慢性閉塞性肺疾患 (COPD)

① COPDとは
たばこを吸うことで生じた肺の炎症性の病気です。空気の通り道が狭くなる閉塞性肺機能障害を起こします。

② 症状
慢性の咳・痰や体動時の呼吸困難(息切れ)が主な症状です。

③ 患者さんの数
日本においては、600万人ほどいると推定されています。実際に治療を受けている方は30万人程度(5%)です。
70歳以上では6~7人に1人の割合と考えられています。

④ 診断方法
スパイロメトリーの検査をします。
鼻をノーズクリップで止め、器械に接続したマウスピースを口にくわえ、静かな呼吸を数回おこないます。
次に大きく息を吸い(最大吸気)、一気に強い息を全部吐きます(努力性肺活量)。
呼吸量はグラフに表れ、1秒間の呼吸量を測り(1秒量)、呼吸率を計算します(1秒率)。
1秒率が70%以下の場合は「閉塞性障害」と診断します。
吸入気管支拡張薬を吸って頂いて、狭くなった軌道を最大限に広げた状態で、もう一度、スパイロメトリーをおこなうとより正確な診断をつけることが出来ます。

⑤ 治療
気管支拡張剤を使用することが勧められています。
スピリーバ(抗コリン剤)やアドエア(ステロイド+β2刺激剤)を毎日定期的に吸入します。
安定期のCOPDで大切なことは、以下の点です。
(1) 禁煙すること。
(2) 吸入器を正しく使うこと。
(3) 適度な運動をすること。不要な安静はかえって病気を悪化させます。
(4) COPDが重症になるとやせてきますので、やせないように栄養を取ること。
軽症では逆にメタボの方が多いので適切な体重に減量すること。
(5) 風邪の早期治療をおこない、COPDの急性増悪を防ぐこと。
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンも打っておいた方が良いでしょう。

⑥ 並存症
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、糖尿病、骨粗鬆症、胃潰瘍、等

⑦ 問題点
COPDの医療費として毎年約7,000億円が使われています。この膨大な医療費の7割が急性増悪の治療に使われています。
風邪症状が悪化して肺炎・呼吸不全に陥り入院となります。
酸素吸入、抗生物質の点滴、さらには集中治療室での人工呼吸器管理となってしまうため医療費が膨れ上がってしまいます。
多くのCOPDの患者さんが診断されずに見逃されたままになっています。
散歩した際の息切れを歳のせいと片付けてしまっていませんか?
まずは、スパイロメトリーの検査を受けて、閉塞性障害を見つけることが大事です。
今はタバコを吸っていなくても、喫煙歴のある方は、是非、一度スパイロメトリーを受けてみてください。

 

和田明子さんが動画でCOPDについて説明しています。クリックしてご覧下さい。ここをクリックして今すぐチェックしてみましょう。