高コレステロール血症は生活習慣病ですか?
今回のブログは「高コレステロール血症」について考察しています。中性脂肪を含めた高脂血症についてではありません。
食事や運動を見直すことで予防や治療の一環になるのが生活習慣病です。高血圧や糖尿病が代表的なものです。高コレステロール血症はどうでしょうか。コレステロールの80%は体内で産生され、残りの20%が食事によって体内に取り込まれます。食事によるコレステロールを控えると、減った分を補おうと体内で余計に作りますので、血中のコレステロール値は変わりません。高コレステロール血症は、食事制限で改善しないのです。厚生労働省のホームページからコレステロールの一日の最大摂取量の記載が削除されています。
一方、運動ではコレステロールが下がらないことが既に証明されています。食事も運動もコレステロール値を下げることは出来ないのです。
高コレステロール血症は何のために治療するのか?その答は動脈硬化を予防し、将来の脳梗塞や心筋梗塞にならないようにするためです。メタボリック症候群は高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満から成り立つ症候群です。この4項目が揃うと「死の四重奏」と言われています。この4項目のうち、2項目以上が満たされると、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクががぜん高くなります。しかし、1項目だけであれば、4項目とも持たない健常人とほとんど差は無いのです。ですから、高コレステロール血症だけの方は、その値にもよりますが(さすがに総コレステロール値が300以上であれば内服治療を受けた方が良いでしょう。)、あえて内服治療はしなくても良いと考えています。
メッドライン(医学系の検索サイト)で高コレステロール血症を検索すると、2012年以降の論文がヒットしません。10年以上前の古い論文を読んでも、コレステロールは食事制限や運動で下がると言われていた時代のものですから、役に立ちません。
このような状況から察するに、現在、高コレステロール血症に対する明確な対症方法が確立していないと思われます。ただし、トランス脂肪酸(マーガリン)と過酸化脂質(古くなった油)が体に良くないことは明らかです。