ウェルニッケ脳症

ビタミンB1を多く含む食材です。ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)が不足することから引き起こされる神経系の急性疾患です。①栄養不足、②眼球運動障害、③小脳症状、④意識変容または軽度の記憶障害、のうち2項目以上を満たせば、ウェルニッケ脳症と診断して良いことになっています(Caine criteria)。

70代女性】                            当院に高血圧で通院中でした。新型コロナウイルス感染症が蔓延してからは、「電話再診」のみで直接診察をすることはありませんでした。近所に住む娘さんがいつもと様子が違うと感じ、2年ぶりにご本人を連れて来院されました。娘さんの話では、歩くのが下手になったとのことです。かといってまったく歩けないわけではありません。性格が変わった様な感じがするとのことですが、意識障害というわけでもありません。
深部反射の異常なく(大脳の異常なし)、指鼻試験正常(小脳の異常なし)、握力の低下なし(運動神経異常なし)といったところです。対光反射は正常でしたが、残念ながら、眼球運動は確認していませんでした。(水平方向の眼振運動が確認出来ていれば、診断に近付けていたかもしれません。)

神経内科の専門医に診察を依頼しました。頭部MRI(T2強調画像、FLAIR画像)で、中脳水道周囲、第三脳室周囲、等に対称性の高信号域を認め、ウェルニッケ脳症が疑われました。血中ビタミンB1濃度が異常低値であったことから診断が確定しました。

ビタミンB1は身体のエネルギー源である糖質の代謝を適切に行うために必要不可欠です。特に脳は糖質に依存する割合が大きいので、ビタミンB1不足から脳へのダメージが生じるわけです。この患者さんにビタミンB1不足が生じた原因としては、一人暮らしだったため、食事が極端に偏っていた可能性が考えられます。ついついインスタント食品ばかり食べることで(糖質過多)、ビタミンB1の需要量が増え、相対的にもビタミンB1が不足したと予想されます。
今回の経験を教訓として、ウェルニッケ脳症が意外に身近にある病気だということを肝に銘じて診察に臨もうと思いました。

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