
食道がんの放射線治療
【患者さん】
80代男性。食物を飲み込む際に『違和感』があるとのことで、胃カメラをおこないました。胸部食道に表面が平坦な、長さ10cmの全周性のルゴール不染帯を認めました(正常の食道粘膜はルゴールに染まります)。生検の結果、食道癌と診断され、大学病院で診てもらうことになりました。その際に、放射線治療も選択枝にあることをご本人に伝えました。
大学病院では、食道がんの深達度を粘膜筋板(mm)もしくは粘膜下層1/3(sm1)と診断されています。治療は、ご本人の意向を考慮し、放射線治療のみが施行され、食事の際の違和感は消失したとのことです。
【学んだこと】
『食道がん診療ガイドライン』には、がんが3/4周~全周であれば、粘膜上皮、粘膜固有層および粘膜筋板のいずれの深達素であっても、内視鏡的切除と同等に放射線治療が勧められています。3/4周~全周性の食道がんは内視鏡治療後にはん痕狭窄を来しうるからです。
粘膜下層までがんが浸潤していれば、放射線療(化学療法を併用する場合もあります)が推奨されます。食道がんに関しては、早期であっても(むしろ、早期だからこそ)、放射線治療の適応があることを再認識しました。同時に、がんが3/4周以上であれば、内視鏡治療よりも放射線治療の方が、確実に術後のQOLが保たれることを患者さんに伝えることが大事です。
