アメーバ性大腸炎

アメーバ性大腸炎

【患者さんの背景】60代の男性。症状は無いものの健診目的で大腸カメラを受けています。3年前の大腸カメラは異常を認めていません。この3年間に海外旅行は行っていません。大腸カメラでは、盲腸にびらん、不整形潰瘍を多数認め、汚い膿苔や粘液の付着を認めました。同部位の生検でアメーバを認めました。治療薬(フラジール)を10日間内服してもらい、治癒しました。

【解説】赤痢アメーバは嚢子(卵に相当します)が口から入り、大腸粘膜で成虫(栄養型)になり、びらん・潰瘍を伴った腸炎をきたす病気です。当院では7例目であり、非常に稀な病気のように思われがちですが、実は、年間の届け出が1,000人以上あり、症状のない保菌者はその10倍はいると考えられています。*1990年代の届け出数:100人台

【考察】赤痢アメーバの感染経路は、東南アジアへの渡航や同性愛(ゲイ)が主なものとされています。しかし、実際は、この方のように、渡航歴もなく、同性愛でもない方が増えているのです。最近の文献を当たりましたが、この件に関する考察は見つけることが出来ませんでした。そこで、いくつかの客観的事実を並べてみます。

・この数十年で東南アジアへの渡航者や同性愛者が10倍に増えたとは考えられない。

・大腸に生息している成虫(栄養型)から生まれた嚢子(卵)が便と共に排出されます。嚢子は熱には弱いのですが、水洗い程度では取れません。                                           

・東南アジアでは肥料に人糞を使っている場合がある。

・2024年コンビニの大手が日本に初登場して50周年を迎えました。

以上のことから連想した結果、私はコンビニのサラダはなるべく食べないようにしています。