Archive for the ‘院長「よもやま話」’ Category

新型コロナウイルスについて(特異度99%)R2/6/1

月曜日, 6 月 1st, 2020

日本全国に先駆けて『第2波』の真っ只中にある北九州市です。コロナウイルスとの戦いは、益々厳しいものとなってきました。
北九州市の風景です。
過去2回(3月と5月)、PCR検査についてブログをアップしてきましたが、いずれも、感度(陽性の人に正しく陽性と出る確率)70%、特異度(陰性の人に正しく陰性と出る確率)70%と仮定して説明してきました。最近、神奈川県医師会のHPで、特異度は99%と考えてよいと記載されていました。そこで、もう一度、計算し直してみました。

北九州市(100万人)では現在100人程度の陽性者がいますので、実際は、その100倍の1万人のコロナウイルス感染症の方がいると仮定してみます。市民全員にPCR検査をおこなった場合を想定しましょう。
コロナウイルス感染(+)の1万人を検査すると、7,000人が陽性に、3,000人が陰性に出ます。
コロナウイルス感染(-)の99万人のうち980,100人は正しく陰性とでますが、9,900人が間違って陽性(偽陽性)と判断されてしまいます。
その結果、コロナウイルスPCR検査の精度(PCR陽性の中の真のコロナウイルス感染患者さんの比率)は7,000/(7,000+9,900)=40%になります。

9,900人の偽陽性の方は、症状がありませんから、北九州市が用意したホテルに2週間滞在するか、自宅待機することになります。まったく無駄な対応です。

一方、コロナウイルスを持っているにもかかわらず、間違って陰性と判定された3,000人は、本人に悪気が無くても、感染源となってしまいます。

「99%正確な検査」と聞くと、ほぼ間違いのない検査方法と思いがちですが、その使い方を間違えると、とんでもないことになってしまうのです。

【私の意見】
★いまだに、「国民全員にPCR検査を」と主張しているコメンテーターは、日本を混乱に陥れようと考えているとしか思えません。
★マイナンバーカードの普及が進んでいないことで給付金が手元に届くのに時間がかかっているようですが、コメンテーターがカメラに向かって「皆さん、カードの扱いに慣れていませんよね。」って発言していました。開いた口が塞がりませんでした。マイナンバーカードと銀行口座を紐づけし、給付金がオンラインで直ぐに届くようにする。それが嫌な人の給付金は後回しで良いじゃないですか。

コロナウイルスについて思うこと(有病率とPCR)R2/5/5

火曜日, 5 月 5th, 2020

色が濃ゆい程、感染がひどい国です。昨日、緊急事態宣言が今月いっぱいまで延期されることが発表されました。まだまだ、コロナウイルスとの戦いは続きそうです。

3月初めに、北九州市(100万人)に100人のコロナウイルス感染症の方がいると仮定して、全員にPCR検査をおこなうと、30万人もの偽陽性をもたらすことを説明しました。
あれから2か月経過し、コロナウイルスは蔓延を続けています。
そこで、北九州市に10万人のコロナウイルス感染症の方がいると仮定して、全員にPCR検査をおこなった場合を想定しましょう。
有病率0.01%から10%に上昇したことになります。

PCR検査の感度は70%程度です。コロナウイルス感染(+)の10万人を検査すると、7万人が陽性に、3万人が陰性に出ます。
PCR検査の特異度(陰性の人に正しく陰性と出る確率)も70%程度でしょう。
コロナウイルス感染(-)の90万人のうち63万人は陰性ですが、27万人が陽性(偽陽性)と判断されてしまいます。
その結果、コロナウイルスPCR検査の精度(PCR陽性の中の真のコロナウイルス感染患者さんの比率)は7万/7万+27万)=20%になります。

有病率が0.01%から10%に増えたことで、偽陽性患者さんは30万人から27万人に減少し、PCRの精度も0.02%から20%まで上昇しました。

もっともっと偽陽性患者さんを減らし、PCRの精度をせめて90%程度にあげるのにはどうしたら良いでしょうか?
簡単です。PCR検査を全員におこなうことを止めて、コロナウイルス感染が疑われる患者さんだけにしぼって検査をおこなえばいいのです。もちろん、疑わしい患者さんに検査をしないというのは論外ですが。
患者数が少ない時(発症初期)は対象を絞ってPCRをおこない、感染が蔓延してきたらPCRを活用すると有効な感染対策が出来ると思います。なぜ、ワイドショーで、この理屈を説明しないのか不思議です。

【補足】
① 島津製作所から新しいPCR検査キットが発売されました。これは、測定時間が従来のものより大幅に短縮されただけです。従来のPCR検査との一致率は100%ですが、感度は従来のものと同じです。
② 諸外国に比べてPCR検査が少ないことが指摘されますが、有病率が全然違います。例えば、イタリアは1万人にあたり40人ですが、日本はわずか1人です。(それを言うと、検査が少ないから正確な感染者数を把握できていないという方がいますが、死亡者数をみてもその差は歴然としています。)

よもやま話(110)「診察で最近気付いたこと」

金曜日, 11 月 1st, 2019

寄り添うことは、まず聞くことから。【20代女性】10数年来の”おなら”の多さに悩んでいるとのことで来院されました。腹部の診察では、打診上、腸にガスが溜まっていることを示す「鼓腸」ではなく、S状結腸に固い便を触れるというわけでもありませんでした。”おなら”の臭いも特別強くは無いとのこと。便秘でも無いことから、病的な原因は見当たりませんでした。

”おなら”には主にメタンガスと硫化水素ガスがあります。炭水化物は乳酸菌等(善玉菌)によって代謝され、におわないメタンガスを産生します。蛋白質はウェルシュ菌等(悪玉菌)によって代謝され、におう硫化水素ガスを産生します。

未消化便は発酵しやすくガスの原因になるので、消化の良いもの(糖質)の比率を上げること、小腸での消化吸収を助けるために、消化酵素剤を処方すること、便が大腸に長く留まるとガスが発生しやすくなるので便秘しないような生活習慣を送ること。便秘予防の具体策としては、食物繊維を沢山摂る、水分をしっかり摂る、適量の運動やリラックスすることなどを説明しました。しかし、患者さんは納得された様子が無いまま診察は終了しました。

自分なりに、必要な説明をしたつもりだったので、「言われたことをやってみます。」というポジティブな返事が返ってこなかったのが意外でした。

どうすれば、患者さんに納得してもらえるだろうか考えてみました。私が話した内容なら、すでに他の医師が説明し知っておられたかもしれません。問診の際に、普段は何を食べているとか、何を食べるとガスが多くなる傾向にあるのかとか、ガスが出て困る時はどんな状況かとか、もっといろいろ聞きだすべきだったと思います。
”おなら”が多いということは、他人から見れば、大した問題ではないけれども、本人にとっては切実な問題なのですから、その悩みを理解してあげるだけかも良かったのかも知れません。答(治療法)を見つけるのではなく、苦しみを分ってもらえるだけで、楽になることもありますから。それが、「患者さんに寄り添うこと」かも知れません。

よもやま話(109) 『生きていく』

月曜日, 4 月 15th, 2019

可愛いおばあちゃん。プライバシーに気を付けながら、患者さんのことをご紹介します。皆さん、90才前後の「超」ご高齢の方ばかりです。

一人目】近所に一人暮らしをしている息子さんがいらっしゃいます。仕事が終わるのが毎日夜10時を過ぎるため、温かい夕飯を作って用意してあげるのが日課になっています。疲れて帰ってきて、冷たいご飯だったら心がすさみます。体力が続く限り、続けていきたいとのことです。
二人目】養護施設に入所しているお子さんがいらっしゃいます。バスと電車を乗り継いで、月に回、面会に行かれています。杖をついて、歩くのもおぼつかないのですが、顔を見せると喜んでくれるので、根性で続けておられます。
三人目】病弱のために入退院を繰り返しているお子さんがいらっしゃいましたが、長年の看病の甲斐なく、昨年亡くなられました。一時期、生きる意味を感じなくなられたようですが、毎日お線香をあげたり、法要をするために、もう少し生きていく気力がわいてきたそうです。

人が生きる場合、「生きていく」と「生きている」があるそうです(浄土真宗の住職さんの話)。この三人の方々は、まさに「生きていく」を実践されていると思います。

よもやま話(108) 腕組み

土曜日, 10 月 6th, 2018

腕組みは拒絶、怒りのポーズです。診察に付き添いの方が同席される場合があります。お子さんの親御さんとか、ご高齢の方のご子息とか、夫婦とか、いろいろです。本人の事が心配だから付き添われていると理解しています。本人から正確な情報が得られにくい場合は付き添いの方からの一言がとても重要なこともあります。
和やかな雰囲気が大事ですね。一方、用意した椅子に座ることも無く、腕組みをして無言で立たれる場合も(ごくまれですが)あります。
これから始まる診察や検査の結果いかんでは、大変なことになる事もあり得るわけで、付き添いの方も心穏やかでないのでしょう。ついつい、身構えてしまい、その結果、無意識に「腕を組む」という動作をしておられるものと思います。
しかし、正直なところ、腕組みをして無言で立たれると、診察する方としては、いささかプレッシャーを感じます。診察を監視されているような錯覚におちいり、診察も型通りの硬いものになりがちです。腕組みは相手を拒否する行動の表れとも言われています。名乗らなくても結構ですので、せめて、腕組みはやめて、フレンドリーに診察に参加しませんか?

よもやま話(107) 10年前の自分と出会う。

月曜日, 9 月 24th, 2018

古いカルテ先日、患者さんがご家族のことを説明されている話の内容から、「それ、ひょっとしたら、主治医は自分かも知れない。」と思い当たる節がありました。水曜日の午後の休診を利用して、以前、勤めていた病院に入院カルテを閲覧しに行ってきました。10年前の自分の書いたカルテを見るのは、とても新鮮でした。

当時は、まだ電子カルテが導入されておらず、紙カルテでした。ですから、自分の肉筆を見ることが出来ました。
入院時の診察所見、診断、治療計画。
ご家族への病状説明、治療計画、予後、の説明。さまざまな検査や治療の同意書。
治療の評価
更なる追加の治療
ご家族への病状説明(入院後の経過や追加治療の必要性、など)
難病の申請手続き
等々。
人工呼吸器の設定・管理などの記載を見て「こんな難しいことをやっていたんだ」と感心しました。リスクの高い処置にも次々と立ち向かっていました。10年前の頑張っている自分と出会えて嬉しかったです。

よもやま話(106) 「寄り添う」について考えてみました。

水曜日, 5 月 10th, 2017

雪だるまも寄り添っています。最近、よく耳にする言葉のひとつに「寄り添う」というのがあります。
「被災者の皆さんに寄り添って・・・」
「患者さんの気持ちに寄り添う医療を・・・」
などです。

この「寄り添う」のイメージでは、
・そばにいて、話を聞いてあげる。
・少し離れたところから見守っていてあげる
・少しでも明るい気持ちになれるように、励ましてあげる。
等々でしょうか。

でも、「寄り添う」を行動に移すとなると難しいのです。
話を正確に理解することが、話を聞いてあげるということでもないのです。
見守っているだけでは、気付かれないかもしれません。
励ますことが本人の自信を失わせ、逆効果になることもあります。

寄り添ったつもりでも、相手が寄り添ってもらったと感じたのか分かりません。
どうすれば、「寄り添ってもらえた。」と感じてもらえるのでしょうか?

「寄り添う」って難しい。
それが出来れば、医療人として、人として、一歩前進なのでしょうね。

よもやま話(105)  政治家の言葉

金曜日, 9 月 16th, 2016

徹底的に「無駄を無くします。」政治関連のテレビ番組を観ていて、私にとってのキーワードが2つあります。

①安心安全
「それを目指す(確率を上げる)」という意味であることは理解していますが、それを成し遂げることは不可能です。安心安全な社会ってあり得ますか? いくら自分自身が気を付けていても、人口の一定の割合で犯罪者はいるのです。予期せぬ事故だって起こります。物体が動けば、運動エネルギーが発生するわけで、そのエネルギーは危険なものになりえます。
日本では子供が学校に行く時、玄関で送り迎えをします「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と。映画を見ていると、アメリカでは親が車で学校まで送り迎えしています(スクールバスの場合もありますが)。少なくとも日本はアメリカより安心安全な国だと思います。

② 無駄を無くす。
以前、知り合いの大学病院の教授が「無駄を省くということで、秘書さんが配置されなくなってしまい、困っている。」と嘆いてました。
教授自らが、電話を取り、アポイントの管理をしているようです。
確かに、病院経営という視点でみれば、教授秘書は無駄でしょう。診療においては何の利益も出ませんから。しかし、教授が、診療・教育・研究に専念出来なければ、その方がよっぽど無駄だと思いませんか?
立場がかわれば、無駄の意味も変わるのかもしれません。

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よもやま話(104)  「勇気」

水曜日, 6 月 8th, 2016

勇気と言えば、アンパンマン!

大腸ポリープ切除術を安全におこなうには、介助の役割も大きくなります。
①ポリープの根元に生理食塩水を局注する。
②ポリープにスネアをかけて、締める。
③切除後の粘膜剥離面をクリップで縫合する。

これらの作業は、私一人では出来ません。介助者の手際の良い処置器具の操作が必要です。特に、クリップをかける際は、狭い大腸の中で、クリップを一旦広げて縫合出来るようにセットし、さらに、クリップを回転させて、剥離面の傾きにクリップの傾きを一致させます。こうすることで、クリップの左右の刃に均等な力が加わり、確実に縫合出来るのです。この操作が結構難しく、慣れを要します。

スタッフには、診療の合間に、ガーゼで作った模型の粘膜剥離面を使って、クリップで縫合する練習を繰り返して、操作に慣れてもらうようにしています。

しかし、本番はやはり緊張します。何度も経験しているスタッフでも、やっぱり緊張すると言っています。
先日「私がやります!」とポリープ切除術の介助についてくれた勇気あるスタッフがいました。とっても、嬉しかったです。操作は、確実に、慎重におこないますが、それでも、予期せぬトラブルは起こりえます。無事にすべての処置が終わった時は、スタッフと一緒にとても充実した気持ちになりました。
その勇気ある態度が、他のスタッフに波及したのでしょう。今度は、別のスタッフが自発的に介助についてくれました。

クリニックの柱は、正しい診断と的確な治療をおこなう能力だと思います。私は、勇気に満ちたスタッフと頑張っていける自信がつきました。

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よもやま話(103) サッカーU-23アジア選手権 日本代表 優勝

金曜日, 2 月 5th, 2016

ドーハの悲劇からのこの言葉! ブラジルでのオリンピック予選を兼ねた「U-23アジア選手権」で日本が2点のビハインドを跳ね返して3対2で勝ちました。嬉しかった!

私が一番感心したのは、後半も20分が経過し、残り25分しかない状態で、アナウンサーがしきりに不安や焦りをあおる言葉を連発している横で、解説の方が『大丈夫ですよ。ここから、落ち着いて、日本のペースに持っていけば良いのですから。』って話していたことです。どんなにピンチになっても、浮足立たない。いっぺんにファンになってしまいました。解説者の言ったとおりの試合展開になりました。そして、勝ちました。

監督もインタビューの受け応えが、シブくて良いですね。ただし、「昨日ははしゃぎ過ぎだと家内に怒られました。」っていうのはいただけないなあ。日本代表の監督なんだから、どんな時も堂々としていて欲しいです。奥さんとの力関係は他人に言わなくていいですから。

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