2024年の診療から① 糖尿病

2024年の診療から① 糖尿病

2024年の診療報告の中から、心に残った出来事を紹介します。

 

【70代女性】糖尿病で通院されています(HbA1c 8.1%)。極度の肥満があり、BMIは36でした。しかし、顔面神経麻痺を患い、食事が上手く食べられなくなったことで、半ば強制的に食事制限が始まりました。体重は22kg減少し、BMIは26.7まで改善しました。それと並行して、HbA1c は5%台となり、糖尿病の薬は不要となりました。

 

【50代男性】同じく糖尿病で通院されています(HbA1c 10.8%)。肥満体であり、BMIは32でした。しかし、仕事が営業から工場勤務に配置転換され、半ば強制的に運動療法が始まりました。体重は18kg減少し、BMIは26.5まで改善しました。HbA1c は6.2%となり、糖尿病薬は4種類から2種類に減りました。

 

現在、インスリン以外の血糖降下剤は10系統にも及びます。ビグアナイド類とスルホニル尿素類の2系統しかなかった40年前と比べれば格段の違いがあります。しかし、どんなに画期的な新薬が開発されたとしても、食事と運動に勝る治療法は無いと確信した次第です。