よもやま話(110)「診察で最近気付いたこと」

寄り添うことは、まず聞くことから。【20代女性】10数年来の”おなら”の多さに悩んでいるとのことで来院されました。腹部の診察では、打診上、腸にガスが溜まっていることを示す「鼓腸」ではなく、S状結腸に固い便を触れるというわけでもありませんでした。”おなら”の臭いも特別強くは無いとのこと。便秘でも無いことから、病的な原因は見当たりませんでした。

”おなら”には主にメタンガスと硫化水素ガスがあります。炭水化物は乳酸菌等(善玉菌)によって代謝され、におわないメタンガスを産生します。蛋白質はウェルシュ菌等(悪玉菌)によって代謝され、におう硫化水素ガスを産生します。

未消化便は発酵しやすくガスの原因になるので、消化の良いもの(糖質)の比率を上げること、小腸での消化吸収を助けるために、消化酵素剤を処方すること、便が大腸に長く留まるとガスが発生しやすくなるので便秘しないような生活習慣を送ること。便秘予防の具体策としては、食物繊維を沢山摂る、水分をしっかり摂る、適量の運動やリラックスすることなどを説明しました。しかし、患者さんは納得された様子が無いまま診察は終了しました。

自分なりに、必要な説明をしたつもりだったので、「言われたことをやってみます。」というポジティブな返事が返ってこなかったのが意外でした。

どうすれば、患者さんに納得してもらえるだろうか考えてみました。私が話した内容なら、すでに他の医師が説明し知っておられたかもしれません。問診の際に、普段は何を食べているとか、何を食べるとガスが多くなる傾向にあるのかとか、ガスが出て困る時はどんな状況かとか、もっといろいろ聞きだすべきだったと思います。
”おなら”が多いということは、他人から見れば、大した問題ではないけれども、本人にとっては切実な問題なのですから、その悩みを理解してあげるだけかも良かったのかも知れません。答(治療法)を見つけるのではなく、苦しみを分ってもらえるだけで、楽になることもありますから。それが、「患者さんに寄り添うこと」かも知れません。

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