました。腹痛で来院されましたが、ご本人が「ここを押すと痛いです。」と言われた場所が盲腸でした。血液検査で白血球の増多を認めたため虫垂炎を疑い、総合病院外科に紹介しました。CT検査で盲腸の憩室炎と診断され、保存的治療(抗生物質の点滴)で軽快しています。
今回、2人とも血液検査で白血球が著しく増えていたことが、診断の大きな助けになりました。もし、血液検査をすることなく、胃腸薬で様子を見ていたら、病状は更に悪化していたと思います。車中でも上手に採血してくれる看護師さんに感謝です。新型コロナウイルス感染症の影響で、通常であれば比較的簡単に診断できる病気まで難しい状況に追い込まれていると実感しました。
なお、多くの総合病院が、急患はまず胸部CT検査をおこない、肺炎像の有無をチェックするようです。肺炎が無ければ、本来の診療が進められるようになっています。